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DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてDTMを楽しむ記録。MIDI検定試験にもチャレンジするなり。

イベントリスト問題の解説 (1)

MIDI検定2級2次試験の練習曲実践は、2017年2月期の4曲セットを残すのみとなったが、これを消化する前に再び1次試験のイベントリスト問題をやっつけてしまい、残りの実技演習にフィードバックさせたい。

そこで今回より何度かに分けて、過去のイベントリスト問題の簡単な解説を書いておこうと思う。個人的な備忘録としての意味合いが強いが、過去問は単に正答しか公表されておらず、どこが出題ポイントになっているのか判然としない場合もあるため、将来の他受験者の一助にはなるかもしれない。

解説対象のイベントリスト過去問について

新制度問題は、制度切り替え時の模擬試験含めて全部で6回分あり(模擬試験および第14回から第18回まで)、これらはすべて考察の対象にしたい。おそらくGW中には解き終わってしまうだろう。なお、一番直近の第18回問題についてはすでに下記記事にて概説済みである。

daw-jones.hatenablog.com

 

旧制度問題は、入手可能な解答付きのものに限れば8回分利用できる(第6回から第13回まで)。これらについても、GW明け以降5月中を目処に時間の許す限りにおいて取り組みたい。ただし、新しい年度分から優先的に着手し、時間切れとなった場合はその時点で一旦終了とする。また、第6回のみ最近の出題傾向(正誤問題)と異なるので割愛したい。

新制度模擬試験の解説

問題 Chapter 6-3, 6-4 (a): 臨時記号の小節内有効

6小節目の頭でE1はフラット化されるため、本小節内ではすべてEb1となる。したがって、最後の音はE1ではなくEb1とする(下図参照)。

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問題 Chapter 6-3, 6-4 (b): ゲートタイム

ギターのミュート奏法のゲートタイムが主題。4小節目1拍目の下図丸囲みしたノートのゲートタイムが間違って8分音符相当になっている。該当A2のゲートタイムを"00:216"ではなく、ミュート奏法に適した"00:010"とする。

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問題 Chapter 6-3, 6-4 (c): ハンマリング・オンのベンド戻しタイミング

ハンマリング・オンした後のピッチベンドをゼロに戻すタイミングは、必ず次のノートオンより前にする。

下図第4小節の3拍目に入るハンマリング・オンのベンド戻しが、4拍目のノートオンの後に入っているので誤り。

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問題 Chapter 6-3, 6-4 (d): ノートオンのタイミング

下図下線で記した音符D3のノートオンのタイミングがおかしい。その直前にあるチョーキングとプリング・オフの複雑な組み合わせは red herring のようなもので、直接は関係ない*1

要は第4小節の3拍目から240ティック(16分音符2個分)先にノートオンする必要があるが、360ティック先となっているため誤りである。

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*1:MIDIデータ入力の見本として2級2次試験実技用の参考にはできる。

2016年2月期練習曲No.4の演習

MIDI検定2級2次試験演習の続き。今日は、2016年2月期練習曲セットから、練習曲No.4を取り上げて分析し、要点を整理する。これにて2016年2月期の練習曲はすべて終了となる。

パーカッションの音色選択

本曲も練習曲No.3同様に、Studio One 3 Prime 内臓音源の Presence XT で再生する場合はパーカッション音色の選択に若干注意を要する。すなわち、コンガとコラベスに対応しているキットを選ばなければならない。パーカッションだからといって "Percussive Kit 1" がいいかと使ってみたら全然ダメだった。オーソドックスな "Classic Kit" や "Standard Kit" などは問題なしである。

弦楽器特有の表現など

レガート

同セットの練習曲No.3はスタッカート多用曲だったが、逆に本曲はレガートが主体となっている。したがって、ゲートタイムはレガートの最後に来る音を音価の90%程度にするよう注意を払う。

