DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

制作一般

TR-808とMIDI開発秘話 @TBSラジオ アフター6ジャンクション

今週木曜日に菊本忠男氏のインタビューもとい歴史証言特集があったので、聞き逃している方はpodcastでチェックされることを激奨します。 www.tbsradio.jp 話の中心はTR-808でMIDIの件は最後の10分程度しかありませんが、両者開発の歴史的経緯を知るには格好…

ポリリズムの設定方法 (Studio One)

本記事は一応 Studio One を前提にして書いてはいるが、他のDAWであってもおそらく編集プロセスは同様であろうと思われる。すなわち、簡単なポリリズムの展開方法について、である。 こんなシンプルな原理が今の今までなぜ気づかなかったのか、自分でも不思…

最近気になった音楽やDTM関連記事など (2020年Q1)

突然降って湧いたようなコロナ禍で右往左往しているうちに今年は早くも第一四半期が終わろうとしているが、この3ヶ月で個人的に気になったDTMや自動作曲、音楽業界などの関連記事をまとめて振り返っておこうかと思う。 www.vice.com 著作権ゴロへの対抗上、…

DAW国内シェア推計調査 (2020年)

間が空いてしまったのだが、毎年恒例で DTM Station 同様に実施されているSleepfreaksの本邦DAWユーザ調査結果が先月末に公表された:sleepfreaks-dtm.com ネット上の自由アンケート調査なのでバイアスが入り込んでいることは否めず、あくまでも推計に過ぎな…

アルゴレイブの世界

先月末にWIREDの記事でアルゴレイブ (algorave) の話題が取り上げられ、はてブ界隈で若干バズっていたので、少し掘り下げて備忘録的に書き記しておきたい。 wired.jp 英文の元記事は2ヶ月前の3月末に公開されていたようだが、ご参考までに。 www.wired.com …

iOS版シンセの Synth One はオススメ

昨日 Apple App Store の Today 紹介ページでフィーチャーされていたため、私を含めて初めて気づいた人も少なくなかったのではないかと想定されるが、オープンソースの無償iOS版シンセ Synth One *1がとても素晴らしく、思わず紹介したくなった次第である。 …

アジカンも気づいた低域問題

私は特にアジカン (Asian Kung-fu Generation) のファンというわけではないけれど、1週間ほど前にバズっていた下記記事は今現在の足元の音楽シーンを如実に反映しているという意味では非常に興味深い、というかちょっと感慨深い印象すら抱かせた。 realsound…

今年に本ブログで取り上げたいトピックなど

年も改まったところで新年の抱負というほどのものではないが、本ブログで新たに追求したい課題や取り上げたいトピックなどについて展望を述べておくことにしたい。半分以上は自分自身に向けてのTo-Doリストみたいなものではあるが。 DSP (デジタル信号処理) …

Waverazor LE が無償公開

日本での知名度はあまり高くはないのだが、Tracktion社から提携販売しているプラグインの変わり種シンセ Waverazor が11月に入って無償のLE版を出したので、備忘録を兼ねて紹介しておきたい。私も早速ダウンロードして Tracktion 7 に入れてみた。 www.dtmst…

通信カラオケのデータ制作現場とMIDI

「DTMステーション」で通信カラオケのデータ制作大手であるシーミュージック社の取材記事が掲載されており、とても興味深い内容である。 www.dtmstation.com 通信カラオケではリクエストごとにカラオケ配信会社からMIDIデータをダウンロードして現場のGMハー…

w-inds.が投げかけるJ-POPガラパゴス化への疑問

1ヶ月ほど前Yahoo!に掲載された音楽ユニットw-inds.のインタビュー記事が個人的に結構刺さったので備忘録がてら紹介しておきたい。 news.yahoo.co.jp 特に最後の方の以下の一節は、プロアマ問わず一応は念頭に置いておいた方がよいであろう情勢認識だと思う:…

T7の新機能注目点 (Tracktion)

本年度MIDI検定1級の本番に重なったせいもあり、T6からT7へアップグレードしてから大して触らぬまま1ヶ月程度間が空いてしまったが、先日に新機能の概要をざっと把握する機会を得たので備忘録がてら簡単にまとめておこうと思う。 daw-jones.hatenablog.com …

オーケストレーション入門講座

8月31日よりSleepfreaksでオーケストレーションの入門講座7回シリーズが始まったようで、これは来年以降のMIDI検定1級受験者にとっても結構助けになる参考資料ではないかと思う。 sleepfreaks-dtm.com 何度かこのブログでも書いたように、MIDI検定1級の課題…

T7が無償開放へ (Tracktion)

Just a quick note だが、旧Tracktionシリーズの最終版にあたるT7が昨日より無償版として提供されるようになった模様である。 www.tracktion.com 合わせて現行主力製品であるWaveformへの乗り換えキャンペーンも実施中のようだが、Tracktion社としてはユーザ…

興味深かったMPC特集

ライムスター宇多丸師匠のTBSラジオ帯番組である「アフター6ジャンクション」で、先頃7月30日の放送回が非常に興味深く、私のようなDTM愛好家にとっては新たな知見の宝庫であった。 www.tbsradio.jp AKAI MPC (MIDI Production Center / Music Production Co…

