DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

今年に本ブログで取り上げたいトピックなど

年も改まったところで新年の抱負というほどのものではないが、本ブログで新たに追求したい課題や取り上げたいトピックなどについて展望を述べておくことにしたい。半分以上は自分自身に向けてのTo-Doリストみたいなものではあるが。

DSP (デジタル信号処理) の深掘り

DAW上でオーディオ加工処理やプラグイン・シンセを使った音色編集などをいろいろと試行錯誤しているうちに、その根底にあるデジタル信号処理の理論を基本からきっちり学んでみたいという欲求が日々大きくなってきた。

そんなところにちょうど昨年末からCourseraで "Audio Signal Processing for Music Appications" というドンピシャリな講座が開講したので早速受講を始めたところである。

www.coursera.org

フーリエ解析などやや数学的なハードルが高そうな課題もあるのだが、Andrew Ng 先生のかの有名な "Machine Learning" 講座は昨年になんとか走破できたので、たぶんある程度時間をかければ完走できるのではないかと思う。Pythonプログラミング実習も盛り込んであり、非常に面白そうである。受講記録がてら本ブログで詳しくレポートしてみたいと思う。

Magentaをもっと試しまくる

Magentaに関しては2017年夏にDockerコンテナを使ってMac上で軽く実験してみたりもしたが、その後はまったくフォローしておらずご無沙汰の状態であった。

daw-jones.hatenablog.com

しかしこの世界(ディープラーニングなどの楽曲生成への応用)も日進月歩でそれ以来かなり進化しているように見受けるので、さらに興味を持って常時ウォッチしていこうかと思う。私は特にこの分野の研究者というわけではないが、ユーザとしてどういった使い方ができるか非常に興味は尽きないし、将来的なDAW新機能の最先端が垣間見える期待もある。

Mac新調と新DAWの導入

本当は昨秋あたりにMacの新調を考えていたにもかかわらず食指が動かずに結局先送りという結果になったのだが、今年はいよいよ限界だろうと思い、夏だか秋あたりを念頭に最新モデルへ移行する腹づもりでいる。そのタイミングで手元のDAWもやっと上級モデルにアップグレードすることになる。

上級版DAWの候補としては、何度か言及しているように、私の中では Studio One 4 Pro 版か、Logic Pro X、または Waveform の3択である。実はブログのネタ的には Waveform が一番希少価値がある。というのも、Studio One や Logic Pro X は日本でもメジャーなDAWの一つなのでそれらを取り上げている他ブログが非常に多いからだ。いささか本末転倒かもしれないが。

MIDI検定2級練習曲(2019年2月期)を見る

師走の慌ただしさでつい更新が滞ってしまったが、冬季休暇に入ったところで年末恒例で公開されるMIDI検定2級実技試験練習曲をちょっとレビューしてみたい。

1級到達後はMIDI検定ネタはもう要らないかな、と思ってはいたものの、個人的なブラッシュアップも兼ねつつ、興味本位と多少の懐かしさを交えて簡単な解説を書こうと思う。今回受験される方々のお役に立てれば幸いである。

MIDI検定2級2次検定試験 練習曲スコア及びmp3掲載

練習曲 No.1

今回の練習曲セット中ではもっとも標準的なレベルの楽曲だと思われる。

定番のCC#1とCC#11が盛り込まれている上に、ベロシティに基づく強弱表現、ピッチベンドを使ったスクープやハンマリング・オン等お馴染み必出テクニックも全部入っている。

ある意味では2級実技のメルクマール的楽曲と考えられるので、受験を検討される方は本曲を難なくこなせるか否かで今回の実技受験に進むかどうかを判断されるとよいと思う。要するに最低限度本曲レベルは完璧に制作できる必要がある。

なお、シンセリードとベースのベンドレンジが"12"指定となっている点は要注意である。協会提供のSMFテンプレではベンドレンジのデフォルト値は"2"なので、両トラックのセットアップ値は修正した上で、ピッチベンド未使用の他トラックからはベンドレンジ設定のメッセージを削除しておく。

練習曲 No.2

途中で転調が入るのでやや難しい。C maj から Eb maj への転調だが、転調後にやたらと臨時記号ナチュラルが出てくるのでノートミスのリスクが飛躍的に高まる。打ち込み地獄の楽曲と言えるかもしれない。本番でこの手のパターンが出てきたら、ノートミスがないかどうかの見直しを繰り返しやる必要があろう。