一方でレガート上の他のノートは音価の100%そのままとして加工する必要がないため、最後のノートをうっかり編集し忘れるリスクが大きい。

ピッチベンド・コントロール

主旋律のバイオリンに、3小節目冒頭と10小節目の2箇所だけピッチベンド・コントロールによる表現が出現する。このうち後者は、ハンマリング・オンにも類似した記譜法で書かれているため、紛らわしく見落とす可能性がある(下図参照)。

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ここはノートのデータとしてはBb4の付点4分音符で入力しておき、8分音符の長さの範囲でピッチベンドを上限まで上げるという解釈になる*1

データ上はこれで全然問題ないが、模範演奏も含めて実際に聴いてみると、ベンドの上昇過程をどう調整してもスムーズに聞こえず違和感が残る。もっと上手く表現するにはポルタメントなどの別のテクニックが必要かもしれない。

ベロシティやコントロール・チェンジ

その他にも弦楽器に特徴的な表現が盛り沢山で、ベロシティの漸増過程、および#1モジュレーションと#11エクスプレッションを対象としたコントロール・チェンジ (CC) も多用されている。表現解釈上特別に変わったところはないが、CCは両方同時に適用している音符が数カ所あり、見落としに注意する必要がある(下例参照)。

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6連符

ストリングズ・アンサンブルの冒頭では6連符が再び登場している。その解釈と入力方法は練習曲No.2に同じである。おそらく本番課題曲でも出題された可能性が高い。

daw-jones.hatenablog.com

ダブル・シャープ

エレピに1箇所ダブル・シャープがあるが、丁寧にも説明書きが添えてあるので、まず間違えることはないだろう(下図参照)。

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ここはややトリッキーで、F3をダブル・シャープしてG3とする。ここでダブル・シャープを使う意味は正直よくわからない*2。他の小節の和音表記スタイルに合わせているのだろうか。

ダブル・シャープは以前の練習曲にも1度お目見えしている(下記2015年2月期練習曲No.4)。両年とも練習曲で予習をさせておいて、本番課題曲では説明なしで登場している可能性がある。

daw-jones.hatenablog.com

弦楽器の音色について

GM音源の弦楽器音色は聴くに耐えないほど酷くチープで、特にバイオリンは本曲のような高い音程で鳴らすとまるでソプラノ・サックス(?)のようにも聞こえる。ややもすればコミカルな印象すら与えかねない。

模範演奏でも同様の音色を使っているため、これのせいで2級実技で減点されることはないだろうが、少なくとも1級実技では非常に印象が悪くなることが懸念される。

こだわって念を入れるのであれば、2級実技であっても本番課題曲で弦楽器が登場する場合、WAVファイル出力ではDominoによるGM音源再生ではなく Studio One を使った方がいいと思う。Presence XT の弦楽器音源は数段音質が良いからである。

*1:ベンドレンジはデフォルトの2半音であり、なおかつB4にはフラットの臨時記号が付くため、Bb4からC5までちょうど2半音を上げるという具合になる。

*2:調性はAmでそもそもFに調号は付かない上にGはスケール構成音だからそのままGと書いてもよさそうなものだが。

2016年2月期練習曲No.3の演習

MIDI検定2級2次試験演習の続き。今日は、2016年2月期練習曲セットから、練習曲No.3を取り上げて分析し、要点を整理する。

本曲は、後半に転調を伴うところが最大のポイントであろう。しかし、フレーズ自体はどのパートもほとんど8分音符で構成され、連符も見当たらないので極端に難易度が高いという感じではない。その辺は適度にバランスを取っているようにも見える。ただし、2016年の練習曲4曲の中では一番難しいと思う。

楽曲途中での転調

本曲は A♭ Major で始まるが、途中の11小節目以降最後の4小節は F Major に変わる。2級実技程度の短い小品では転調はないだろうと高を括っていただけに、やっぱり出題されるのか、とちょっと不意を突かれた*1。ということは、近い将来に拍子とテンポ変更が出題されたとして不思議はない。

