DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてDTMを楽しむ記録。MIDI検定試験にもチャレンジするなり。

ドラムの各楽器パーツ別トラック分解

過去記事にて将来課題の一つとしてまとめたように、本来ならばドラムについてはキックやスネア等各パーツごとにトラックに分離してエフェクト処理をする必要がある。そうせずに単一トラックでマスター編集した場合、特に不満を覚える大きな問題は、キックが弱々しくなり、ほとんど聞こえなくなってしまう現象である。

daw-jones.hatenablog.com

このようなドラム・キットのトラック分解は、マルチチャネル対応のプラグインであれば比較的容易に実現できる。今回は備忘録代わりにその方法を簡潔に紹介しておきたい*1

マルチチャネル対応プラグイン

マルチチャネル対応のプラグインであれば、各楽器パーツに対応したピッチ別に、わざわざ元のMIDIデータを(DAWによっては手動で)トラック分解する必要はない。すなわち、各楽器パーツの出力先を別個のチャネルに分け、それぞれのチャネルとアウトプット用トラックを紐付ける設定さえすればよい。これがトラック分解の効果を狙う一番お手軽な方法と言えるだろう。

マルチチャネル対応のドラムキット・プラグインの代表格として、幸い私も既に導入済みである MT Power Drum Kit 2 を取り上げる。下図の赤枠で囲った領域を見れば明らかなように、これは各パーツごとに出力先のチャネルをユーザ側で自由に振り分け設定できる。

f:id:daw_jones:20170217183033p:plain

T5のエディット画面では、下図例のように MT Power Drum Kit を含んだラックフィルター(ラッパー)をすべての出力先トラックに挿入し、左下のプロパティで音源チャネルを紐付ける。下図例では、Crash Cymbals のトラックは、MT Power Drum Kit のチャネル4から出力を受けて発音する仕組みである。その Crash Cymbals をチャネル4に割り当てる設定は、上図プラグインの設定例の通りである(Crash L / Crash R)。

f:id:daw_jones:20170217183605p:plain

 

とさらっと書いてしまったが、おそらくこの説明だけでは意味不明と思うゆえ、具体的な詳細設定方法については、下記チュートリアルを参照されたい。これ以上ないほど懇切丁寧に解説されているので、ここでくどい繰り返しは避ける。要はラックフィルターを使うところがミソである*2

www.youtube.com

 

参考までに別のプラグインをもう一つ追記。MT Power Drum Kit とはまったく毛色の異なるドラム・キットとして、ヒップホップ系で人気のあるフリーのドラム・プラグイン Line of Legends も、同様の設定で8チャンネルをトラック分解可能である。

ただし、こちらはGMパーカッション・マップには非準拠で独自配列であること、また各楽器パーツごとのチャネル区分はプリセットで固定されていることに注意する。

マルチチャネル対応ではない場合

Drum Pro 等どうしてもマルチチャネル非対応のものを使う場合は、ピッチごとにMIDIデータをトラック分解するほかない。フリー版だと、数としては非対応のプラグインの方が多いように思う。

T5では、Cubaseのパート自動分解に相当する機能はないため、手動で処理せざるを得ない。やり方としては、

  • 全パーツ揃った元のMIDIデータを、出力先の各トラックへ複写する。
  • 各トラックにて、該当楽器パーツ以外の不要なMIDIデータを削除する。

という手順がもっとも単純であろう。T5のピアノロール上でCommandキーを押しながら鍵盤GUIをクリックすると、ターゲットとなったピッチのノートを一網打尽に選択できる。目的のピッチ以外を効率よく消去する手段として使えると思う。

ただし、MIDIデータもしくはステップ・シーケンスのデータをトラック分解してバラしてしまうと、後からの追加修正が非常に面倒なことになる可能性がある。したがって、自主制作の場合であっても、分解加工は可能な限り避けた方がいいと思う。そういう観点からしても、ドラム・キット用プラグインの選択にあたっては、マルチチャネル対応か否かの見極めがかなり重要な意味を持つと言える。

*1:いわゆるパラアウト (individual output) の実現方法。

*2:ラックフィルターは Tracktion の特徴的かつ高度な機能の一つで、ユーザ独自のフィルター合成や入出力ルーティングを柔軟にカスタマイズできる仕組みである。私は正直これを使いこなせる自信はあまりないが。