DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

TracktionによるMIDIデータ編集 (1)

今回より、すでに実習で制作済みのSMF(標準MIDIファイル)をDAWに取り込んで編集加工を実践し、一連の作業フローを確立しておこうと思う。これは2級実技では必ずしも必要な作業工程ではないが、芸術評価の加わる1級実技では必須と考えられるので、DAWの習得がてら試してみることにした。

なお、私が当面使用するDAWは Tracktion 5 である(以下記事参照)。また、今回試行用の題材に用いる楽曲は、これまで通りMIDI検定2級2次試験2014年2月期の練習曲No.2とする。

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プロジェクトの作成

Tracktionによる編集は、まずプロジェクトの作成から始まる。これは簡単に言えば、楽曲リソース管理用のディレクトリ(フォルダー)を新規作成することに他ならない。

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SMF(MIDIデータ)のインポート

上記の新規作成済みプロジェクトを選択し、まだ何も書き足されていない真っ新なエディット画面を開いたところで、ウィンドウの一番左下メニューより Import > Import an Audio or MIDI file... をクリックして該当のMIDIファイルをインポートする。

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この際、インポート対象となるファイルは、オリジナルをそのまま参照するか、もしくはコピーを作成してプロジェクトのフォルダーに複写保管するか、2通りの方法を選択できる。 個別の制作状況や好みにもよるが、今回は後者の複写保管を選ぶとする。この挙動の設定は、Settings タブ > General Behaviour > Audio Clip Import により決定する(今回の私の環境では "Always copy file" を選択)。

インポート直後のエディット画面は、下記のような状態になっているはずである。何点か補足すると、

  • 左側の黒塗りマーカ2つはデフォールトの入力デバイスである。今回は特に使わないのでオフにしてもよい(後述)。
  • トラック名称は自動的に連番付与される。これらは後で変更可能である(後述)。
  • 黄色三角印の警告表示は、まだ発音出力するための楽器を設定していない状態に起因する。オーディオと違ってMIDIは単なる制御データでしかないので、今この状態では再生しても何ら音は鳴らない。この設定対処については次回述べる。
  • 各トラックのMIDIデータ左下には楽器名等がすでに表示されている。これはクリップ名称であり、プログラム・チェンジに従いGM音源名称を自動的に割り当てている(ようである)。ここは特に変更する必要はないと思う(クリップのプロパティで編集は可能)。
  • 下例の Track 8 の所を見ればわかる通り、SMFをインポートした場合は、各トラックは単一のMIDIクリップから構成される。
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トラックの整理

上述の通り、各MIDIチャネルは別々のトラックとして1から順次割り振られる。ただし、同一チャネルでもポートを分けた場合は別個の独立したトラックとして扱われる。本例では SynthBrass 1 がそれに該当し、MIDIデータ入力の都合上、低音部と高音部でポートを分けたため、各々 Tack 4 と 5 に分かれている。

インポート直後の状態のままではパートの構成などが分かりづらい面もあるので、以下の通りに簡単な整理をする。

入力デバイスの非表示

今回は完成品のSMFをインポートするため、MIDIキーボードを含めて追加の外部入力は関与しない。したがって、入力デバイスは非表示にしても構わない。メイン・ウィンドウ一番右上のスイッチで表示/非表示を切り替える。

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トラック1(SysEx)の削除

Track 1 のMIDIクリップ名称が SysEx となっていることでもわかる通り、どういうわけかSysExメッセージだけ別出しでトラックが割り当てられる。

本データは、GM2音源使用ONのメッセージであるが、Tracktion上ではGM音源は使用しないため(GM音源の縛りはないため)、これはトラック丸ごと削除してもよい。

トラックのグルーピング

本例では、Track 4 および 5 が同一の楽器パートなので、グループ化すれば見やすいであろう。もちろんこれは必要に応じて好みでやればよい。

Commandキーを押しながら Track 4 および 5 を両方クリック選択した状態で、右クリックのコンテキスト・メニューより Create folder track containing... を選択する。

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すると、下図のようにフォルダー下へ配置される。フォルダー名称等は後で適当に変更する(後述)。

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トラック名の編集

各トラック名称は、クリップ名称を参考にして楽器パートが明確にわかるような名称に変更修正する。すなわち、トラック全体を選択し、下のプロパティにて名称変更する。これを各トラック毎に繰り返す。

フォルダーやクリップについても、トラック同様にプロパティにて名称の変更は可能である。

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整理後の状態

トラックの整理後は、概ね以下のような状態になろう。上下順は、ドラッグ & ドロップで自由に入れ替え可能であるが、譜面通りに配置した方がよいと思う。本例では、Synth Brass の低音部 (Track 4) と高音部 (Track 5) を上下入れ替えている*1

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次にやること

すでに述べたように、この段階ではまだ音は一切鳴らない。そこで次回は、プラグイン・ソフトシンセをフィルターとして挿入し、発音させる設定に移る。

*1:下図はすでにソフトシンセを全トラックにフィルター挿入した後のキャプチャーなので、黄色三角印の警告表示は消えている。