Studio One のキーナビゲート(スケール)機能は、転調箇所で手動にてキーを切り替えて入力対処する(しかない)。なお、前半部のメジャーキー A♭はG#と読み替えて設定する必要がある(G# Major としてスケール指定)。このスケール機能はあくまで入力補助に過ぎないので、楽曲データを構成せず、MIDIデータや音源再生に対して影響は及ぼさない。キー変更を忘れないよう、転調開始小節には一応備忘録的にマーカー・フラグを立てるとよい(下例参照)。

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ドラムとパーカッション (1): データ入力

ドラムとパーカッションは、それぞれ10チャネルと11チャネルに振り分ける。当然だがDomino上で11チャネルもリズム用のチャネルとして定義する必要がある。これは2015年2月期練習曲No.4と同様のチャネル構成であり、システム・セットアップデータはチャネル10よりコピーして編集する。

daw-jones.hatenablog.com

 

本曲はパーカッションがかなり賑やかで、リズム・パートのMIDI打ち込みでは最も難易度が高い部類だが、この傾向はサルサ調の曲の常である。この点は同じくサルサ調であった2015年2月期練習曲No.1と同様である。類似のリズム・パターンはコピペ対応可能だが、微妙に一部の楽器が異なっている小節も多く、よく確認しないとノートミスの罠に引っ掛かる。

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ドラムとパーカッション (2): 音色

Studio One で再生・WAV出力する場合は、Presence XT のドラムキット音色の選択に注意を要する。すなわち、本曲ジャンルはサルサなので、チャネル11のパーカッションについてはラテン系打楽器(ギロティンバレスなど)に対応しているキットを選ぶ。ここは幸いそのものずばりの "Salsa Kit" があるので、それを使うのがベストである。音色の適否は、DominoでGM音源再生するまでなかなか気づかないことがある。

トランペットとサックス

ピッチベンド・コントロールが多用されているため見落としに要注意。入力テクニックとしては、コピペ対処で効率化を図る。

サックスの音部記号はヘ音記号で、音程が結構低い。ベースを補強する位置づけであろうか。もっとも、仮にオクターブ高いと主旋律を奏でるトランペットと音が被ることは容易に認識できると思う。

因みに Presence XT の管楽器系音源は結構リアルで音質がいいと思う。自主制作にも使えそうである。

ピアノ

右手高音部は"8va"指図により記譜よりも1オクターブ上げる(下例参照)。これもサルサらしい特徴の一つ。

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その他全般

スタッカートがやたらに点在しているので、ゲートタイムの編集には少々手間が掛かる。Dominoにおける効率的な入力方法としては、一括編集にて一旦全ノートを音価の80%にし(ハンマリング・オンの箇所は95%)、後から追加でスタッカート対象のノートだけ音価の50%値(例えば8分音符ならば120)を直接入れて行くとよい。

また転調前の前半ではナチュラ臨時記号が多く、ピッチミスを誘発する可能性がある。キーナビゲート機能を活用しつつもノートは丁寧に入力し、再生チェックで違和感がないかどうか、多重検証する正攻法しか方策はないが。

*1:この年は本番課題曲でも転調が出題された可能性はあるが実際どうだったかは不明。

FMシンセの原理に関するチュートリアル

往年の名機 Yamaha DX-7 を模したソフトシンセである DEXED はすでに導入してはいるのだが、アナログシンセとは毛色の異なる音色作りが難しくてほとんど使っていなかった。今まで横着をして単に勉強不足なだけなのだが、基本原理を少し学習してみたので、以下備忘録として資料などを書き記しておく。

FM合成の基礎チュートリアル動画

音色編集の基本原理であるFM合成についてはネット上で探せばいくらでも資料は見つかるが、いきなり電子工学の専門的な講義に取り組むにはさすがに無理があるので、取っ掛かりとしては以下の2本で十分かと思う*1

