DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてDTMを楽しむ記録。MIDI検定試験にもチャレンジするなり。

3日後に控えたMIDI検定2級2次試験

第19回MIDI検定2級2次試験の本番をいよいよ今週末24日の土曜日に控える。

1次試験を含めた私の実質的な準備期間は約半年で、2次に関しては本年度含めて利用可能な過去5年分の練習曲演習もすべてやり尽くしたゆえ準備万端、ここまで来たらまったくもって明鏡止水の心境である。

今回は1次試験の合格者数が非常に多かったため、2次試験の受験者数は100名超の多数になる可能性があると一旦予想したが、2次試験出願時の受付番号から察するに、案外平年並みかもしれないという拍子抜けするような感触がある*1。もっとも、これは大学受験のような競争試験ではないので、受験者の多寡は全然気にする必要はない。

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2次筆記試験については、サンプルや過去問が一切公表されていないので一抹の不安はあるが、練習曲スコアを100%完全に理解できるレベルに到達していれば特に恐れる必要はないかと思う。私も特段の対策はとっていない(というか、とりようがない)。

当日に提示される本番課題曲は、練習曲の類似バリエーションとなることがはっきりしているから、練習曲演習で培った制作方法とワークフローの延長線上で取り組めば問題なかろう。強いて特筆すべきは、減点幅の大きいノートミスだけはくれぐれもやらかさないよう、見直しチェックを怠らないことぐらいか。時間的には1日あれば十分余裕で対処できる。

今回の試験概要に関しては、試験期間終了後週明け27日火曜日以降に簡単な体験記として書き記すつもりであるが、本番課題曲や筆記試験の具体的な中身詳細については口外しないよう縛りがあるようなので、公正を期すためにその辺は適当にぼやかして書く。

*1:私は1月も15日を過ぎた頃に申し込んだのだが、その時の受付番号が20番代だったので、意外に少ないなという印象を受けた。もちろん、締め切り間際の駆け込み申し込み者が多数出ればどう転ぶかはわからないが。

GarageBand: iOS版での演奏成果をどう取り込むか

昨年末に書いた以下記事に対する若干の補足。iOSGarageBand(以下GB)を使った演奏結果を援用する際の具体的なワークフローに関し、一例として書き添えておく。

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目的: Touch Instrument の美味しいとこどり

どのようなDAWを使うにせよ、Mac上で楽曲の土台・骨格を構築しつつ主たるミックスダウンとマスター処理をやる一方で、iOS版GB特有の Touch Instrument 機能を活用して取り込みたいケースがままある。特に、キーボード演奏があまり得意でない素人にとっては、スケールおよびコードに基づく Autoplay 自動演奏機能は非常に重宝することが多い。

しかしながら、上記記事でも書いたように、現状はiOS版からmacOS版への変換は可能だがその逆はできないというGBの制約があるため、制作ワークフロー上のちょっとしたコツが要る。

ワークフローの一例

あくまで一例ではあるが、概ね以下のような手順でファイルのやりとりをすると、iOS版GBの演奏成果物をメインのDAW編集にスムーズに反映させることができると思う。

ガイド・トラック用のオーディオ書き出し

Mac上のDAWで制作中の楽曲の2ミックスをまずオーディオに書き出す(44.1kHz/16bitでよい)。この段階では全部のトラックが完全に揃っている必要は特になく、むしろファイルサイズを抑えるために、お飾り的な一部トラックはミュートにしてもよい。あるいは制作の初期段階であれば、ドラムとベースだけでもよい。

ガイド・トラックのiOS版GBへの取り込み

Mac版のDAWから書き出したオーディオ・ファイルは、ガイド・トラックとしてiOS版GBにインポートし、これに対して Touch Instrument の演奏を別トラックで重ねていく。

オーディオ・ファイルの読み込み方法については、以下の公式ヘルプを参照されたい:

support.apple.com

読み込みに関して特筆すべき点は、以下の3点:

