DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

ステップ・クリップ (Tracktion 6) によるドラム打ち込み

Tracktion 6 で強化されたステップ・クリップ機能を用いてドラム・パートのMIDI打ち込みを効率化する方法について備忘録的にまとめる。Tracktion独特なUIのせいもあって、ちょっとしたコツが要るため、今書き留めておかないと私自身忘れかねない。

これは下記記事の続きでもあるが、特にMIDI検定実技に限らぬtipsだと思うので、別出しで書いておきたい。

daw-jones.hatenablog.com

なお、公式チュートリアルとしては下記動画を参照されたい。

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チャネル割り当て

ステップ・クリップ内の各行の楽器の割り当てについては、標準的なドラム譜(次回触れる)の音符の高低順に合わせて上下順を設定すると、楽譜と照合しやすくなって入力ミスを回避できる。これはピアノロール入力に比べた場合の利点の一つであろう。チャネルの増設は、クリップのプロパティから"Add Channel" を押下する。

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当然ながら各チャネルごとに、発音させるノートナンバーを定義してやる(下図参照)。どのキーに何の楽器を割り当てているかは音源次第であるが、少なくともMIDI検定実技の場合は、GM準拠配列をサポートしている音源を使う必要がある。

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設定保存とその呼び出し

上述のチャネル設定は、ユーザ定義プリセットとして保存し、後から再利用できるようにしておく。下図の通り、クリップのプロパティ右下より "Create Preset" を押下することで保存可能であるが、その際、コンテキスト・メニューより "Exclude patterns" を選ぶと、パターン(中身)なしの入力テンプレを作成できる。

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保存したプリセットは、左側ペインの Presets > Step Clips より保存名一覧を表示の上で、該当するファイルをターゲットのトラックへドラッグして挿入する。

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クリップの長さの調整

各ステップ・クリップに左下にはセクション番号が自動的に付与されており(デフォルトでは初期値の"1"が入っている)、これをクリックすると、下部プロパティにクリップ長の設定項目が表示される。

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肝となるのは、グリッド縦軸の刻み幅となる "Step Length" (ステップ長)と、クリップ中の総ステップ数を指定する "Number of Steps" の2つである。この2つの組み合わせでクリップの長さを決定する。

ここで "beat"すなわち一拍は四分音符であることを念頭に置く。上例では "1/4 beat" となっているので、この場合は各ステップが16分音符であり、ステップ数は16であるから、このクリップはちょうど1小節分の長さを構成する(拍子記号が4/4の場合)。

仮に2小節以上等もっと長いステップ数を定義した場合は、パラメータ編集後にクリップの右上矢印をドラッグして引き延ばす。

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ベロシティの編集

ベロシティの編集については、クリップのチャネル表示列上の V/G (Velocity/Gate Time) 表示編集モードをオン(白から黄色に反転)にした上で、編集対象となるチャネルを選択状態にし、下部ペインにてバーの長さをドラッグ修正する。

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使えそうだが問題点も

以前からわかっていたことではあるが、ここでは Trackion のMIDI編集UIの使いにくさについて改めて指摘しておく。

この1週間に試してみて、予想外に入力が捗らないことに気づく。要するに、グリッドが色分けや線の太さで拍子区分けされていないので非常に見辛いのである。上に貼り付けた2、3のスクリーンショットからもその一端は窺えると思う。

また、チャネル名表示に関しても、表示非表示がころころと変わってちょっとストレスフルである。

最新版のWaveformでは、MIDI編集画面に関しては Studio One 並みにUIが改善されているようだが、ステップ・クリップに関してはそのままのようだ(下記チュートリアル動画参照)。

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こうした残念な事情もあって、私は結局ドラムのMIDI打ち込み自体は Studio One に戻すことにした。

実は Tracktion 6 上で使用した音源 (MT Power Drum Kit 2) のノートナンバー割り当てで若干支障があったことも関係しているのだが、これはMIDI検定固有の事情につき別途稿を改めるとする。