一つは、以前にも紹介したシンセ音作り講座の第10回講義で、FM合成による音作りの基本をこれ以上ないほど簡潔明瞭に解説している。Logic Pro X ユーザは内臓シンセのRetro Synth ですぐお試しできると思う。

www.youtube.com

上記講座を若干補強する意味では、以下の解説講義も有益かと思う(ただし英語レクチャー)。歴史的背景や基礎理論、音色エディットの基本などを実際の音を聴きながら理解できる。

www.youtube.com

要点覚え書き

上記チュートリアルなどを踏まえて私なりに勘所などをまとめておく。

発想の基本

アナログシンセにおけるLFOを可聴領域の周波数まで上げたらどうなるか、というのが着想の基本らしい。

基本原理

基本の原理は意外に単純で、要はサイン波を次々に重ねて目的の音を作り出す。ここが一般的なアナログシンセとは真逆の合成方法になっている。

すなわち、アナログではノコギリ波など倍音を豊かに含んだ波形を基音として、不要な倍音をフィルターなどで削ることで音を作る(減算方式)。一方FM合成では、倍音を含まないサイン波を巧みに重ね合わせることで倍音を作り出していく。根底にはフーリエ解析の考え方が潜んでいると思われる。

80年代にDX-7が登場して以降、アナログシンセでは真似できない生楽器音色のリアルな再現や金属音で威力を発揮したが、その後安価なサンプラーの登場で一気に衰退した。

音色編集の基礎

一つ一つのサイン波生成器をオペレータ (operator) を呼び、これらをいくつか組み合わせる。DX-7/DEXEDでは6つのオペレータから構成される。これらはその役割に応じて、変調波 (modulator) 生成用と搬送波 (carrier) 生成用に分類される。

変調波はアナログシンセで言う所のLFOに相当する。一方、搬送波は実際に発音する部分で変調対象となるオシレータに相当する。この2種類のオペレータの組み合わせ構成をアルゴリズムと呼び、DX-7では32種類搭載されていた。基本的な考え方として、パッド系の分厚い音色を作りたい場合は、搬送波を多めにして並列に同時発音させる。逆にベースなどのうねりのある音色が欲しい場合は、搬送波は1つか2つに絞り、変調波を重層構造にして特徴を出す。

FM合成で面白いのは、個々のオペレータのEG等生成パラメータはそのままに、単にアルゴリズムを切り替えるだけでも劇的に音色を変化させることが可能な点である。

DX-7と私の思い出

DX-7は私もかつて実機を保有していたことがある。同じYamaha製のMIDIシーケンサーQX5と組み合わせて使っていた記憶がある。80年代中盤デジタル化の到来によりシンセの価格破壊が一気に進み出していた時代で、DX-7はその尖兵的な存在だった(と後になって気づく)。QX5にしても、当時シーケンサーの代表格である Roland MC-4 が50万円だかの値段だったのにいきなり10分の1近い価格で登場したから驚喜した。MIDI規格制定はRoland社主導であったが、DX-7の大ヒットが一般への普及を後押しした感もあり、デジタル化とMIDI普及へのYamahaの貢献はとてつもなく大きいと思う。

ところでDX-7だが、あの酷いUIでどうやって音作りしていたのかもうまったく記憶にない。操作法はなんとか習得したとしても、FM合成の原理は全然理解していなかったと思う。音色編集は当時から難解だとしきりに批判されていたが、どちらかというとUIの制約ゆえであったように感じる。タッチパネルもまだ一般的ではなかったあの時代にあの低価格で市場投入された製品だから仕方がなかった一面はある。それでも売れたのだから、低価格のインパクトの方が大きかったということだ。

実機は引越しを機にして10年ほど前に処分してしまったけれど、特に後悔はしていない。というのも、一斉を風靡して市場に大量に出回ったため、骨董品価値がほとんどないからである。一応ヴィンテージ・シンセの部類とはいえ、中古価格はびっくりするほど安く、ハードとしての価値はなきに等しい*2。DX-7登場以後のデジタル化進展により、ハードシンセは凄まじいばかりの陳腐化を繰り返すのだが、先駆者DX-7もその例外ではなかったというのはやや皮肉ではある。そのような技術革新の時代を目の当たりにしてきた私は、金輪際ハードを買うことは禁忌としている次第である。