セットアップデータにおいてどのトラックもベンドレンジの指定が記載されていないということは、デフォルト値の"2"を使うということになる(ピッチベンドを使用するトラック、すなわちフルートとベースに対して)。

練習曲 No.3

今回の練習曲セット中では一番難度が高いと思う。

まず、拍子が5/4でスタートすることに留意する。それが途中で3/4に変わるところも要注意である。こういう二重の意味で変拍子の楽曲は私が知る限りではおそらく今回が初出ではなかろうか。

さらにややこしいことに、途中で2回転調する。すなわち、G maj > Bb maj > C maj と変わるが、最後の C maj 転調は拍子の変更と同タイミングである。練習曲No.2と合わせて考えるに、おそらく今回の本番課題曲では間違いなく転調が盛り込まれていると考えられる。

ベンドレンジに関しては練習曲No.2と同様である。

練習曲 No.4

2級にしては珍しく和風な楽曲だが、さほど高度なテクニックが要求されるわけでもなく、割と標準に近いレベルだと思う。音数が少ないからむしろ楽かもしれない。

本曲でまず肝となるのは、尺八のパートで多用されているピッチベンドを使ったポルタメント表現である。ベンドの上げ下げタイミングを音符のタイミングに合わせて正確に打ち込む必要があり、神経を使うところである。

変わり種では太鼓の音色 (PC=117) をパーカッションとして使用している点が目を引くが、これはMIDIのドラム・チャネルとしてではなく通常音色チャネルとして扱えばよいので、なんら難しくはない(補足事項にも記載あり)。

なお、今回は上記太鼓とドラムのデュレーション(ゲートタイム)を全ノート 10 tick で揃える旨の規定があるので、これを守らないと減点対象となる。ドラムのデュレーションに関しては他の練習曲についても同様の規定が適用されるから要注意である。

二大MOOCの比較雑感

下記記事でも紹介されている通り、大学発信の講座を中心としていわゆるMOOC (Massive Open Online Course) が昨今花盛りである。基本的に機械学習やプログラミングなどのSTEM系講座が圧倒的多数だが、音楽やその他アートなどの人文系講座も探せば結構たくさん見つかるようになってきている。

qz.com

MOOC業界では営利を目的としたスタートアップも国内外問わずに近年数多く進出している状況だが、クオリティやコース教材の豊富さという点では老舗に近い非営利系の Coursera(スタオンフォード大発)と edX(MIT+ハーバード大発)が2大サービスと言ってよい。英語さえ問題なければ、この2つでほぼ全領域をカバーできるのではないかと思う。

今年後半以降、個人的にこの2大サービスを頻繁に活用する体験を得たので、この辺で簡単な比較レビュー・メモを書いておくことにしたい。

コース領域

edX はIT関連のコースが Coursera よりもかなり充実しているように見受けられる。会計学等ビジネス系もかなり豊富である。MicrosoftIBM のスポンサー講座が提供されているため、個別のソフトウエアやプログラミング言語に焦点を絞った1ヶ月未満の短期講座が数多く、手軽に受講しやすい。この辺は edX の方がやや実利向けの趣が強いように感じる。

逆に Coursera は音楽含めて人文系の興味深いコースが意外に多く用意されている。標準ペースで3ヶ月程度のコースが多く、また講義スタイルもどちらかといえば大学のアカデミックな講義に近いものが多いように思う。Andrew Ng 先生の機械学習入門講義がその典型である。

daw-jones.hatenablog.com

モバイル・アプリなどのシステム

システムのUIはモバイル版含めて Coursera の方が完成度が高く、使い勝手も良い。Coursera のモバイル・アプリは割と頻繁に改善アップデートを繰り返しているが、edX の方は放置状態に近い。

edX のシステムはやや重い印象があり、IBM などのスポンサー講座はプログラミングLab用に別サイトに飛ばされることがよくある。ビデオ・レクチャーを視聴しても一回でチェック・マークが付かないことが多い(これは結構苛々させられる)。また、モバイル版ではビデオ・レクチャーや講義ノートなどの個別のマテリアルに対して進捗確認用のチェック・マークが付いていないのでどこまで進んだか判別しにくい。

