MIDI検定2級1次試験のイベントリスト問題について考察するシリーズ。引き続き新制度試験の過去問に取り組む。本日は第15回と第14回を対象とする。これにて新制度のイベントリスト問題はすべて完了である。
第15回試験の解説
- 試験問題: MIDI検定2級1次筆記試験の問題(PDF)
- 模範解答: MIDI検定2級1次筆記試験の解答(PDF)
問題 Chapter 6-3, 6-4 (a): ピッチミス
エレピの右手高音部と左手低音部の合わさったイベントリストであるため、音数が多くて分析に時間を要するケース。第6小節高音部の最終ノートで、和音を構成する音のうち、E4とA3にフラットの臨時記号が付く。後者はA#3と記載されているが、正しくはG#3(=Ab3)である(下図参照)。
多くのDAWでは、ピアノロールの表記上臨時記号をシャープに統一しており、そのスタイルに慣れておく必要がある。
問題 Chapter 6-3, 6-4 (b): ゲートタイム
スタッカートの場合のゲートタイムは音価の50%程度が目安である。したがって、第10小節の3拍目に当たる下図8分音符C1のゲートタイムは、216では長過ぎであり、120程度とすべきである。
問題 Chapter 6-3, 6-4 (c): ノートオンのタイミング
本問のノートはすべて16分音符であるが、休符は16分、8分および4分の3種類が入り乱れて混在しているため、拍の位置を正確に押さえるよう慌てずに区切っていく。
第12小節の2拍目の頭は16分休符が入っており、G2のノートオンの位置は120ティックだけズラす必要がある(下図下線部)。
問題 Chapter 6-3, 6-4 (d): ピッチベンド・チェンジの値
これは難問。9小節目以降のノートにミスがないことを確認したら、ピッチベンドの適用箇所が怪しいと目星は付くが、ある程度の実技経験がないとなかなかピンと来ないと思う。実は本問冒頭にベンドレンジは"2"とする旨の但し書きがあるため、これに注意を払っていれば大きなヒントにはなる。
チョーキングのためにピッチベンド・チェンジを適用するところで、G#4(=Ab4)からA#4(=Bb4)のインターバル2半音をカバーしなければならない。したがって、ベンドレンジが2半音であるならば、ピッチベンドは限界一杯倒し、ピッチベンド・チェンジは最大値8191まで到達する必要がある。しかしイベントリストでは中途半端な7100の値で折り返しているため誤り。
第14回試験の解説
- 試験問題: MIDI検定2級1次筆記試験の問題(PDF)
- 模範解答: MIDI検定2級1次筆記試験の解答(PDF)
問題 Chapter 6-3, 6-4 (a): ゲートタイム
タイつながりの場合のゲートタイム。下図のタイで繋がったノートは付点8分音符相当の長さであるべきなので、ゲートタイムは"00:107"ではなく"00:324"が正しい。
問題 Chapter 6-3, 6-4 (b): ノートオンのタイミング
ギターのミュート奏法が題材になっているが直接は関係ない。第4小節3拍目に入るコード構成音の一つ(下図下線部)について、ノートオンのタイミングがズレている。
実は第3小節と第4小節はまったく同一のフレーズなので、両者のデータを見比べると一発で違いが判明する。
問題 Chapter 6-3, 6-4 (c): ピッチベンド・チェンジの値
ハンマリング・オンを題材としたピッチベンド・チェンジの間違い探しになっているが、これは非常に簡単。
2半音上げるためピッチベンドを8191へ一気上昇させるというデータの繰り返しであるが、1箇所だけ逆に下げているというつまらないミス。
問題 Chapter 6-3, 6-4 (d): ゲートタイム
これは難問。新制度になってからのイベントリスト問題では一番難しいかもしれない。難しいというか、非常に感づきにくい。
チョーキングとプリング・オフの連続適用対象となる第4小節2拍目240ティック先からノートオンするG3の長さ(ゲートタイム)が明らかに足りない。提示されたイベントリストの値"00:358"だと、プリング・オフにする直前で切れてしまう。本来は"00:456"程度の長さ(4分音符相当の音価の95%前後)が必要である。