MIDI検定1級課題曲の制作では、Studio One で作成した楽曲データのSMFにセットアップ・データを付け足し、Dominoで微修正を加えて完成形のSMFを書き出す*1。2016年課題曲を例にすれば、最終的には以下のようなMIDIチャネル構成とイベントリスト(一部)が出来上がる。
セットアップ・データの追加加工処理については、Pythonを使って一括バッチ処理で対応する手順・方法などを下記シリーズ記事にて書いたので参考まで。もちろんこれは手動編集でも全然問題はない。ただし、1級はトラック数が多いゆえに非常に手間が掛かることになると思う。
Dominoでの微修正項目
楽曲の基本データは Studio One 側で完成させるが、SMFとしてはまだ若干不完全なところが残っており、Dominoで最後の修正・調整後に最終成果物としてのSMFを書き出して完成となる。
コントロール・チェンジ等のごく一部修正
各トラック冒頭部分のピッチベンド・チェンジ(PB)およびコントロール・チェンジ(CC)のデータについては、一部でわずかな修正を加える必要がある。
実は Studio One から書き出したSMFでは、上記セットアップ・データとは別にPB/CCの初期値設定などが1小節目に入ってくる場合があるため、これらは削除するか、または必要であれば2小節目以降に移動する。
チェック対象は、PBおよびCCの3種(CC#1 Modulation、CC#11 Expression および、稀に CC#64 Hold1)のみ、しかも各トラックとも頭の部分だけである。したがって、手作業修正でも時間を要さず、きちんと目視確認して編集する方が簡単かつ確実だと思われる*2。
注意すべきは、削除・移動する場合にはセットアップ・データの一部ではないことをイベントリストで確認することである(下図CC#11 Expression の例参照)。
ボリュームとパン
Studio One でのミキサー設定を相対基準として参考にしつつ、セットアップ・データ上に適当な値を入れる。これはPythonでのバッチ処理で対応を済ませてもよい。
各トラック毎ボリュームとパンの設定値は作業レポートに記入提出する必要があるが、評価の対象には入らないようなので、あまり凝った調整はしなくてもよいと思われる。
リバーブとコーラス
リバーブは全トラック共通の値(40とか50とか適当に)でも特に問題なかろう。コーラスは必須というわけでもないので全トラックともにゼロ設定で別に支障はないと思う。
なお、リバーブとコーラスについては作業レポートに記入する必要はなく、またどのみち評価対象外だから適当でよい。
ベンドレンジ
特定の楽器パート(トラック)によってはPBを表現手段として使うことがあるので、その場合はベンドレンジの設定を忘れないようにする。Studio One では Presence XT の方でベンドレンジを設定するが、この設定値はSMFには書き出されない。
2016年課題曲では、バスクラリネットで1箇所だけグリッサンドに対してPBを適用しており、ベンドレンジを"5"に設定する(下記記事参照)。
2016年MIDI検定1級課題曲をDominoで再生
GM音源再生は2級実技演習では散々やってきたが、今回初めて1級課題曲をGM音源で再生してみた。
案の定あまりにもチープなサウンドで、特にバイオリンが酷い音色であることに絶句するしかなかったが、この再生音質は1次審査の評価対象外だから特に気にする必要はない*3。
要は、発音タイミングや、オクターブ等移調後のピッチがおかしくないかどうかを中心に、MIDIデータの正否を耳でざっくりチェックできれば十分と思う。