  • ファイルサイズが非常に大きい場合、iCloud経由だと環境によってはアップロードおよびダウンロードに時間を費やすため、iTunesを介したファイルの取り込みが無難かと思う(1番目の方法)。
  • インポート時に44.1 kHzのサンプルレート、16ビットの深度のフォーマットに強制変換されるため、最初からそのフォーマットでファイルサイズを極力小さくしておく方がよい。
  • iOS版GBではMIDIデータはインポートできない。

iOS版GBで制作したソングをmacOS版で開いて編集

Touch Instrument の演奏を重ねたiOS版GBのソングファイルをmacOS版GBから開いてさらに必要な編集を加える。Touch Instrument の演奏結果はMIDIリージョンとして保存されるため、必要に応じて演奏楽器を変更することも可能である。

ここからの制作方法としては、以下の二手に別れる:

(1) 元のDAWファイルに戻す

ガイド・トラックを消去またはミュートし、iOS版で重ね録りした Touch Instrument のトラック群だけをステムとしてオーディオに書き出す(深度は24bit)。この書き出し結果を元のDAWファイルに取り込んで追加の編集を続行する。

(2) iOS版GBソングファイルのままで編集続行

iOS版GBのソングファイルを開いてmacOS版に変換したGBのソングファイル上で残りの制作編集をそのまま続行する。その際、ガイド・トラックはよりハイレゾなオーディオ・ファイルに差し替える(ミュートにしていたトラックはミュート解除)。

少なくともデモ版等の簡易制作はこの方法で問題ないと思う。もともとGB自体の音質が良く、また各種AUプラグインも使用できるので、本番制作であってもトラック数が極端に多い場合を除けば、手っ取り早いこのアプローチで全然行けるはずである。

DTM作曲への道のり: 初心者体験談に思う

ネットで資料を渉猟中に偶然見つけた以下の体験談記事が面白かった:

究極初心者がとりあえず聴けるレベルの曲を作れるようになるまで · GitHub

それにしてもGitHubでこんなDTM絡みの記事は大変珍しい。思わず頷いたり身につまされる話もあったりして、最後まで一気に読んでしまった。後の方には著者なりに咀嚼したコード理論の基本まで書かれているので(ただし3和音のみ)、これからDTMに入門しようとしている人には参考になるかと思う。

私も本格的にDTM/DAWに手を染めてからの約1年をここで振り返りつつ、本記事にかこつけて、何点かツッコミを入れておくとする。

最初のDAW

上述の体験談著者の愛用DAWは結局 FL Studio に落ち着いたようであるが、これはEDMやボカロ系ユーザには結構人気があるという話をよく聞く。打ち込み初心者にも優しいようである。価格は Logic Pro X と概ね同水準で、DAWの中ではかなり安い方だから躊躇せずに買えるとは思う。ただし、パターン概念など他DAWではあまり一般的ではないUI操作がある。

www.image-line.com

もしも無償DAWでとりあえず入門してみたい場合は、本ブログでも度々取り上げてきた以下の3種類が主要な選択肢となる:

  • Studio One Prime版
  • GarageBandMacユーザ限定)
  • Tracktion 6

このうちで初心者でも手っ取り早く楽曲制作できるのは文句なく GarageBand であると断言できる。特にiOS版の演奏機能の豊富さは、その辺の中途半端な有償アプリよりも群を抜く。音色ライブラリも充実していてクオリティが高い。MIDI打ち込みをあまり多用しない初心者ユーザは GarageBand だけでも十分だ。

逆に GarageBand の問題はMIDI打ち込みがしんどい点で、これは Studio One に軍配が上がる。なので、打ち込み主体のユーザは GarageBand と Studio One (Prime) の合わせ技・併用が最善かと思う。私は現状この組み合わせで大きな不満もなく運用している。またこの2つの利用経験があれば、将来的には Logic Pro X や Cubase などへスムーズに移行できるはずである。

Tracktion 6 は自由度が高い分かえって初心者向きではないので、今の私ならばオススメはしない。付属の内臓音源もなく、各種プラグインから別途揃える必要があるため、まったくの初心者はたぶんどこから手を着けてよいやら検討がつかない羽目に陥るだろう。とはいうものの、何を隠そう私が最初に触ったDAWは Tracktion 5 であり、その使用経験を踏まえてのアドバイスである。

コード進行理論と付かず離れず

上記体験談では、コード進行ありきの作曲技法に依存している旨書かれていた。これは私も基本アプローチとしてはほとんど同じである。よほど才能がある人か、もしくは音楽の専門教育を受けた人でない限り、だいたい皆さんここに行き着くと思われる。

