DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてDTMを楽しむ記録。MIDI検定試験にもチャレンジするなり。

TracktionによるMIDIデータ編集 (4)

前回の続き。今回の作業工程としては、エフェクト処理とWAVファイル出力ということで、いよいよ最終段階である。

daw-jones.hatenablog.com

エフェクト処理の基本方針

T5の場合、プラグイン・エフェクトを挿入する対象は、個別のクリップ、トラックおよび楽曲全体(マスター編集)の3種類ある。このうち、クリップへの挿入は、オーディオ・クリップの場合のみ可能で(下図例参照)、MIDIクリップおよびステップ・シーケンス・クリップでは適用できないので、本稿では割愛する。

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各トラックへのプラグイン・エフェクト挿入

エフェクトの挿入操作は楽器の場合とまったく同じで、各トラック右端の出力フィルター領域に次々と追加で好きなだけ差し込んでいけばよい*1。数が多くなると、縦横上下に自動でスタック表示されるが、処理フローの流れは、左から右へ、上の段から下の段へ、と直感には反しない。

原則として、一番左端に楽器のプラグインを置き、それに続いてエフェクターを重層的に加える、という配置になる。

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エフェクトの適用ルールに関しては、作品やユーザの好み次第と言ってしまえば身も蓋もないのだが、経験知などに裏付けられたセオリーやノウハウも数多く、それらを完全に無視することもできない。その種の理論詳細や個別のエフェクト・テクニックは、学習しつつ追々書き足していきたいと思う*2

今この場で忘れずに強調しておきたいセオリーとしては、少なくともベースのトラックにはエンハンサー(エキサイター)を適用すべし、ということである(プラグイン等々詳細はまた後日に取り上げたい)。全楽器パートの音を重ねた際、低域は放っておくと簡単に埋没してしまうので、エンハンサーによって浮き立たせる処理が必須になる。この「低域問題」に関しては、「DTMステーション」の下記記事の一読を勧めたい。

www.dtmstation.com

www.dtmstation.com

全体マスター編集へのプラグイン・エフェクト挿入

さらに楽曲全体に対してエフェクトを掛けたい場合、ウィンドウの一番右下に位置するマスター編集領域にプラグインを追加していけばよい。追加の方法や配置順の考え方は各トラック別出力フィルター領域の場合と同様である。

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下図はイコライザーとコンプレッサーを追加した例である。常識的にはコンプとイコライザーは必須であろう。あとはマキシマイザーなどが考えられる。

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WAVファイル出力

WAVフォーマットのみならず、AIFFやmp3等のファイル出力も可能だが、基本はWAVの場合と同様のため、詳細は割愛する。

I/Oマーカーの位置決め

編集領域の一番トップ領域にあるI/Oマーカー(パンチ・イン/アウト録音でも使用)を動かして、楽曲のスタートとエンドを指定する。

I (Input) マーカーは一番左端の頭に置くとして、O (Output) マーカーは楽曲エンドにプラス1ないし2小節程度後ろにずらした位置に移動させる。これは、演奏終了後の残響や余韻を入れるためである。そうしないとお尻がブツ切れになる。

下図例では、14小節でエンドのところを2小節足した場所にOマーカーを移動させている。

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エクスポート設定

I/Oマーカーの位置決めが終わったら、ウィンドウ右下のメニューより Export > Render to a file... を選び、ファイル書き出し設定の画面を呼び出す。

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設定画面は以下の通りで、各パラメータは概ね自明だと思うが、特に注意すべき点を以下に記す(付番項目)。

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  1. ディザリングは、オーディオ素材のビットレートをダウンサイズして出力する場合は必ずONにする。例えば、量子化ビット数24で録音したオーディオ・クリップを上例のようなビットレート16で出力するような場合である。MIDI検定実技の場合はオーディオ録音は無関係だが、サンプリング素材のプラグイン(ドラム・キットなど)を用いる場合は影響を受ける可能性がある。オーディオ・クリップに関しては後日稿を改めて書きたい。
  2. 上述の通り、I/Oマーカーで位置決めした範囲を再生出力するので、ONにする。
  3. 簡単に言えば音割れ防止対策のため、ONにした方がよい。
  4. 実は Export Complete の状態で指定場所(File入力欄)にWAVファイルはすでに書き出されている。これを適当な再生ソフトで読み込んでチェックし、気に入らなければ Cancel すると、一旦書き出したファイルは自動的に消去される(なかったことにされる)。
  5. 書き出されたファイルを自動消去せずにそのまま保存したい場合には Render を指定する。

さすがDAWというべきか、音質はかなりいい感じで仕上がると思う。もちろんマスタリング次第だが、Domino + Audacity によるWAV出力サウンドよりは立体感が出るはずである。ただし、しつこいようだが、2級実技ではここまでやる必要ないだろう。あくまで1級実技以上を見据えての演習である。

*1:当然のことながら、差し込むプラグインの数に応じてCPUパワーが要求されるので、マシンの処理能力も念頭に置く必要あり。

*2:すでにコンプレッサーについては以前に書いた