*1:読み物資料としては、例によってWikipediaの記事が一番よくまとまっているように思われる。

*2:今は概ね2〜3万円程度で入手できるようだ。

2016年2月期練習曲No.2の演習

MIDI検定2級2次試験演習の続き。今日は、2016年2月期練習曲セットから、練習曲No.2を取り上げて分析し、要点を整理する。

シンセリード

フレーズ自体は全然難しくはないが、スタッカートの点在には要注意である。また、シンセリードではお馴染みであるピッチベンドによるチョーキング奏法とCC#1モジュレーションが頻発しているので見落とさないようにする。ベンドレンジはテンプレ標準設定の2半音を前提にしていることに注意する。

13小節目に登場する6連符の入力について確認と補足。要は4分音符を6分割するわけだが、Studio One 3 Prime(以下S3)のMIDI編集画面では入力パレットに6連符が用意されているわけではないので、ここは「16分音符の3連符 × 2」と解釈して入れる(下図参照)。

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ギター

下例のような、いわゆるミュート奏法が駆使されており、Xの音符部分をMIDIで擬似ミュートさせる*1。具体的には、譜面指図の通りにゲートタイムを20ティックに絞り込んでノート入力する*2。あとハンマリング・オンが2箇所あるので注意。

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エレピ

右手の和音(コード)は同一パターンの連続が大半なのでコピペ対処で大幅に効率アップを図る。幸いS3の場合、範囲指定の上で"D"キーを押下すれば次々と連続複写が可能で非常に便利である(下例参照)。

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左手低音部については、"8va bassa"の指定があるため、記譜音程よりもさらに1オクターブ下げる必要がある。個人的にはやや違和感ある印象も受けたのだが、ベースの補強的な位置づけであろうか。

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その他全般

オルガンを除いて最終小節最後の音にアクセント記号">"が付いている(下例参照)。したがって、ベロシティは1ノッチ上(16程度加算)となる(ドラムのベロシティは楽器別指定のため対応不要)。ここはうっかり見落としてしまうリスクが高い。

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調性は E Major であるが、調号のシャープが4つも付いており、慣れていないとMIDIキーボードによる入力はしんどい(下例参照)。調性サポート機能がないDAWなどによるノート入力はピッチミスに重々注意する必要がある。これはS3のスケール(キーナビゲート)機能で随分と助けられているところである。

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*1:ギターのミュート奏法のシミュレート法については、公式ガイドブックの§6-4「MIDIデータによる演奏表現」p.227 を参照。この方法はソロで聴くと貧弱だが、他パートと混ぜると意外にしっくりと馴染む。もっと凝るならば、ミュートのサンプリング音源を使うやり方が今では一般的であろう。

*2:ドラム音源と異なり、Presence XT のエレキギター音源ではこの極小ティックも正常に発音はする。

MIDI検定2級2次対策のワークフロー変更

結論から書くと、ゲートタイム編集前のMIDIデータ入力でMMLはもはや使用せず、 Studio One 3 Prime (以下S3)を使うよう改める。これにより、1級実技と2級実技でワークフローをほぼ同じに統一できるメリットもある。すなわち、基礎となる楽曲MIDIデータはS3にて作成し、最後にSMFとしての体裁を整える編集加工はDominoで肩代わりする、という流れである。

なお、MML最大の利点の一つでもある調性自動変換機能は実際かなり重宝していたが、これはS3のスケール(キーナビゲート)機能で代替できるので、幸い乗り換えにあたっての支障はない(下例参照)。

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MML活用の超えられない壁 

MIDI検定2級2次試験の練習曲を使って検証してみたところ、MMLによるMIDIデータ作成に関しては、大別して以下のような欠点がある:

