先週一部で話題になっていた音楽バラエティ番組「関ジャム」によるJ-POPの音楽理論的な分析がなかなか興味深かった。音楽好きにはすでに広く知られている話がほとんどだったが、要点は簡潔によくまとめられていて一見の価値はある*1。
リズム主体の現代の洋楽に比してコード進行やその展開が複雑過ぎるという指摘がなされたようだが、様々な文化的背景により*2日本人はやはりメロディ志向がとても強いのではないかと改めて痛感する。
逆に考えると、今風なEDMやテクノなどクラブミュージックを作るのであれば、わざわざメロディの絞り出しに呻吟する必要はなく、簡単なコード進行の繰り返しに対していかに斬新な音色とリズムパターンを乗せるかに注力すればよいのではないかと思う。
これに対して鼻歌メロディから入るアプローチはある意味極めてJ-POP的とも言える。素人の想像だが、メロディに対してコードを付ける作戦だと、複雑というか、あまり真っ当ではない予期せぬコード進行が入り込む余地が大きいのではないか。
ただし、メロディとコードは鶏卵問題みたいなもので、特定のコード進行を下地としたメロディが多く好まれるという現象は当然ありうる。それで思い出すのは約10年前に話題になった以下の記事である。
上の記事で当時J-POPが批判に晒されたのは、いわゆる王道進行の過剰使用に関してであるが、私はアニソン含めて邦楽はほとんど聴かないために、現状はどう変化したか、あるいは何も変わっていないのかどうかはわからない。いずれにせよ、コード進行は強力な助っ人だが、一方でマンネリに陥るリスクが潜むという教訓は汲み取っておく。