前回の続き。サンプル曲は同じく第15回(2014年2月期)MIDI検定2級2次試験用の練習曲No.2である。今回は、典型的なチョーキング(ベンディング)について。
チョーキングの効果
チョーキングはギター奏法の一種で、無段階かつ滑らかに音程を変化させる効果をもたらす。したがって、MIDIでは必然的にピッチベンド・コントロールを使ってシミュレートすることになる*1。
本サンプル曲では、メロディを奏でるシンセ・リード(役割としてはリード・ギターと同様)のパートに一箇所出現する。具体的には、第9小節4拍目でC→D→Cと変化する部分である(下図参照)。本例は1音(全音)チョーキングである。
なお、本曲では該当箇所の楽器音色がシンセ・リードであるためか、ギター譜面で記されるような"C"あるいは"cho."といった指示記号は書かれておらず、代わりにピッチベンドのコントロール・チェンジがそのまま記載されている。
蛇足ながら、「チョーキング」は和製英語だそうで、正しくはベンディング (string bending) と表現するらしい。因みに「カッティング」も和製英語で、ストラミング (strumming) が正解。これは私も今の今まで知らなかった(勉強になります)。
ピッチベンドと該当ノートの入力
上例の譜面において、チョーキング箇所にはピッチベンドに対するコントロール・チェンジが記されており、C→Dの演奏時にベンド値を0から8191(最大値)へ変化させ、D→Cに戻る際に再度0へ戻す。
したがって、小節を跨いだタイの部分も含め、第9小節4拍目からCのノート一本で繋げて入力しておいてよいと考えられる*2。または、譜面により忠実に従うのであれば、チョーキングするC→Dの部分と、Cに戻してから小節跨いでのタイの部分は、別々のCノートに分離してもよいと思う。どちらにしても演奏結果は同じになる。
前提となるベンドレンジ
本例のようなピッチベンドのコントロールで忘れてはならない前提条件として、ベンドレンジの設定がある。上例の場合、ピッチベンドを最大値に倒してもC→Dの2半音分しか上がらないことが大前提になっている。このような設定は、実は協会提供のテンプレートSMFに定義されている。テンプレートSMFについては、以前に書いた下記記事も参照されたい。
具体的には、各チャネルの1小節目のセットアップ・データにおいて、下図の通りにベンドレンジが2半音で設定されていることに注意する*3。つまりベンドを+8191または-8192で振り切っても上下2半音までしか変動しないようになっている。ベンドレンジは通常のパフォーマンスでは、1オクターブあるいは2オクターブで設定していることが多いだろうから、紛らわしいというか、初心者は改めて指摘されないとわからないかもしれない*4。