今回より次の練習曲に移り、第15回MIDI検定2級2次試験(2014年2月期)練習曲からNo.3を演習例題として取り上げる。本曲は、珍しいことにチャネル10のドラム・パーカッションが存在しないバラード調の曲である。
今までの演習(練習曲No.1およびNo.2)で遭遇しなかった表現パターンは、大きく分けて2点ある。すなわち、ピアノのダンパーペダル表現と、ストリングズにおけるベロシティのダイナミックな変化、の2つである。今回はこのうちの前者を中心に、ピアノ・パートの勘所をまとめておきたい。
和音繰り返しの効率的な入力方法
バッキングのパートではよくあるパターンとして、同一演奏フレーズの繰り返しが頻出する場合がある。本曲ではピアノの高音部がそのようなケースに相当する。
実はMMLでこれを効率的に記述する方法があり、何回も同じデータを繰り返し書き記す手間を省力化できる。すなわち、[ ... ]n
と書き、繰り返しのフレーズを[
および]
(ブラケット)の中に包含した上で繰り返し回数n
を指定すればよい*1。なお、[
の後ろ、および]
の前のスペースはあってもなくてもよい(検証済み)。
低音部と高音部の統合
ピアノの低音部と高音部を対象とするMMLおよびMIDI変換データを作成する場合は、それぞれ別個のトラックに分けて編集した方が入力作業が捗り、ミスの可能性も低減できることが多い。
最終的に双方をMIDIマスター編集ファイルに取り込む際は、練習曲No.2のシンセブラスのパートでやったように、そのまま分離した状態でポートを分けてしまう方法もある*2。
しかし、本曲の場合はわざわざポートで分離せず、下図例のように同一チャネル・同一ポート上に貼り付けて統合してしまう方法がベストである。というのも、本曲のピアノではダンパーペダル操作を(当然だが)低音部と高音部の両方に適用する必要があるため、トラックを分離した場合はコントロール・チェンジのデータ入力が二度手間になってしまうからである*3。
この辺のテクニック詳細については、以前書いた下記記事も参照されたい。
ダンパーペダルの表現
本曲のピアノ・パートには、下図例のようにダンパーペダルのコントロール・チェンジ(CC#64 Hold 1)指定がある。
Dominoでは、右下のイベントグラフ・ペインで簡単に追加入力できる。ただし、本例題曲では、ペダルの踏み込み具合は考慮せず、単にOn/Offを指定するだけなので、Onの場合は127の位置をクリックし、Offの場合は0の位置をクリックする、という操作を繰り返す。本例の場合、挿入位置については、
- Onの挿入位置は、音が鳴り始めた直後あたり。
- Offの挿入位置は、次のペダル踏み込み操作の直前あたり、音が途切れたところ。
とするのが基本である。なお、ダンパーに関する詳細は、公式ガイドブックの§3-2-6「コントロールチェンジ」p.90 を参考とする。
このようなダンパーのOn/Offデータが正確に挿入されているかどうかは、イベントリストでも同時に確認できる。