DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

MIDI検定1級演習 2011年課題曲 (6) ベースと装飾音符

以下記事の続きで、今回はベースとその装飾音符について精査する。

daw-jones.hatenablog.com

基本と典型例

本曲のベース部ではすべて半音上げの装飾音符で、主音は八分音符となっている。したがって、ピアノロール上で装飾音と主音の組み合わせを一度作っておけば、あとはこれをコピペしてピッチをズラすことで次々対応できる。また、他パートにも複写して繰り返しフレーズの原型を作ることも可能である。

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後半1/3で繰り返されるベースの典型パターン

上の概観記事でも触れたように、2011年当時は装飾音符に関して細かい規定があったのだが、昨年度のルールでは1次審査の評価対象外となり、タイミングや長さに関しては制作者の裁量に委ねられた(装飾音の有無のみチェック)。

装飾音の音価は、常識的には32分音符もしくは64分音符のいずれかにすればよいはずだが、私が試した限りでは大抵の場合は32分音符で十分であり、再生上も特に違和感はない。逆に64分音符まで細かくするとピアノロールのグリッド幅単位が小さくなり過ぎてMIDIデータの編集が非常に面倒になる。またノートオン・オフのタイミングをミスる懸念が高まってしまう。

因みに、2級2次実技の練習曲では装飾音符を見かけた記憶がない。少なくとも直近4年分の練習曲に関しては皆無だったと思う。

いくつかの紛らわしい点

コピペに潜む罠

半クライマックス、すなわち最後の1/3を占めるロック・セクションでは、装飾音符の使い方を含めて同一フレーズの使い回しがほとんどなので、小節丸ごとのコピペで対応できる。

ところが、フレーズ中の一音だけピッチを変える等微妙なバリエーションが隠れている小節もあり、譜面を凝視して重々チェックしないと痛い目に遭う。これは昨年度のクラシック曲でも同様の問題があったように思う。

同一音の異なる記譜法

ごく一部だが若干トリッキーだなと不思議に思ったのが、同じノートを異なる記譜法で表現し、統一されていないところがある点である(下例参照)。いわゆる異名同音みたいなもので、ここはわざと引っ掛け問題風な意図があったのか、それとも単なる校正ミスなのか、詳しいことはわからない。

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臨時記号およびナチュラルと装飾音符

常識の範疇ではあるものの、臨時記号の小節内有効は装飾音符にも及ぶことに注意する必要がある。装飾音と主音が半音階になっていることに気を付ければミスは回避できるだろうが、これはうっかり見落としてしまう可能性がある。

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恒例のオクターブ調整

SMFでは記譜より1オクターブ下げてMIDIデータを入れる必要がある。これは2級実技もあわせてMIDI検定の重要な慣習・ルールの一つとなっている。

実際のところは、DAWの音源音色によっては既にオクターブ下がっていることも少なくない上に(ベース音色は下がっている場合がむしろ普通であろう)、譜面照合・検証上の都合もあるので、一旦記譜通りに作っておき、SMF作成のどこかのタイミングで一括してオクターブ下げるように対処する方がいいかもしれない。私の場合は、Pythonによるバッチ処理プログラムでまとめてオクターブ調整加工する。

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MIDIデータを記譜通りに入力し、DAWトランスポーズ再生機能で対応する場合、ソフトによってはオクターブ調整含めて移調がSMFに反映されないものがあるので要注意である。実は Studio One もその一つである*1。 

*1:各トラックごとに設定できるトランスポーズ値はMIDIデータとして書き出されないので、別途加工編集が必要となる。