ただしこれにも大きな課題があって、どこかで聞いたような凡庸な作品しかできない可能性が高いことであろうか。もっとも、AI作曲ツールが割と本気で充実してきた昨今、この辺の悩みは解消されつつあるように思う。メロディーをAIに作らせるアプローチがお手軽になってきたからだ。

AIほど高尚でなくとも、たとえばiOSGarageBand のコードやスケール機能を援用すれば、ガチガチにコード進行理論に縛られることなくある程度自由にもっともらしい楽曲制作はできてしまう。この辺のツール環境は、10年前に比べれば初心者の敷居がかなり低くなってきたと言える。

ミックス制作の効用

あと蛇足ながら個人的な経験から言えるのでは、いきなりオリジナルの作曲からチャレンジするよりも、リミックス制作の方が案外DTM入門に最適ではないか、ということである。

特に、DAWによるオーディオ編集に早く習熟して経験値を上げられるメリットがある。最初はドラムとベースをアレンジして差し替える程度でもいいと思う。

オリジナル作曲とリミックスの中間形態として、ループ素材を使った楽曲制作というやり方もあり、MIDI打ち込みのハードルが高い初心者には推奨のアプローチである。これは GarageBand を使えば相当楽しむことができる。Studio One Prime版でも数は少ないがある程度のループ素材は揃っている。

Flow Machines と自動作曲

下記に補足して、気になるAI自動作曲プロジェクトに Flow Machines を書き加えておきたい。

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ソニーコンピュータサイエンス研究所(パリ)にて研究開発されている Flow Machines は、最近読んだBBCの以下記事よりその存在を知ったのだが、実は2016年にすでにメディアで取り上げられていた(下記ITmediaの記事)。

www.bbc.com

www.itmedia.co.jp

Google発の Magenta Project によく似ているが、モデルの入力はオーディオではなく楽譜データ(コード進行含む)と歌詞という点が特徴的である。ちなみに Magenta はMIDIデータを食わせる。

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解説ビデオによれば、モデルの基底にはマルコフ・チェーンの考え方があるようだが、これは前世紀の大昔からアルゴリズム音楽界隈ではかなり一般的な数理モデルの一つであったかと思う。なので一体どの辺が"AI"なのかは私もよくは理解していないのだが、残念ながら Magenta と違ってソフトウエアは一般公開されていないようで、今のところ好き勝手に弄って遊んでみることはできない。

www.youtube.com

BBCの記事中にも書かれているように、まだまだ100%システム単独ではまともな楽曲は生成されない段階らしいが、人間が思いつかないようなちょっとしたメロディを捻り出す一助にはなりそうである。こうしたAI作曲の隆盛によって、短いジングルとか劇伴程度なら本職の作曲家は不要になる可能性はあると思う。また将来的にはDAWの一機能として搭載されるかもしれない。

ソング間のトラック丸ごと複写について

あってもよさそうなのに、意外とDAWに搭載されていない機能として、異なるソングを跨いだトラックの丸ごと複写機能がある*1。「丸ごと」というのは、使用インストゥルメントやエフェクトおよびそれらの設定すべてを含む。

要するに、別の曲で使った特定トラックの音源音色設定をそのまま使用するか、もしくはコピーして微調整の上で流用したい。なお、MIDIイベントは楽曲毎に書き換えることがほとんであるから特に複写しなくともよい。

この種のニーズはプロアマ問わず結構あると思うのだが、果たしてどうだろうか。私の場合、自主制作もさることながら、たとえばMIDI検定実技で出題・使用頻度の高い音色とエフェクト設定の組み合わせは使い回しできれば大幅に省力化できるメリットがある。

Studio One (Prime)

残念ながらサポートされていないようである。

なお、Studio One では一応複数ソング・ファイルを同時に開いて(というか画面を切り替えて)編集可能ではあるため、あと一歩という感じだが、将来的なバージョン改訂アップグレードで対応してくれることを期待したい。