  • コンパイルMIDIへの変換処理)がいちいち手間である。それに加え、変換後のMIDIデータをDominoへ取り込んでピアノロールに表示させるまでミスを検知できず、間違いが発覚した場合の手戻り処理が非常に面倒である*1
  • 和音(コード)入力が非常に効率悪い上に間違いを犯しやすい。和音入力はやはりピアノロールUIが圧倒的に優れているように思う。MIDIキーボードを使うとさらにスピードアップできる可能性が高い。

Studio One と Domino の合わせ技:MIDIデータ作成上のコツ

ここでS3を使ってMIDIデータを作成する場合の若干の注意点をまとめておきたい。要はDominoと上手に役割分担させる点が勘所である。なお、逆にS3へSMFをインポート再生させる場合の要点については以下の記事を参照。

daw-jones.hatenablog.com

ドラム譜

ドラムについては、S3添付の標準GMパーカッション・マップにノート番号を追記修正して使う。ノート番号は、各楽器名称の冒頭ではなく末尾に追加した方が見やすい(下例参照)。

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ここはユーザの好み次第だから、Dominoで入力する方が楽であればそれでも構わないが、制作ワークフローを2級と1級で統一するという観点からは、全パートS3での基礎データ起こしが望ましい*2

なお、S3で16分音符等を使ってドラム譜の入力を対応した場合、Dominoへ取り込み後に全ノートのゲートタイム値を10ないし15に揃える*3

ベロシティ、ピッチベンド・コントロールおよびコントロール・チェンジ(CC)

これらはドラム含めてすべてDominoで一括編集する方が楽である。また最小の手順で正確に入力できる。

とりわけS3側で問題となるのは、ベロシティやCCがパーセント表記という特殊なインターフェイスであることだ。この状態では、2級の場合は譜面指定通りの値に精確に設定することが難しい*4

中央ドの位置

S3の中央ド(ノートナンバー60)はC3の位置である。混乱しないようにDominoの設定もそれに合わせて変更した方がよい(ファイル > 環境設定 > 全般(1) > オクターブ)。

オクターブ調性

ベースとギターについては、S3では譜面通りに入力し、Dominoへ取り込んだ後で1オクターブ下げる(トランスポーズ機能で一括修正)。Domino取り込み前に当然S3で再生チェックすることを考えれば、このやり方がたぶん一番簡単確実だろうと思う。

ティック値等不具合の初期チェック

S3から取り込んだ直後のMIDIデータは、各トラックごとにDominoのイベントリストで一応ざっと閲覧チェックし、大きな不具合がないかどうか検証する。

S3側の私の操作ミスなのか原因は不明だが、非常にごく稀にノートオンのティック値またはゲートタイム値が1ティックほどズレて端数が混じることがある*5。その場合は一応念のために、該当ノートの前後を含めて、Dominoで直接入力し直す*6

*1:MMLでは、ピッチよりもどちらかというと音符の長さを誤りやすい。私も誤入力箇所以降の音符の位置が盛大にズレてしまうミスを頻繁に体験している。

*2:私の印象ではドラムも含めてS3での入力の方が速く正確に対応できるように思う。結局ピアノロールUIに関してはDominoよりも最新のS3の方が優れているということ。

*3:一応念のための措置で協会推奨値に準拠する。そのままでも減点はされないとは思うが。本来ドラムおよびパーカッションはゲートタイムの値が意味を持たない。

*4:1級は受験者の自由な表現に任せられるので、パーセント表記でも全然問題にはならず、S3で全部編集できる。

*5:S3作成直後のゲートタイムはまだ音価そのものだから、正しく入力されているならば全部240とか120といった10単位の数字に揃っているはずである。

*6:音価の10%を超えてズレていなければ減点対象にはならないから、微細なズレは放置しても問題はない(公式ガイドブック §6-5「MIDI検定2級2次試験の概要とポイント」p.242)。しかし念のため。

