MIDI検定2級2次試験(実技)演習シリーズの最後として、2017年2月期練習曲セットを取り上げて分析し、要注意点などを整理しておく。これにて現時点で利用可能な過年度練習曲はすべて実践終了となる。私が受験予定の2018年2月期用の練習曲は本年12月末頃に公表されると思うが、それまでの期間については2級1次試験の知識問題対策や1級課題曲演習に取り組みたい。
なお、楽曲毎の主たる技法テクニックや出題パターンについては、2014年〜2016年2月期の演習計12曲で個別に分析し尽くしたため、今回は4曲通じての総評と特筆すべき点を書き記すに留める。
例年以上の難曲ぞろい
2017年練習曲セットのうち、No.1およびNo.4は標準レベルという感じだが、No.2とNo.3はアップテンポでなおかつ音数が非常に多く、これまでになく難易度が高い*1。勝手な想像だが、練習曲・課題曲制作者陣が交代した可能性も疑われる。反動で来年は易化すればありがたいが、あくまで希望的観測に過ぎない。
特にNo.2はMIDI表現テクニックの集大成とでも言うべき難解な楽曲で、CC#11 Expression 以外はすべて盛り込んであると見られる。2014年2月期以降では最も難易度が高く、データ作成には他曲の比ではない手間を要する。調性は Ab Major で調号がフラット4つも付く点も難度に拍車を掛けており、打ち込みとしてはほとんど苦行に近い。しかし、多少時間が掛かっても、本曲を制作し通すことができれば、一応2級あるいは1級入り口レベルは到達済みと考えてよいと思う*2。
要注意点など
2017年2月期練習曲でも見られた定番の要注意ポイントを以下に列挙する。個別の表現テクニック詳細については、2016年2月期までの練習曲備考で書いたため、繰り返しは避ける。
- 16分音符の6連符が頻出するようになった。2連続する3連符という解釈でよい。
- ハンマリング・オンは必出。これはベースは言うに及ばず、他の楽器パートでも応用として表現適用される場合がままある。
- スタッカートとアクセント記号の点在には要注意である。両者ともに見落としやすい記号の代表格。特にスタッカートは付点音符と紛らわしい。
- ピッチミスを誘発する目的であろうが、かなり面倒な調性が提示されることは珍しくない。Studio One のキーナビゲート機能を上手に活用する。
- 臨時記号の小節内有効は重々気をつける。ピッチミスの大きな原因の一つ。再生時に不協和音等違和感を感じたら十中八九ピッチミスを疑う。
- ベースとギターは、SMFのMIDIデータとしては必ず記譜より1オクターブ下げる*3。特にギターはつい忘れがちである。本番では模範演奏例を聴いて対照チェックできないため、失念の恐れがあるが、これを忘れると非常に大きな失点に繋がる。
省略記譜法
譜面解釈上今回初出だったのは、いわゆる省略記法のうちの繰り返し指示で、No.3のオルガン・パートで使用されていた(下例参照)。なお、これはポピュラー独自の記法で、クラシックでは通常は使われないようである。
将来出現の可能性がありそうな未出項目
一応頭の片隅にでも入れておいた方がいいかもしれない未出題の表現技法などを、思いつくままに以下列挙してみる。ポピュラーの実務では珍しくない、コード表記を解釈させるスコアも考えられるが、コード理論はむしろ1次試験での出題範囲であろうか。