DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

AWS Big Data Specialty を取得

以下記事からの続きになるのだが、つい先日 AWS Certified Big Data - Specialty の認定に合格したので、軽く合格体験記を記しておきたい。約4ヶ月前に取った Solutions Architect - Associate とは異なり、専門分野試験の位置付けでなおかつ受験者数が限られているようなので、今後受験を検討されている方の参考になれば幸いである。

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本試験の特殊性と注意点など

本試験は要するにAWSにおけるデータ処理・分析分野に重点フォーカスした専門領域認定となり、Google Cloud で言えば Professional Data Engineer 認定にほぼ等しい。しかし、いわゆるデータ・サイエンティストの仕事をされている方々は、むしろ機械学習領域の Machine Learning - Specialty を目指した方がよいと感じた(後述)。

難度がかなり高くて試験情報に乏しい

データの処理となると、Solutions Architect に比べればわりと個別具体的な処理手順が多くてむしろとっつき易いと思い、敢えてチャレンジしたのだが、なにしろ覚えるべきAWSサービスとその連携形態が膨大で、この分野で数年の実地経験を積んだ人でないとかなり難解ではないかと思う。特にストリーミング処理 (Kinesis) と大規模分散処理 (Elastic Map Reduce) 関連は経験者が限られてくると思うし、この分野の初心者だと一から覚えるべき事柄がとても多い。

難解であるせいもあってか、合格基準もどうやら得点率60%程度に抑えられているらしく(そのように推察される)、私も実は62%しかスコアできなかったのだが、なんとかスレスレで合格している。Udemyの講座(後述)でも6割程度で合格した例が言及されていたし、以下のQiita記事はいずれも6割台の得点で合格された例なので、たぶん間違った推定ではないのだろう。

qiita.com

qiita.com

あと、どういうわけか本試験のみAWS公式の模擬試験が用意されておらず、設問パターンなどについては別の手段で対策を構じざるを得なかった(後述)。

2020年4月より試験の衣替えがある

以下のAWS告知によれば、Big Data - Specialty は来春4月予定で Data Analytics - Specialty として衣替えすることになっている(現在はベータ試験実施中)。同時にデータベース専門分野の試験も新設されるらしいので、Big Data 認定のうち、DBMSに関する分野は大方外出しした上でデータベース専門試験でより深く掘り下げる体系に変わることが予想される。

近日公開の AWS 認定

ということで今は端境期にあるため、もし新制度切り替え後の Data Analytics の称号が欲しいのであれば、来春まで待った方がよい。ただ、出題傾向や合格水準も同時に大きく変わる可能性はある。

Machine Learning - Specialty との関連

これは後から気づいたのであるが、実は機械学習専門認定の一部と Big Data はある程度重複している。データ処理サービスに関しては、機械学習専門認定の中ではもっとハイレベルの概要程度にとどまるとはいえ、内容が重複していることを考えると、最終的に機械学習の認定を目指している人であれば(私もその一人)、わざわざ Big Data (Data Analytics) 認定を取る必要はなかったかもしれないとも感じた。

ただし、

  • 合格者は次回他領域の受験に対して半額クーポンを貰える。また模擬試験は無料クーポンを貰える。
  • とりわけEMRやRedshiftに関しては事前に深く突っ込んでおいて損はない。

ということを考慮すると、あながち無駄ではないとも思う。

私が利用した試験対策リソース

私が知る範囲では、Big Data 認定の日本語受験対策本は今のところ皆無のはずである。受験者が限られるので売れないからだと思うが、以下の書籍はある程度の対策用途に使える可能性はある(私は使いませんでしたが)。

図解即戦力 ビッグデータ分析のシステムと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書

図解即戦力 ビッグデータ分析のシステムと開発がこれ1冊でしっかりわかる教科書

 

という次第なので、高額のAWSレーニング講座などを受講しない限りはもっぱら英語の教材とかチュートリアルに依存せざるを得ない事情があり、これもハードルが高い一つの要因になっている可能性がある。

私の場合、今回もUdemyの講座をフル活用させてもらったクチである。安価で利用可能な受験対策リソースとしては、これぐらいしかないのが実情であろう。

ちなみに私が受験した本番試験では、後者の模擬試験講座とほぼ同じ出題が割と多く散見されたため、これを徹底復習すれば得点アップに繋がるかもしれない(私は一度やっただけであまり真面目に復習しなかったから低得点だった)。ただし、上述の通りに来春以降新制度に切り替わってからはどうなるかわかりません。

あとは追加的に、定番のAWS公式ホワイトペーパーとかブラックベルト講座(YouTube上で無償視聴可)を各サービスの理解を補強する目的でつまみ食いしているが、表面をなぞるだけで通り一遍な感じになってしまう傾向があるので、逆にこれだけではどうしても不十分だと思う。

