DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてDTMを楽しむ記録。MIDI検定試験にもチャレンジするなり。

MIDI検定1級演習 2013年課題曲 (1) 概観

年始休み明け以降はMIDI検定2級実技試験用の練習曲セット*1に着手する必要があるため、この辺でそろそろ本年最後のMIDI検定1級課題曲の演習をやっておくことにしたい。

冬季休暇を使えることを念頭に、今回は比較的難度が高い課題曲を選んでみた。前回取り組んだ2011年度の課題曲演習に引き続き、ポピュラー・ジャンルの楽曲となる。

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演習題材

今回は2013年度(第5回)の課題曲を取り上げる。

本曲は、過去の合格率から類推するに、今までの1級課題曲で最も難しかったと思われるビッグバンドのジャズ楽曲である。

制作規定書にビッグバンド特有の表現に関する解説が4ページにわたって長々と追記されていることから示唆されるように、管楽器中心のかなり面倒臭い作品である。この年の受験者は正直言ってハズレくじを引いたような気分(?)だったのではないか。

1級課題曲は、ポピュラー(難度高い)かクラシック(比較的易しい)かという点ですでに大きな分かれ道になっているが、いずれにせよほぼ毎回新たな表現手法や楽器奏法を盛り込んでくるので、事前に100%手を尽くすということはなかなか難しく、ある程度はぶっつけ本番で臨むしかない。

なお、本曲の演習を終えれば、クラシックとロックおよびジャズ、と一応3大ジャンルは制覇したことになる。1級課題曲の癖や傾向、スコア・リーディングや制作手法に慣れるためには、上級者であっても最低限度3ジャンル3曲の実習は必要と思われる。

セミナー動画

以前に下記の過去記事で紹介した通り、本曲はAMEI主催のMIDI検定1級公開セミナーで取り上げられたことがあり、その時の動画がYouTubeに上がっているのでご参考まで。1級挑戦者は必見のレクチャーである。

www.youtube.com

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スコア概観

ボリュームもさることながら、抑揚やアクセント、その他細かい装飾的な表現が盛り沢山なため、一見して打ち込みの労苦は半端ない感じである。特にアクセントについては、ジャズ楽曲であるからリズム感を損なわないよう、通常よりも一層神経を使う必要がある。

分量

パート数16および小節数123(繰り返しを除く)で、A3用紙12ページから構成される。

ただし管楽器については、同種楽器を2つなし4つ組み合わせてユニットを構成しているため、ユニゾンやオクターブ違いが多く、実質的なパート数は見かけよりも少ない。

また、基本的に8分音符単位のフレーズで進行しているため、全体的な音数は極端に多いというわけではなく、細かい表現を加える前の基本の打ち込み作業は案外時間はかからないかもしれない。下地の作成は、前回取り組んだ2011年課題曲*2に比べればむしろ易しいぐらいか。

転調とテンポ変更

途中2箇所でテンポ変更と転調を伴う(それぞれで場所は異なる)。転調とテンポ変更は1級課題曲の定番である。ちなみに2級2次の過去の練習曲では、転調は一度見たことがあるが、テンポ変更はまだ出題されていないように見受ける。

セットアップデータの挿入位置とノート開始位置

セットアップデータの挿入位置は従来通り*3で変更はないが、楽曲の始まりがいわゆるアウフタクト(弱起)となっている関係上、最初のノートは1小節目の4拍目から入れるよう指定がある。

2級実技を含め、2小節目以降でノートを入れることが通例なので、1次審査の観点からここは要注意の編集作法となっている。 

装飾音符のルール

装飾音符は、ざっと見たところピアノ・パートに1箇所のみ。

MIDIデータでの表現方法では2011年課題曲と同様の細かい規定があり、「装飾音をジャストクオンタイズのタイミングとし、それに続く実音を4分音符=480の分解能において30ティック後ろに配置」せよとの指図に従う。

どうも1級では当初からこれが標準ルールのようであるが、2016年課題曲のように制作者の自由裁量に任される場合もある。

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トランペットの音色

トランペットには途中短い区間でカップ・ミュートの音色指示がある。ただし、プログラム・チェンジの指定はない。

マルチチャネル音源を除き、Studio One などDAWで再現する際にはトラックを分けて別音色で演奏させる必要があるが、1次審査用のMIDIデータはトラックを分けていない元データを提出しなければならず、その辺は相変わらず煩雑である。

繰り返し記号

遂に出たか、という感じで、セーニョ記号とダルセーニョ指示、コーダ記号の組み合わせで繰り返しの指定が入っている。詳細は制作時に追って記す。

ビッグバンド特有の演奏法

げっぷが出そうなくらいにビッグバンド特有表現がてんこ盛りで、制作規定書にも特別欄を設けて各種表現手法の解説記事が掲載されている。

具体的には、スイングのリズム解釈、スクープ、ターンおよびポルタメントの4種となるが、長くなるので個別の表現については順を追って書き記すことにしたい。

また、スイング感出すための勘所として、裏拍(オフビート)の強調を大事にすべしとのアドバイスが書かれていた。オフビートのリズム感はむしろクラシック畑の人が苦労するところかもしれない。ポピュラーでも4つ打ちビートEDMなどに慣れ切っている場合は要注意か。

またスイングと言えば、近年のDAWではスイング効果を出すためのクオンタイズ機能が当たり前のように備わっているが、この機能を私個人としては初めて使う契機となる。

評価対象外のドラム・パート

意外なことに、ドラムは丸ごとすべて1次審査の対象から除外されている。GMパーカッションマップの範囲で適切に表現せよとの指図があるのみ。標準的なドラム譜とGMパーカッションマップとの対応に関しては、前回2011年課題曲演習で補記した通りである。

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評価除外の理由は不明だが、本曲の中心課題は管楽器であることや、また採点負荷を軽減するための措置であろうと考えられる。

*1:2018年2月末実施予定の第19回MIDI検定2級2次試験のために一般公開される練習曲4曲セットのこと。

*2:ロック調の楽曲でパートや音数が非常に多かった。

*3:1拍目頭にSysEx、2拍目に10ティック間隔でセットアップ用のイベントデータをずらずらと並べる。