前回記事で触れたように、楽曲全体のMIDIデータ打ち込みを大幅に効率化する手段としてMML/MIDIコンパイラを援用することに決めたわけだが、具体的な運用手順や使用上の注意点などを記す前に、同ソフトのMacへの導入方法について、以下簡単にまとめておく(Linuxでも同様)。
ソースコードのダウンロード
mml2mid のダウンロードページより最新版(v5.30b)のソースコード一式をダウンロードする。解凍すると中身はターボール(mml530b.tar
)であり、これをさらに展開すれば、フォルダー mml530b
にまとめられたソースコード等必要なリソース一式が得られる。このフォルダーを、ユーザ領域の適当な場所へ移動または複写する($HOME/Documents
の下など)。
添付テキストファイル類のエンコード変換
Windows上で作成された古いソフトウエアであるためか、readme.txt
や、あるいは一番重要と思われるマニュアル文書(mml530b/doc/mml2mid.txt
)などは、このままの状態では文字化けで判読できない。
これらファイルの日本語文字エンコーディングをUTF-8に変換してMacでも読めるようにするため、nkf
コマンドツールを使う。まだ導入していない場合は、Homebrew
を使ってインストールする方法が一番手っ取り早い。nkf
コマンドについては、以下の記事が比較的新しい。
実行すべきコマンドはいたって簡単で、以下の1行のみである:
nkf -w {変換対象ファイル} > {変換後ファイル}
たとえば、
nkf -w readme.txt > readme_utf8.txt
ソースコードのコンパイル
あらかじめ用意されている mml2mid の実行ファイルはWindows/MS-DOS版のみである。したがって、MacまたはLinuxで使用する場合には、mml530b/src
フォルダーに入っているソースコードを自分でコンパイルする必要がある。しかし全然難しいことはない。
コンパイル
ここからはターミナルでの操作となる。
上記 mml530b/src
ディレクトリへ移動し、そこで make
と打つ。これだけである。 そうすると、同じ mml530b/src
ディレクトリ上に、mml2mid
という実行ファイルが新たに作成されているはずである。これをパスが通っているユーザ領域のどこか適当な場所へ移動または複写すればよい(またはソフトリンクを張ってもよい)。
ターミナル上で mml2mid
とコマンド投入して、以下のヘルプ・メッセージが表示されればインストール完了である:
MML->MID Compiler Ver5.30 (UNIX version)
Usage: mml2mid [switches] filename[.mml] [filename.mid]
(switches) -f : Output format 0 file
-tn : Transpose
-x : Swap >,<
-v : Swap ),(
-m : Assume MS-kanji code in strings (toggle)
-w : Only warning on unrecognized symbols
-c : Classic undocumented behavior
Input and output filenames can be "-" (which means stdin/stdout).
補足事項
- コンパイル時に、書式文字列攻撃の脆弱性に関する警告が出るが、ローカルで自分しか使わないプログラムなので無視しても特に問題はない(コンパイル自体は正常終了する)。C言語ユーザで気になる場合は自分でソースを修正してもよい。
mml530b/src
ディレクトリ上にあるmakefile
を開き、冒頭宣言部のBINDIR
変数やMANDIR
変数を自分好みの環境に編集後、make install
コマンドを投入してインストールしてもよい。要は、上記実行ファイルのディレクトリ保存を自動でやるか手動でやるかの違いである。
次回はMIDI検定2級練習曲の制作手順について
以上で準備万端整ったので、あとは具体的な楽曲の制作過程について、順を追って現時点でのまとめに入ることとしたい。今回の試行サンプル曲は、2014年2月実施時の練習曲No.2を使う。