電子楽器100年展

公益財団法人かけはし芸術文化振興財団*1の主催で「電子楽器100年展」なる企画展示が国立科学博物館(東京・上野公園)にて開催されるそうだ。展示・イベント期間は本日より約2週間(12月3日〜15日)と美術展などに比べて非常に短いのは残念だが、首都圏在住のDTMホビーイストの方々は是非とも観覧をオススメしたい。楽しいだけではなく、結構勉強になるのではなかろうか。

電子楽器100年展 | 公演事業 | 事業活動 | 公益財団法人かけはし芸術文化振興財団

大阪か京都あたりでも巡回展やってくれればよいのに、と恨めしい思いもするのだが、東京藝大との共催企画なので巡業は難しいのかもしれない。電子楽器となると京都市立芸大音楽学部ではちょっと役不足か。

*1:Roland創業者である梯郁太郎氏ゆかりの財団。現理事長が参議院議長の山東昭子氏というのがなかなかアレですが。

2019年MIDI検定1級試験の合格者発表

去る8月に実施された2019年度MIDI検定1級試験の合格者発表が昨晩あった模様で、下記の協会サイトにて合格者の受験番号が公表されている:

MIDI検定1級受験番号発表

本年度の合格者数は16名ということになるが、これは絶対数としては平年並という感じである(受験者総数はまだ不明)。私が受験・合格した昨年2018年度の合格者数26名からは大幅ダウンではあるが、これは逆に昨年が例外的に易しかったり分量が少なかったに過ぎない一面もあるかと思う。

上記の合格者発表ページに短めの寸評が掲載されているが、なにやら今回は

スコット・ジョプリンが1902年に発表した「The Entertainer」のアレンジ楽曲でした。4分の2拍子であるため小節数が多くページ数も10枚に及んでおります。

とのことで、昨年の反動かどうかはともかく、やはりボリュームが多くて受験者泣かせだったことは想像に難くない。小節てんこ盛りのスコア10ページは打ち込み作業としては結構キツイだろう(昨年はたったの4ページだった)。仮にパーカッションなどの細かいリズム・セクション編集が加わってくると時間的に相当圧迫されてしまう。実際のスコアは見ていないのでなんともだが、分量的に無理があるようだと途中で投げ出して棄権してしまった受験者も少なくないかもしれない。協会はこうした年ごとの当たり外れをできるだけ平準化する意図はないのか、と怪訝に思ってしまうところである。

ただし一方で、今年のモチーフは、誰もが聴いたことのある、あのあまりにも有名な「スコット・ジョプリンが1902年に発表した The Entertainer」だったらしいので、取っ付きやすかったのではなかろうか。因みに原曲は public domain 入りしているため、スコアはネット上で無償にてダウンロード入手できる。それにしても古臭いという印象は拭えない。

来年はどうだろう、東京オリンピックの開催年に当たるので、何かそれにかこつけたテーマをぶっ込んでくる可能性が高いと予想されるものの(ちょっと安直?)、もちろんピンポイントで当てられる代物でもなく、来年受験される方はとにもかくにもボリュームが少なくなることだけを祈っておいてください(苦笑)。

追記 (2019-12-26)

その後スコアの販売が開始されたことに伴い、譜面の1ページ目サンプルイメージが協会サイトに掲載されていたが、これを拝見する限りではさほど音符が高密度な楽曲ではなかったようだった。

出題者からのメッセージでは、

今回皆さんにチャレンジしていただくのは「多声的」に編曲された音楽
です。これは皆さんが通常親しんでいる「メロディーと伴奏」という考
え方とは少し異なり、並行して流れる複数の単音旋律の組み合わせで旋
律、和声そしてリズムを総合的に表現している音楽スタイルです。
(クラシック以前の音楽はこの考え方が多いと言えますね。) 

と書かれており、いわゆる対位法が大きな主題になっていたことを窺わせる。これは言うまでもなくバッハなどのバロック音楽の特徴だが、一方で "The Entertainer" というラグタイムの名曲をモチーフにしているところが大胆な異種混淆というか、なかなか面白く、取り組み妙味があったかもしれない。

TidalCycles入門 (3): テンポ設定の方法

TidalCyclesにおける楽曲全体のテンポ設定については、ネット上で散見される入門記事などではcpsコマンドを使う例示ばかりが目につくが、実はバージョン1.0以降に機能改修が入り、setcpsコマンドに取って代わっている。

