DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

GarageBand: iOS版での演奏成果をどう取り込むか

昨年末に書いた以下記事に対する若干の補足。iOSGarageBand(以下GB)を使った演奏結果を援用する際の具体的なワークフローに関し、一例として書き添えておく。

daw-jones.hatenablog.com

目的: Touch Instrument の美味しいとこどり

どのようなDAWを使うにせよ、Mac上で楽曲の土台・骨格を構築しつつ主たるミックスダウンとマスター処理をやる一方で、iOS版GB特有の Touch Instrument 機能を活用して取り込みたいケースがままある。特に、キーボード演奏があまり得意でない素人にとっては、スケールおよびコードに基づく Autoplay 自動演奏機能は非常に重宝することが多い。

しかしながら、上記記事でも書いたように、現状はiOS版からmacOS版への変換は可能だがその逆はできないというGBの制約があるため、制作ワークフロー上のちょっとしたコツが要る。

ワークフローの一例

あくまで一例ではあるが、概ね以下のような手順でファイルのやりとりをすると、iOS版GBの演奏成果物をメインのDAW編集にスムーズに反映させることができると思う。

ガイド・トラック用のオーディオ書き出し

Mac上のDAWで制作中の楽曲の2ミックスをまずオーディオに書き出す(44.1kHz/16bitでよい)。この段階では全部のトラックが完全に揃っている必要は特になく、むしろファイルサイズを抑えるために、お飾り的な一部トラックはミュートにしてもよい。あるいは制作の初期段階であれば、ドラムとベースだけでもよい。

ガイド・トラックのiOS版GBへの取り込み

Mac版のDAWから書き出したオーディオ・ファイルは、ガイド・トラックとしてiOS版GBにインポートし、これに対して Touch Instrument の演奏を別トラックで重ねていく。

オーディオ・ファイルの読み込み方法については、以下の公式ヘルプを参照されたい:

support.apple.com

読み込みに関して特筆すべき点は、以下の3点:

  • ファイルサイズが非常に大きい場合、iCloud経由だと環境によってはアップロードおよびダウンロードに時間を費やすため、iTunesを介したファイルの取り込みが無難かと思う(1番目の方法)。
  • インポート時に44.1 kHzのサンプルレート、16ビットの深度のフォーマットに強制変換されるため、最初からそのフォーマットでファイルサイズを極力小さくしておく方がよい。
  • iOS版GBではMIDIデータはインポートできない。

iOS版GBで制作したソングをmacOS版で開いて編集

Touch Instrument の演奏を重ねたiOS版GBのソングファイルをmacOS版GBから開いてさらに必要な編集を加える。Touch Instrument の演奏結果はMIDIリージョンとして保存されるため、必要に応じて演奏楽器を変更することも可能である。

ここからの制作方法としては、以下の二手に別れる:

(1) 元のDAWファイルに戻す

ガイド・トラックを消去またはミュートし、iOS版で重ね録りした Touch Instrument のトラック群だけをステムとしてオーディオに書き出す(深度は24bit)。この書き出し結果を元のDAWファイルに取り込んで追加の編集を続行する。

(2) iOS版GBソングファイルのままで編集続行

iOS版GBのソングファイルを開いてmacOS版に変換したGBのソングファイル上で残りの制作編集をそのまま続行する。その際、ガイド・トラックはよりハイレゾなオーディオ・ファイルに差し替える(ミュートにしていたトラックはミュート解除)。

少なくともデモ版等の簡易制作はこの方法で問題ないと思う。もともとGB自体の音質が良く、また各種AUプラグインも使用できるので、本番制作であってもトラック数が極端に多い場合を除けば、手っ取り早いこのアプローチで全然行けるはずである。