以下記事の続き。
ポピュラー曲の場合、基本はドラム・パーカッションとベースを最初に打ち込んで楽曲の背骨を作るところから手掛け、コードやメロディを後から乗せるアプローチが一般的かと思う。 そういう意味では、昨年2016年課題曲のクラシック風楽曲とは違い、今回はパート別に仕上げていく手順となる。
標準的なドラム譜の表記法
本課題曲の制作規定書にはドラム譜の解釈について一切記載がないため、概ね標準的なドラム譜のルールに従うことになる。しかしドラム譜はシンバルの表記等細かいところでいくつかバリエーションがあるため、若干の類推を働かせる必要が生じる。
本曲の記法に一番近いスタイルの解説としては、京都精華大の下記記事を参照:
追加の補足事項として、
- 音部記号は、本曲ではヘ音記号となっている。
- クラッシュ・シンバルは、本曲ではD3の位置に丸囲みのXで表記してある。ノートナンバー49もしくは57で対応するよう指示がある。
- スネアと同一ピッチ上にX表記はサイド・スティックである。なぜか制作規定書に指定はないが、通常はノートナンバー37を使用することになる。
- 各タムの五線譜上ピッチ位置が一般的な表記法と若干相違する。
以上まとめると、本曲の記譜ルールは下図の通りとなる(数字はGM配列のノートナンバー)。
GM準拠配列によるノートナンバーの指定
ドラムの音色に関しては、制作規定書に音色マップ(各楽器音色とノートナンバーの対応定義)が記載されており、これに従う必要がある。要するに、GM準拠配列を前提としてMIDIデータを打ち込む。
なお、タムは4種類定義されており、高い方から順にノートナンバー47、45、43および41を使用するよう指定してあるが、本曲含めて通常は3種類(ハイ、ローおよびフロア)しか使わないので、45、43と41の3つで対応すればよい。ちなみに Studio One 内蔵音源の Presence XT 搭載ドラム音源は4種類に対応可能である。この点は音源によってまちまちなため、使う前に仕様を確認するなど注意を要する(GM準拠ではなく独自配列のものも少なくない)。
フィルインとソロ演奏部分の対処
これについては次回に触れる。
最終的な音色加工について
エフェクターの追加プラグインを使えない Studio One 3.5 Prime(以下S3)では、単独のドラム・トラックだと線が細くて他パートに埋没する傾向があるため、音色を重ねる等一工夫加える必要がある。
労力最小限で最大の効果を発揮する対処法としては、S3からドラム・トラックをオーディオに書き出し、これを Tracktion 6 にてエフェクト加工後*1、再びS3の別トラックに戻す。これを元のMIDIトラックと同時再生すると適度な厚みが加わり、多少なりとも音圧が補強される効果を見込める。
*1:さしあたりエンハンサーとLoudMax等コンプレッサー系統を入れてキック中心に持ち上げる。