もうかれこれ3週間ほど前に、平成最後となった本年2月期MIDI検定2級2次の試験結果がすでに公表されていたものの、当ブログで触れるタイミングがすっかり遅くなってしまった*1。
実は試験実施時に書いた私の寸評記事でも引用させてもらったのだが、とある受験者のブログが今回試験の様子を結構赤裸々に伝えていてなかなか興味深かった。
daw-jones.hatenablog.com
それでこの方は結局無事合格を果たされ、その暁に受験体験レポートの体で書かれたいくつか記事がたまたま私の目に止まった。それがまたテクニカルに興味深い内容に触れていたので再びこの場で参照させていただくことにしたい。
the-art-of-rock-transcript.com
謎のテンポデータ混入
まず、この方の採点記録では原因不明の不要なテンポデータ混入でレギュレーション違反の減点があった旨を吐露されていたのだが、これは私が昨年1級受験時に食らった減点パターンとまったく同じである*2。
しかし以前書いたように私の環境*3では指摘されたようなテンポデータはまったく確認できなかった。念のためにSMF自体をPythonのMIDOパッケージを使って直接覗き、メタデータを検証してみても全然確認できない、という不可思議というか納得行かない減点だったことは覚えている。
採点者が使用したCubaseのバグじゃないのかと訝しんだりもしたのだが、しかしこの受験者自身Cubaseを使用していたそうなので一層謎である。同様の謎めいた減点を食らう受験者が今後も後を絶たず、採点上問題になる可能性があるかもしれない。
daw-jones.hatenablog.com
Dominoとプログラム・チェンジ
この方は上記引用ブログで協会発表の全体講評をそのままアップされていたので拝見させてもらったが、特に私の目を引いたのはDominoの挙動に関する注意喚起コメントである。
要するに、Dominoでプログラム・チェンジを変更設定してその後にSMF書き出しをすると、Domino独自のCC#00 + CC#32設定値が追加挿入されてしまうという問題がある。試験の規定ではGM2音源使用を前提として、CC#00="121"(またはドラムチャネルの場合は"120")+ CC#32="0" にする必要があるが、Domino仕様のイベント値が追加で挿入されるところが問題視されている。
具体的には、協会提供のSMFテンプレをDominoに読み込んで以下のように音色変更したとする。
それを再びSMFとして書き出すと、CC#00="0" + CC#32="4" という組み合わせで不要なイベント・データが書き足されてしまうのである。
これに気づいてこれらを手動削除してしまえば特に問題はないのだが、忘れてそのまま放置するとレギュレーション違反で減点されることになろう。
紛らわしいことにDominoはSMFを直接編集しているわけではなく、一旦Domino独自のファイル・フォーマットで全データを格納して編集する。編集を終えたらそれを別途SMFとして書き出すわけだが、その書き出したSMF自体を再度Dominoに読み込んで不要データが入っていないかどうかを再確認する必要がある。ここはちょっとした盲点と言えば盲点である。