これは言わずもがなだが、モバイル版に講義ビデオなどをオフライン視聴用にダウンロードする際は必ずWiFi環境で実行する。さもないとギガ不足に陥る可能性がある。

費用面

基本的には両サービス共にオーディット (audit) モード*1で受講すれば、一応は無償ですべてのコース・マテリアル(課題採点を含む)にアクセスできる講義が多い(全部ではない)。ただし、オーディットの場合は修了証は発行されない。逆に言うと修了証が不要であればオーディット・モードで受講しても特に差し支えないと思う。修了証は後日支払いを済ませば後追いで発行してもらうことも可能であるが、edX はその手続きができる有効期限がコース毎に決まっている。

非営利系とはいえ、最近の傾向として両サービス共に有償コース*2に力を入れており、オーディット・モードではお試し期間を除いてまったくアクセスできないか、もしくは課題採点の対象外になる講義が増えている。ちょっと変わったところでは、Coursera は月額サブスクリプションでチャージする形態があり、この場合は同じ有償コースでも早期修了すれば安く済むようになっている。だいたい月額5千円前後のコースが多いように思う*3

営利系サービスについて

営利系の代表格はたとえば Udacity であるが、こちらはごくごく一部のサンプル講座を除いて基本は有償コースのみの提供である。どちらかと言えば就職に直結した職業専門教育という実益重視の趣旨が色濃く、料金面でも Coursera や edX に比べればかなり高額である。その代わり、チューターによる課題採点や個別質問の対応などきめ細やかなサービスを受けられる。なので、興味本位で気軽に受けてみるというサービスではなくなっているように思われる(営利系すべてがそうというわけではないが)。

*1:本屋での立ち読みみたいなもので、当該コースが自分の興味と目的に合っているかどうかを確認するためのアクセス・モード。

*2:概ね半年以上のコース・セットで学位授与するもの。edX の MicroMasters など。

*3:私はまだ有償コースは試していない。機械学習プログラミングやファイナンスなどの特殊専門分野にこの手の有償コースが多い。

AIと自動作曲

2週間ほど前の記事(前編と後編)になるが、国産自動作曲プロジェクトとして割と名が知られている Orpheus に参画していた研究者の方のインタビューが色々と示唆に富んでおり、興味深く拝読した。

www.orpheus-music.org

www.itmedia.co.jp

www.itmedia.co.jp

実は私自身、Orpheusに関しては昨年夏にお試しでちょっと触ってみたことがあり、正直言って数ある自動作曲ツールの中では初心者には結構ハードルが高い印象が強かった。日本語作詞から入るアプローチも非常に独特である。

daw-jones.hatenablog.com

後編記事の最後の方で、「自動作曲で難しいのは、曲ができるかどうかではなく、使われ方の探求なんです。どんな文脈で自動作曲が使われるかが分かっていない状態...」という指摘は、現状では確かになるほどなと思うところがある。

研究ベースではある程度盛り上がっているものの、スタートアップ含めて製品化はまだまだ緒に就いたばかりの感があるので、今後メジャーな市販DAWにでも搭載されてくると、ユーザーからのフィードバックが蓄積され、当初想定もされなかった方向へ大きく進化する余地はあるだろう。

1曲まるごとの長尺だとまともな生成がまだ難しいだろうから、応用分野としてたとえば、ループ素材の一変種に任意自動作曲素材みたいなものが入ってくるだけでも制作上のクリエイティビティの幅は広がると思う。あるいは、GarageBand / Logic Pro X にすでに組み込まれている Drummer のような自動生成機能がパーカッション以外の楽器にも拡張された暁には、これはもう立派な自動作曲アプリケーションの誕生である。

support.apple.com

そうこうしているうちに、Magenta が Ableton Live 用のプラグインとかスタンドアローンのアプリを出しているらしいと知って驚愕。最近あまり動向チェックしていなかったけど着実に歩みを続けているようで、最先端の研究を覗き見るためにも公式ブログなどをちょっと真面目にフォローしておいた方がよいかもしれない。Magenta Studio についてはまた後日レポートしたいと思う。

magenta.tensorflow.org

Studio One に月次レンタル・プラン登場

小ネタだが、面白い動きだと思ったので紹介がてらのメモ。

最近のソフトウエアの販売モデルとして、使いたい期間だけを必要に応じて支払うといういわゆるサブスクリプション型が結構増えてきているように感じられるが、Studio One もその仲間入りを果たしたようで、Professional版に対して Rent-to-Own というプランが用意された。

daws.splice.com

これは、14日の無償試用期間を過ぎると月々$16.99(現状のレートだと約2,000円)を支払い、途中でいつでもキャンセルできるというプランである。

当然だがクラウド型ではないので、手持ちのローカルPC/Macにインストールすることになるが、月次払いを継続した後に仮に満額支払い*1が済めば完全に所有権を得て通常の一括購入と同様の状態になる。この場合は見方を変えれば、約2年間の長期月賦契約と見なせなくもない。ただし、手数料なしでいつでも途中解約できる。