便利なパターン編集とMIDIデータ (Studio One 4)

以下記事の続きで、Studio One 4 (Prime版) のもう一つのエディター新機能であるパターン・モードについて簡単に検証してみたい。 daw-jones.hatenablog.com なお、本機能の概要については、例えば以下の解説動画がとても参考になるのでそちらを参照してもら…

ディープ・ラーニングによる音楽の生成

昨年夏に自動作曲ツールの調査研究をやった一環で、ニューラルネットを用いた音楽生成モデルの代表例であるMagentaプロジェクトなどの存在を知ることができた。 daw-jones.hatenablog.com Magentaは自分で実際に動かしてみたりもしたが、その後自主制作上は…

Studio One 4 のPrime版がリリースへ

待ちに待った Studio One 4 の無料Prime版が本日よりPreSonusの本家サイトで公開、ダウンロード可能となったようである。前のバージョン3を本家サイトより落としてインストールしていたユーザはメール通知があったかと思う。私も早速アップグレードしたので…

同一トラックで途中の音色変更を伴う場合のSMF作成 (Studio One)

以下記事の続きになるが、Studio One の重要な仕様を指摘しておきたいので、別出しの一般記事として書くことにする(ちょっとマニアックです)。 daw-jones.hatenablog.com 途中の音色変更とMIDIデータ 同一楽器パート(トラック)において途中の音色変更を…

MIDI検定1級演習 2017年課題曲 (5) エレキとピッチベンド

MIDI検定1級2017年課題曲の要所ポイントを書き記すシリーズの最後として、今回はエレキのパートに注目してみたい。 daw-jones.hatenablog.com 本曲のエレキに関しては、大きく分けて2種類の勘所がある: ピッチベンド・コントロールを使ったベンディング(チ…

新しいフリーのサウンド素材

最近になって LANDR と NI (Native Instruments) の大手業者からロイヤルティ・フリーのサウンド素材がダウンロード利用できるようになったので、備忘録がてらに紹介しておきたい。サウンド・ライブラリーもクラウドの時代に移行しつつある動きが垣間見える…

BandLabを試してみる

W3Cの Web Audio/MIDI API 仕様の普及により、いわゆるブラウザーDTMを提供する各種サービスが花盛りだが、そのうちの一つである BandLab を試してみたので備忘録がてらに感想などを書いておきたい。 ちなみにBandLab社は、Gibsonから Cakewalk を買収して事…

Studio One で書き出すSMFのティックずれ修正

Studio One で書き出し保存したSMFを Domino で読み込んでチェックすると、数は少ないものの所々でノートオンのタイミングとなるティック値が微妙にズレていることがある。計算誤差なのかどうか原因は不明なのだが、ほとんどは1ティックだけ前後にズレるケー…

Studio One がバージョン4にアップグレード

Studio One はバージョン4に上がるまで有償Professional版の購入は控えた方がよいだろうと昨年はずっと粘り続けていたのだが、本日遂にバージョン4リリースの発表があった。たぶん秋のバーゲン・シーズンにぶつけてくるのではないかと想定していたので、意外…

MIDIデータの譜面化 (2) MuseScore

以下記事の続きで、今回はMuseScoreを使用した譜面化を検証してみる。 daw-jones.hatenablog.com SMFのインポート 前回と同様に、システム・セットアップデータが付加されたSMFを作成し、これをMuseScoreに読み込むとする。 SMF作成後、メニューバーから フ…

MIDIデータの譜面化 (1) GarageBand

MIDI検定2級2次試験およびMIDI検定1級での1次審査対応において、各ノートのピッチとタイミングの確認は十分に尽くす必要があるが、視認性があまり良いとは言えないピアノロール編集画面上での目視検証だけではどうしても限界ある。 そこで補助手段として、MI…

ソング間のトラック丸ごと複写について (補足)

以下の元記事に対して id:psycholococolo さんよりコメントを頂き、Studio One の場合の対処方法をご教示くださったので、謝意を述べるとともに、本記事で改めてまとめておきたい。 daw-jones.hatenablog.com 別のソングで使った特定トラックの設定(音源音…

コード理論の新しい教科書

和声すなわちコード進行の理論は、MIDI検定実技では直接必要となる場面はないものの*1、自主制作ではある程度は知っておいた方がよい有用な知識の一つである。 コードの基礎理論に関する手引きやウェブ・チュートリアルの類はそれこそ星の数ほどあって、私の…

コード進行アプローチ再考

先週一部で話題になっていた音楽バラエティ番組「関ジャム」によるJ-POPの音楽理論的な分析がなかなか興味深かった。音楽好きにはすでに広く知られている話がほとんどだったが、要点は簡潔によくまとめられていて一見の価値はある*1。 togetter.com リズム主…

スケール主体の作曲アプローチ

以下の小ネタ記事に対する補記。同じような悩みを持った人が多いせいか、本ブログでは割とアクセス上位の記事であるが、iOS版のGarageBandを触っているうちに、初心者はむしろスケール主体のアプローチで取り組んだ方が主題となるメロディーを着想しやすいの…