以前の記事でも少し触れた通り、MIDI検定1級では様々な移調楽器への対応を迫られるため、これについて検証、確認しておく。
MIDIデータの移調方法
Studio One のみならず、多くのDAWでは移調対策として、
の2種類が用意されている。
前者の方がお手軽だが、この方法ではSMFに書き出した時に移調結果をMIDIデータに反映しない*1。したがって、すべてのMIDIイベントに対して直接トランスポーズを適用し、実際のノート・ピッチを移動させる必要がある。
具体的には、対象となるMIDIイベントをまとめて選択後、右クリックのコンテキスト・メニューより Transpose を選択して半音単位で移調させる。すると、MIDIのすべてのノート・ピッチが指定音数だけ移動することにより、移調後のMIDIデータが一括で作成される。
移調解釈が必要な楽器について
いわゆる移調楽器としては、ホルンやクラリネットなどの管楽器が典型で、譜面を見ると他のパートと調性が異なることから移調が必要だとすぐわかる。移調楽器と移調方法(記音と実音との関係)については下記Wikipediaの一覧表に詳しい。
上述のような移調楽器のほかに、ギターとベース(ベース系統の弦楽器なども含む)については記譜より1オクターブ下げてMIDIデータを書く必要がある。これはMIDIによる楽曲制作の慣習みたいなもので、半ば常識化しており、2級実技でさえも譜面上いちいち指定はされないので注意を要する。
1級の場合、楽曲のパートに移調楽器が含まれる際は、制作規定書に注意解説が掲載されるはずであるが、常識に任せるつもりですべての移調楽器について逐一指摘してくれるかどうかは定かでない。
たとえば、2016年課題曲にはクラリネット(Bb管)のほかに、同類のバスクラリネットが含まれるが、どういうわけかこれについての注意書きは一切ない。バスクラリネットの場合、通常のクラリネット同様に2半音下げるだけでなく、さらに1オクターブ下げる必要がある(音部記号がト音記号の時)。移調が必要なことは譜面からも自明であろうが、ベースなのでオクターブ下げるところまで対応しないといけない*2。
なお、1オクターブ下げ対応は、コントラバス(ダブルベース)でも必要であるが、これについても制作規定書には特に注記はなかった。