GarageBand

そもそも複数のソングファイルを同時に開いて編集することはできない。

ちなみに上位版の Logic Pro X では、別のソング・ファイルからトラックの設定データのうちで欲しいものだけ絞り込んで取り込む仕組みが搭載されているようである。

support.apple.com

Tracktion 6

対象となるトラックを選択状態にしたまま、通常のコピー&ペイスト操作で簡単に別ソングのトラック・データを文字通り丸ごと複写できる。MIDIイベントが入っている場合はそれも含めて全部転写できる。異なるプロジェクト間であっても同様である。

この辺のUIは Tracktion が抜群に洗練されているように思う。同時に開いた複数ソング・ファイルはタブ表示されるので、切り替えもスムーズである。

タブ表示含め、同等の複写機能は Studio One や、せめてもの Logic Pro X には欲しいところである(GarageBandまでとは言わないまでも)。

*1:同一ソング内部であれば、トラック複写は当然の機能としてどのDAWにも備わっているが。

FM音源の学習と Yamaha DX7 のマニュアル

以前書いた以下の過去記事に対するちょっとした補足。

daw-jones.hatenablog.com

減算方式のアナログシンセと違ってFM音源のシンセは音作りが難解であるという印象が根強いが、基本原理は案外単純なので、きちんとお勉強すればある程度は自分で音作りできると思う。

またそこで得られた知見はアナログシンセ操作にもフィードバックして活かせることがある。たとえば、オシレーター同士のリング・モジュレーションとかクロス・モジュレーションなどはFM音源の考え方と同じと言ってよい。

FM音源に関しては、上記記事中で紹介したチュートリアル資料などを基礎学習の手掛かりにできるが、実は元祖ヤマハDX7のオリジナルのマニュアル(PDF)が公開されており(以下のヤマハ・ダウンロード用サイトより利用可能)、これが割と基本のおさらいに向いている。特に、操作手引書である「DX7 オペレーティングガイドブック」の一部は、FMの原理をやさしく解説した上で、個別具体的な音づくりにも触れており、入門手引き書として有益ではないかと思う*1

download.yamaha.com

 

*1:30年ほど前の出版時資料をそのままスキャンした画像PDF文書で、やや印字不鮮明なところもあり。DX7実機保有者以外は、DX7の操作パネルに関する解説はスキップして差し支えない。

SysExとDX7音色設定

以下記事で、Yamaha DX7 互換FM音源の音色データ・フォーマットにMIDIのSysExメッセージが使われていると知って、すかさずメモ。個々のSysExデータを32音色(ボイス)分まとめてファイル化したものがsyx形式ファイル*1として流通しているようである。

www.dtmstation.com

DAW全盛の時代にSysExはもう使い道ないだろうと勝手に思い込んでいたが、こんなところで生き残っているとは露知らず、正直とても驚いた。DX7に限らず、他のハードウエア楽器でもSysExメッセージで音色設定データをインポート/エクスポートすることは割と一般的であるようだ。この辺の事情は不覚にも今の今までまったく知らなかった。

MIDI検定の公式教科書である「ミュージッククリエイター ハンドブック」を紐解いてみれば、実は Chap. 3-5 「モードメッセージとシステムメッセージ」の1節に「システムエクスクルーシブの活用・利用法等」(pp.125-126) という概説があり、MIDI機器の音色データや設定保存用に使われる旨さらりと書かれている。しかし、個人的には活用する場面や経験がまったくなかったこともあり、2級1次試験の学習時にはあまり腑に落ちなかった。この点に関しては、Logic Pro X の以下の公式ヘルプ解説の方がより明解かもしれない。

support.apple.com

要するに、デバイス固有データのやりとりに使われる各メーカー独自仕様のMIDIメッセージであるが、実際のところ、DAWとソフトシンセだけで制作している分にはSysExにお目にかかる機会は皆無だろう。その唯一の例外が、上記DX7音色データファイルといった感じである。もっとも、わざわざSysExメッセージとして意識する必要はほぼない。

ネット上で出回っているDX7互換の音色ファイルについては、以下の個人サイトが集大成の集積場所になっており、検索では必ず一番トップに来る著名サイトである。おそらくここだけ見ておけば基本的には全部網羅できるのではなかろうか。私も後日いくつか試しに落としてみて、DEXEDにインポートしようと思う。

Dave Benson's DX7 Page

*1:SMFの一種であるが、ヘッダーなしの簡略版が主流の模様。当然ながらSMF同様にバイナリファイルである。