DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

第19回MIDI検定2級2次試験を終えて (2)

昨日記事の続きで、今回は制作規定書と本番課題曲などについて簡単に振り返る。

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制作規定書

制作規定書は驚くほど事細かで、ゲートタイム(デュレーション)の長さやコントロール・チェンジの入力タイミングなどについても微に入り細にわたって逐一ルールが記載されていた。

ピッチベンド・チェンジの開始タイミングなど常識的なものもあるが、一部コントロール・チェンジに関してはドンピシャリなタイミングを指定している箇所もあったりで、実際の課題曲制作ではかなり神経を使わざるを得なかった(疲れます)。

テクニカルに難しいわけではないが一点非常に重要なポイントとして、マルカート(テヌートやスタッカートなどの装飾が何もない素の音符)のゲートタイムは音価の90%とするよう統一ルールが規定されていることである。これは公式ガイドブック Chap. 6-5「MIDI検定2級2次試験の概要とポイント」p.242 にも記載されてはいるが、2級2次試験以外の場面では80%前後とする表現解釈もあるので混乱しないよう意識する必要があった。私の記憶が正しければ、確か3級では80%ルールであったように思う。また同じ公式ガイドブックでも Chap. 3-2 (p.80) では80%程度とする解説文がある。もっとも、これは正解とか不正解とかいう次元ではなく、実際の制作ではあくまで目安の基準に過ぎない。

本番課題曲

今回の本番課題曲は、事前公開された練習曲の中では、強いて言えば練習曲No.3に一番近い感じの楽曲が提示された(もちろん作品はまったく異なる)。これに加え、他練習曲に盛り込まれていた細かな表現手法を若干難度アップしていくつか追加したような楽曲、と言えばだいたい雰囲気はつかめるだろうか。しかしその一方で、練習曲No.2の大きなモチーフであったスウィングは結局出題されず仕舞いであった。2級出題作は高々15小節程度の小品なので、練習4曲すべての大ネタを盛り込むには窮屈過ぎる。

ここでスコア例を掲示することは差し控えるが、今回は重要な出題モチーフの一つにCC#74(スウィープ表現)があった。

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これが少々嫌らしいのは、DAWとその付属音源その他のソフトシンセではCC#74に対応していないものが多いだろう、というツール環境の問題である。私もその一人だが、この辺は対応に苦慮した受験者が多かったかもしれない。しかも今回本番では対象音色がシンセリード (Saw Synth) で、CC#74の効果が明白に出る音色であったため、再生を無視するわけにもいかない。ここはMIDIデータとは別に、DAWのオートメーションで音色の Filter Cutoff Frequency やローパス・エフェクトなどを制御する発想に切り替えることができたか否かが分かれ道になったと思われる*1

蛇足もとい邪推

今年度の練習曲(および本番課題曲)ではCC#74やスウィングといった新ネタが登場したが、来年以降も毎回何らかの新ネタを投入してくる可能性はある。別種のコントロール・チェンジや、ギターのストラミングとか変拍子、テンポ変更等々、未登場の表現手法がまだまだ多いからだ。またスウィングについては、将来の本番課題曲で取り上げられることが十分予想される。

作業レポート

2級の作業レポートで制作に関わる部分に関しては、制作環境以外特に何も書かなくて構わないようであった。各トラック(MIDIチャネル)ごとの音色設定などについては、よほど特殊な制作手段を用いない限り空白のままでよいらしい。

因みに、1級の作業レポートはもっとボリュームが多く、トラックごとの使用音源・音色についてもすべて記載するようになっている。

その他

制作時間

実際の制作では事前の予想通り丸1日もあれば十分で、私の場合は土曜日会場試験から帰宅後に4時間程度、翌日曜日の昼から4時間程度、合計8時間程度でCD焼きまで完了した。協会側では5時間を想定しているらしいが、いずれにせよ時間が足りないというようなことはないと思う。

提出手段

提出にあたっては、郵送と宅配便の2方法あるが、簡易書留による郵送が一番安全無難で、協会推奨の方法である。私も一応はそれに従った。ここはつまらない節約をして事故があったら目も当てられない。

合否発表

合否結果発表については、書面通知が4月中旬頃の予定とのことだが、過去の経緯からして前倒しで3月31日に協会サイト上で合格者受験番号が公表掲示されると思われる。

私自身の感触では、想定もしなかったノートミスの連発などで大きな減点でもない限りは合格しているだろうと勝手に期待はしているが、こればっかりは結果発表まで俎板の鯉状態である。

追記 (2018-03-06)

協会よりメールでの通知があり、今年はネット上の合格者番号公表については4月上旬頃、書面による成績表送付は5月上旬頃になるとのこと。例年に比べて試験実施日程が遅かったことが理由。

そういえば、今年に入ってから協会サイトの更新が滞っており、例年ならば2月中にも来年度の試験日程公表などがあるはずだがそれもなく、また昨年1級課題曲の一般販売もまだである。諸々遅延している模様。

*1:音源によっては、各種音色パラメータに対してCC受信をユーザ定義で割り当て可能なものもあり、その場合はCC#74のデータをそのまま活かすことができる。たとえば、Synth1もその一つである。