以前書いたミキシングとマスター処理に関する記事に関し、音圧向上の観点から補足しておきたい。
前回トライアルでは、音割れを恐れて書き出し時に敢えて正規化(ピーク音量を0dBに強制アップ)しなかったので、書き出したWAVファイルの音量が若干小さい状態になってしまった、という反省がある*1。裏を返せば、音圧を上げる余地はまだ残っていたということになる。
これを解決する手段としては、いわゆるマキシマイザー(コンプレッサーというかリミッターの一種)の適用が最善である。具体的には、フリー・プラグインの割には非常に高品質な LoudMax を、マスターおよび各トラックのフェーダー直前に挿して最終音圧を調整する*2。
パラメータが閾値 (Threshold) と出力値 (Output) の2つしかないため、非常にシンプルで使い方も簡単であり、重宝すること間違いない(もっと早くに気付くべきだった)。加えてCPUの負担が比較的軽い。
閾値は一般的なコンプレッサーのそれと同様であり、これを0dBから下げるほど、隠れていた小さい音がもっと前面に押し出され、結果的にダイナミック・レンジは縮小する*3。出力値は、最大音圧を指定し、0dB以外、たとえば-1.0dB等自由に調整できる。なお、brickwall型なので、厳密にその上限値を超えないよう調整してくれる点が非常にありがたい。
これは最後のマスター工程だけではなく、各トラックごとに適用してもいい。全部のトラックに挿す必要はないだろうが、特にキックやベースなどの音割れしやすいパートに適用すると効果抜群である。またCPU負荷が高くなってしまっている等、場合によっては、一般的なコンプに代えてこれだけを挿しても効果あると思う。
私も試しに自主制作中の楽曲に使ってみたが、WAVに書き出しても十分な音量を保ちつつ一切音割れは生じなかった。結構大きめのキック音もまったくクリップしなかったので、相当優秀であると確信する。因みに、マスターにLoudMaxを適用した場合は、書き出し時の正規化処理は当然ながら不要である(むしろやるべきではない)。
LoudMaxとは別種のWebサービスとプラグインのレビューではあるが、音圧アップの考え方と効果に関しては以下の記事が非常に参考になる。