SMF読み込み再生時の注意点 (Studio One)

MIDI検定2級2次(実技)対策の一環で、Dominoを使って完成させたSMFを再び Studio One 3 Prime に読み込んで再生させる場合の注意点について述べる。以下の過去記事の補足を兼ねる。

daw-jones.hatenablog.com

 

Studio One 本体というよりもむしろ、ほとんどが内蔵音源の Presence XT の問題である。なお、一部は1級実技の制作にも無関係ではない。

システム・セットアップデータ

実は冒頭1小節目で送信されるシステム・セットアップデータはまったく反映されないように見受ける*1。したがって、以下の2項目は、セットアップデータを参考にして別途手動で調整する必要がある:

  • ボリュームとパンは、ミキサーにて適当なレベルに調整する。ボリュームについては少なくとも音割れしないレベルまで下げる(マスター音量含む)。
  • ベンドレンジは、Presence XT の方で各トラック別に調整する(下例参照)。ピッチベンド・コントロールを使用しないトラックはそのまま何もしなくてもよい。

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モジュレーション(ビブラート)

Presence XT は、モジュレーション・ホイールの変調対象をユーザによる割り当て定義に委ねているが、デフォルト設定がないために、素の状態では何ら効力を発揮しない。したがって、ビブラート効果を出したい場合は、音色に応じてユーザによる追加のチューニングが必要になってくる。

具体的には、下例の通りに Presence XT のモジュレーション・マトリクスを設定してやり、CC#1 → Modulation Wheel → LFO 1 → (Wave) Amp Level という制御フローでゆらぎを与える*2。ビブラートであれば常識的にはLFOの波形はサイン波が最適と思うが、レート(振幅周波数)は実際に音を聴きながら音色に応じて微調整するとよい。

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したがって、コントロール・チェンジについては、CC#11 Expression のみならず、CC#1 Modulation についても、Presence XT 側のモジュレーション・マトリックスの追加設定が必要ということになる(以下の過去記事を一部訂正)。

daw-jones.hatenablog.com

ドラム・キットの選択

ドラムは特別な指定がない限りは、パーカッションも含め、Drum Kits より "Classic Kit" を選択すれば問題ない*3。少なくとも2級2次に関してはすべてこれで通用すると思う。逆に変わり種を選ぶと、GMパーカッション・マップに100%対応しているかどうか定かではない。一方、1級については、曲調に合わせてある程度自由に選んでもいいだろう。

ミキシング

簡易コンプレッサーとイコライザー兼用の内臓エフェクターである Channel Strip の品質があまり良くないので、極力使わない。EQは Presence XT の付属機能を使う。

私が何回か試用検証した範囲では、Channel Strip は特にマスターに対して下手に使うと音の抜けが悪くなり、音質がかえって劣化することが多い。またコンプの掛かり具合によってはドラムのキックとスネアが埋没してしまう傾向が顕著に見られる。

ドラムのサウンドについては、例えばどうしてもスネアとキックをもう少し持ち上げたい場合、MIDIイベントのピッチ別トラック分解機能を使い、完全に独立した別個のミキシング・トラックに分けるとよい*4。こうすると、スネアだけ音色を差し替えるといった芸当も可能である。

*1:Prime版特有の機能制限かもしれないが詳細は不明。

*2:ビブラートは本来はピッチに微小なゆらぎを与える奏法だが、ここでは音量のゆらぎでシミュレートしている。変調対象をあからさまに Pitch にすると、奇天烈なサウンドになってしまうことが多いからである。これはあくまで私が編み出した設定例なので、さらに簡単かつ効果的な他の実現方法があるかもしれない。

*3:GM2パーカッション・サウンドセットの"Standard Set"とほぼ同系音色だが、よりリアルで生楽器に近い。スネアはやや固め。

*4:エンハンサーを使えないので、正直言ってそれでもかなり限界はある。