DAWでこのようなサブスクリプション型がどれほどニーズがあるのか正直よくわからないが、共同制作プロジェクトなどで短期的に Studio One を使う必要に迫られた場合とか、あるいは教育機関がレッスン期間中だけ学生用に用意する場合などがユースケースとして考えられるかもしれない。

一方それ以外の個人ユースだとほとんどメリットはないだろうと思う。それよりもブラック・フライデー (Black Friday) の半額セール期間で一括購入してしまう方がお買い得であろう。ちなみに今年のブラック・フライデーは来週23日の金曜日ということになっている。

*1:明記されていないがおそらく定価の¥44,259相当だと想定される。

Waverazor LE が無償公開

日本での知名度はあまり高くはないのだが、Tracktion社から提携販売しているプラグインの変わり種シンセ Waverazor が11月に入って無償のLE版を出したので、備忘録を兼ねて紹介しておきたい。私も早速ダウンロードして Tracktion 7 に入れてみた。

www.dtmstation.com

www.minet.jp

使い方チュートリアルYouTube動画で種々公開されているので、興味がある人は参照されるといいと思う。簡単に言ってしまえば、オシレータ3波をそれぞれ自由自在に波形編集し*1、それらを重ね合わせて最終的な音色を合成するようになっている。UIは一見bizarreだが、シンプルな操作体系で直感的に音色編集できると思う。

www.youtube.com

LE版は使用有効期限はないものの、Factory Bank に入っているプリセット32音色しか編集できず、また編集後の音色をバンク保存する機能は省かれている*2。しかし、基本的な音色編集機能は正式版と同じようなので、十分楽しめるはずである。

見た目もさることながら、オーソドックスなアナログシンセでは実現が難しいかもしれない奇妙奇天烈なサウンドを作ったりできて非常に新鮮である。私はついこないだまでMIDI検定1級試験の対応で生楽器シミュレートの退屈な音色編集にかかずらってばかりの日々だったため、ここまでぶっ飛んでいるとむしろ久々に開放感を味わえる。

 

*1:波形周期を4つのセグメントに区切り、各セグメント毎に異なる波形を割り当ててつなぎ合わせる。プリセットの波形テンプレートが豊富に用意されており、ノイズを指定することも可能。

*2:DAWのトラックにインストゥルメントとして使用中の音色設定は保存再現されるので、パッチ保存機能がなくてもさほど支障にはならないかもしれない。

MIDI検定1級の得点と評価シート

このところMIDI検定ネタが続いてしまったが、かなりニッチなテーマゆえ*1、1級到達により本記事でそろそろ一区切りということにしようかと思う。

daw-jones.hatenablog.com

また、MIDI検定の受験アプローチについては下記記事でほぼ書き尽くしたと考えられるので、それを参考にしてもらえればいいかと思う。本記事は2級2次実技までを射程に入れた概説だが、1級はほとんどその延長線上で対応できると想定して差し支えない。1級で追加対策すべき課題としては、上級レベルの読譜と生楽器音源の充実となるが、いずれも過年度課題曲実習を何回か重ねれば対応は可能である。

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さて本題。つい先日に協会よりMIDI検定1級試験の得点および寸評等評価シートが送付されてきたので、この概要につき紹介を兼ねていくつか注記や感想などを書いておきたい。

最終判定

ざっくり言えば、1次審査と2次審査の合計得点が100点満点中85点以上で合格、というかなり厳しい合否判定である。より正確には1次審査の足切りがあるが、詳細については下記受験案内または公式ガイドブックを参照されたい。

MIDI検定試験1級案内

それで今回の私の得点だが、総合87点(1次87点+2次0点)ということでギリギリのセーフという冷や汗ものの結果であった。2次審査の総合評価は結局B評価*2で、つまり加点なしという嬉しくもない評価に終わる。

痛感するのは、1級はやはり1次審査次第だということである。なので、希望的観測は完全に捨てて2次審査は加点なしの前提で、なおかつ1次審査で満点を目指す、特にノートミスを絶対にやらないという覚悟と方針で臨めば合格の確率は上がる。今回私もノートミスは一切冒さなかったのでなんとか及第点に達することができた。

