DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてDTMを楽しむ記録。MIDI検定試験にもチャレンジするなり。

MIDI検定1級演習 2011年課題曲 (1) 概観

今月よりMIDI検定1級課題曲の演習に戻ることとしたい。昨年2016年度の課題曲演習以来久しぶりの再開となる。

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演習題材

今回は2011年度(第2回)の課題曲を取り上げる。実は本曲の1ページ目のみサンプルとして公式ガイドブック p.245 に掲載されていた関係で、過去にお試し演習をやってみたのだが、その続きを完成させる意図を含む。

2016年度が本格的なクラシック調だったのに対して、こちらは正反対とでも言うべきロック風楽曲で、リズム・セクションもがっつり盛り込まれている。

スコア概観

上述の通り、ロック風の典型的なポピュラー楽曲なので、表現の主軸がギターとドラム等パーカッションとなり、管弦楽クラシックとは全然異なる打ち込みテクニックを要求される。

分量

パート数18および小節数88で、A3用紙10ページから構成される。単純にパート数 X 小節数で測れば2016年課題曲の3倍弱のボリュームとなり気圧されるほどだが、各パートとも全休符が多く、また同一パターンの繰り返しが少なくないので、実質的には2倍程度という感じである。

1級課題曲の常として、クラシック楽曲は音数少ないが、ポピュラーはパート数含めてボリュームが増える傾向にある。ポピュラー曲の場合、本番では夏季休暇スケジュールをうまく調整してまとまった作業日を確保しないと物理的に対応できない懸念がある(いくらなんでも徹夜は避けたいかと)。

転調とテンポ変更

テンポ変更と合わせて2箇所転調がある。DAWでのデータ編集上忘れずに対応すべきはテンポ変更の方である(テンポ・トラックの編集)。Studio One 3.5 Prime版(以下S3)でのテンポ編集値は、書き出したSMFにメタイベントとして反映される。

同一パートでの途中音色変更

本曲は一部のパート(エレキ、アコギとキーボード1&2の4トラック)につき曲中での音色変更指定がある。SMF上は該当箇所にてPC(プログラム・チェンジ)を挿入する必要がある。

一般的にDAWでは、PC対応音源(マルチチャネル音源など)を使用しない場合、音色に応じて追加のトラックを設定するが、1次審査用のSMFと2次審査用のSMFの2バージョンを制作することになる*1

装飾音符のルール

2011年の規定書によれば、装飾音は「前打音をジャストクオンタイズとして、それに続く実音を四分音符=480の分解能において30ティック後ろに配置」せよとの指示がある*2。このルールは2016年課題曲のそれと異なり、近年変更されたと見受けられる。因みに2016年の規定では、装飾音の入力タイミングは評価対象外である*3

トリルとグリッサンド

エレキとストリングズにはトリル表現がやや多い。トリルは2016年課題曲で演習済みである。

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キーボードはグリッサンドを多用しており、いわゆる鍵盤を手で撫でるような奏法をシミュレートすることになるが、キーボード演奏に慣れている人は実演をリアルタイム記録でMIDI化した方が臨場感が出ると思う(私は無理ですが)。

フルートにもグリッサンドが一箇所あるが、管楽器はピッチベンド・チェンジで対応できる。

なお、グリッサンドのタイミングは1次審査の評価対象外となっているため、受験者側である程度自由に表現可能である。

ギターとストローク表現

アコギは5和音とか6和音の連打が頻出している。これは明らかにストローク(ストラム)奏法を前提としている旨解釈すべきだろう。

ただし、規定書によれば、ストローク部分は1次審査ではクオンタイズされたデータで作成せよとの指示があるため、1次審査用のSMFでは譜面通りの和音のままデータを入れることになる。

これとは別に2次審査対応でストローク表現を加えることになるが、MIDIデータで表現すべきか、音源対応がふさわしいか、は実際に再生確認するまでなんとも言えない。

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ドラムのアドリブ

ドラムはそこかしこにフィルインとソロ演奏の指定がある(音符の記載はない)。これは1次審査の評価対象外で、受験者のアドリブに任されている。最も安直な対処法としては、ドラム音源のプリセット・パターンを流用する方法が考えられる*4。あるいは自動作曲ツールを援用してもよいかもしれない。この辺はドラム演奏の素養がないと自分で真っ当なパターンを考えるのは難しいので、無理にゼロから打ち込む必要はないと思う。

ドラムは本曲の中核を構成し、終始鳴りっぱなしで打ち込みの分量が多いので、S3のピアノロール入力では手間がかかって入力ミスを誘発しやすい。Tracktion 6(以下T6)のステップ・クリップを使って効率よく制作した方が得策だと思われる。ドラムだけはどうしてもT6での制作がベターであるため、これをオーディオ化してS3に逆輸入というワークフローなってしまうが、これについてはまた後日追記したい。

音色については、規定書にてGM音源のノートナンバーが指定されている(Snare = 38 など)。したがって、ドラム音源はGM準拠配列のものを使った方が無難である。

なおドラム譜面は、2級2次実技のように各音符と音色ノートナンバーのマッピング情報が一切与えられないため(これはちょっと意外ではあった)、標準的なドラム譜の解釈通りに打ち込むこととなる。

評価対象外のパーカション

パーカッションは1次審査の評価対象外となっている*5。おそらく、GM準拠配列以外の音源音色を自由に使ってよいとの趣旨だと思う。規定書では一応参考までにGM音源のノートナンバーを提示してある(Guiro Short = 73 など)。

同一パターンの繰り返しでシーミレ(simile)指示が頻出しているため、前小節パターンのコピペで対応すれば結構早く完了してしまう。たぶん本曲の打ち込みでは一番簡単なパートだと思ので、なんなら一番最初に片付けてしまってよいかもしれない。ドラムほど複雑ではないからS3のピアノロール入力で十分対処可能である。

*1:これ以外の理由もいくつかあるため、どのみち1次審査用のSMFは2次審査用の編集データと分ける必要がある。そもそも2次審査用にはSMFを作成提出する義務はない。

*2:つまり装飾音一つを64分音符扱いにする。

*3:装飾音としてのデータがあるかどうかのみチェックされる。実音(親音)をジャストクオンタイズにして前打音をその直前に追加するなど受験者の裁量に任されるようになった。

*4:MIDIデータを書き出せるものであること。したがって、オーディオ・ループ素材のはめ込みは無理がある。

*5:ピッチとタイミングについては評価されないということ。しかしデータが入力されているかどうかは判定されるはずなので、1次審査でも完全にMIDIデータをオミットすることはできない(オーディオ・ループ素材で誤魔化すことはできない)。