1次審査

評価シートのフォーマット自体は下記2級2次のものとほぼ同様であるが、第1採点および第2採点両者の寸評コメントが付記され、採点者名と採点時使用DAWも明らかにされる。私の場合はお二方ともに Cubase 9 であった。

daw-jones.hatenablog.com

今回の私の3点減点の原因は、39小節目に間違ったテンポ・データが入っていたことによるレギュレーション違反であった。

しかし不思議なことに、私が制作に使用した Studio One と Domino で再チェックしてもそのようなイレギュラーなテンポ入力はまったく確認できなかったので、Cubaseでないと見えないようなデータが混入したとしか考えられなかった。怪しいのは Studio One だが、もうこればっかりはどうしようもない。

また、最初に不要なメタイベントが入っているとの指摘があったのだが、これは使用ソフト特有の事情ということで見逃してもらっている。Studio One はメーカー特有のメタイベント・データを書き出していることは以前から承知していたので驚きはしなかったが、これはむしろ2級2次で問題となる可能性がある。

2級でもそうだったが、MIDI検定では再生上特に問題ないメタデータやセットアップ・データであっても、不要なものはすべて削除しておかないとレギュレーション違反で減点を食らう(可能性がある)理不尽な規定があるので、今後受験される方は要注意である。

あとMIDI検定受験で使用するDAWとして Studio One は使わない方がいいかもしれないというアドバイスも一応しておきたい。不要データ出力もさることながら、そもそも Studio One はMIDIイベントリスト機能がないので*3、Domino等との併用を迫られるが、このような制作環境は少なくとも初心者向きではない。予算に余裕があるのであれば Cubase を選択することが一番無難であろうと思う。

2次審査

これはあくまで主観評価なので、評者によって互いに矛盾するコメントをもらったりする可能性がある(実際にそうだった)。したがって、絶対評価ではなく「人によってはそういう捉え方もあるかも」程度に受け止めておけばよいと思った。

参考までに、辛めのコメントを中心としていくつか抜粋・紹介しておく。ついでながら私の言い訳もとい愚痴も付記する。

  • 弦楽器系のレガートさが足りずにぎこちない: これは主として音源の制約に起因する。Studio One 付属音源の Presence XT サンプリング音色の限界だと思われる。もたつくアタックの遅延は該当トラックの発音タイミングを数msズラすなどの対策を講じてもよかったかもしれないが時間的余裕なし。
  • 全体に平坦でトレモロのスピード変化などが欲しい: トレモロは非常に難しく、MIDI打ち込みだけでは機械的に聞こえるということは十分認識していたがこれも時間切れということ。スピート変化などは途中で細かくタイミング等を調整せねばならないが本番でそんな余裕はなし。本来は音源対応(アーティキュレーション機能)に委ねられる部分であろう。しかし別の評者は「抑揚表現含めてミキシングも上手にまとまっている」とのコメントあり。
  • 二胡ならではの表現がなく、下手に何かするよりも無難に逃げた感あり: ここは確信犯的な結果ですね。1次審査の比重を考慮すると無難にならざるを得ないところがある。冒険してノートミスとかレギュレーション違反で減点されたらたまったものではないから。
  • 打楽器はもう少しオリエンタルな感じが欲しい: これも音源の制約で致し方ない。GarageBand付属の Chinese Kit は個人的には悪くなかったのだが。
  • 銅鑼は重たく的確な選択ではない: 普通にシンバルにしておけばよかったのだろうか。一方で別の評者は「銅鑼は効果的」との指摘があり、この辺はスコアに明確な指示を記載すべきではないかと思う。

生楽器シミュレートとか結局サンプリング音源次第じゃないのか、という身も蓋もない結論が透けて見えると思うが、1次審査突破優先を考えると、安い音源でもいいからとりあえず破綻のない仕上げにしておけば総合点で合格できると思われる。2次審査は総合でA評価もらえれば御の字であろう。

*1:本ブログのアクセス・ログを見ても、MIDI検定関連の検索による訪問者数は非常に少ない(というかほとんど皆無)。

*2:内訳は、A評価が2人、B評価が3人。

*3:ただし自主制作でMIDIイベントリストなど通常はまったく使わないと思うからMIDI検定以外での使用上は全然問題ないのである。