Interaction - TidalCycles userbase

なので、旧バージョンのようにcpsコマンド単独で実行してもテンポ変化は何も起こらない。因みに CPS = Cycles Per Second の意味である。

DAWユーザだといわゆるBPM (Beats Per Minute) の方が解釈しやすいだろう。その場合は、例えば BPM=120 にしたい時はsetcps (120/60/4)と指定すればよい。

詳細は下記チュートリアル資料の "Tempo" の項目を参照されたい:

Tutorial - TidalCycles userbase

蛇足: これまで試行錯誤したところの感想

ライブ・コーディング以外のTidalCyclesのユース・ケースとしては、非典型的かつ独創的なリズム・パターンの生成に適しているかもしれないと思った。少なくとも素人ではなかなか思いつかないような奇抜なビートを比較的簡単に生み出せるからである。複雑なポリリズムもいとも簡単に実現できる(使用ソフトにもよるがDAWでは偶数拍と奇数伯のポリリズム編集は非常に難儀するか無理な場合が多いと思う)。

逆にメロディーやコードなどの上ものをコントロールするには相当な上級テクニックを必要とする印象を受けるので、DAWユーザであればビート and/or ベースをTidalCyclesで生成してやり、これらをDAWにオーディオ素材として取り込んだらそれ以外の上ものはシンセ等で演奏して乗っける、という折衷案、というかセッション援用法も悪くはないと思う。

補記

under the hood で動作している SuperDirt のシンセサイザー音色コントロール機能もかなり充実しており、各種エフェクター機能と合わせてアルゴリズミックに独創的な演奏が実現できそうであることは、チュートリアルを走破してみて実感した。しかしながら、これはかなり難解という印象も拭えない。

ある程度経験を積まないと意図した通りの演奏は難しいと思うが、逆にいろいろと弄ってみて偶然にもクールなパターンを編み出せた発見の喜びみたいなものがあるところは非常に面白いと思う。

 

TidalCycles入門 (2): VS Code 上での実行環境

以下記事に引き続き、今回は Atom の代わりに VS Code エディターをライブ・コーディング環境に使う場合の設定方法などを簡単にまとめておきたい。

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拡張機能の導入

ここで VS Code に導入すべき拡張機能は2種類ある。すなわち、実行環境を用意するものとシンタックス・ハイライトの2つである。

実行環境

以下の拡張機能を導入すればよい:

TidalCycles for VSCode - Visual Studio Marketplace

基本的にはAtomエディターとほぼ同一の使い方ができる上に、独自の便利機能もいくつか追加されているようである。大概の環境ではデフォルト設定で問題ないとは思うが、好みの設定やパスの定義等微調整を必要とする場合は上記公式ページを参考にされたい。

シンタックス・ハイライト

実は上述の拡張機能 "TidalCycles for VSCode" を入れただけではシンタックス・ハイライトが何もない状態で、エディター画面上は非常に見辛い。

ご承知の通り、TidalCyclesはHaskellの実行環境上でコーディングするため、ここでは "Haskell Syntax Highlight" を導入し、Haskellシンタックス・ハイライトを間借りする:

Haskell Syntax Highlighting - Visual Studio Marketplace

これに加えて忘れてならないのは、ファイル拡張子.tidalHaskell言語に関連づけるよう settings.json に定義を追記することである。これに関しては、上記 "TidalCycles for VSCode" 公式ページ中の "Syntax Highlighting" の項を参照されたい。

もっとも、ハイライトの具合は正直なところAtom拡張機能の方が見やすいかと思う(カラーリングはおそらく設定変更できるのだろうけど)。好みにもよるが、コーディング・パフォーマンス自体はまだAtomを使う方がしっくり来るかもしれない。

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おまけの設定: サウンドブラウザー

この VS Code拡張機能には、TidalCyclesで呼び出せるサンプリング音源の試聴というAtom拡張機能にはない便利機能が搭載されている。上記の通り、シンタックス・ハイライトには少々難があるためコーディング自体はAtomを使うとして、これとは別に音源試聴チェックは VS Code を援用するといった使い分けもありかと思う。

事前設定の方法に関しては、上記 "TidalCycles for VSCode" 公式ページ中の "Sound Browser" の項記載の通り、要は本拡張機能の設定画面における Tidalcycles > Sounds: Paths という項目に音源格納フォルダー(ディレクトリ)*1をパス設定するだけのことである。

パスの設定後は下例の通り、アクティビティ・バー上に出ている TidalCycles アイコンをクリックし、各サンプル・ファイル名の上でマウスオーバーすると表示される再生ボタン・アイコン押下して再生試聴できる。これは非常に便利な機能なので、追加設定することを強く推奨したい。

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*1:Macの場合はデフォルトで $HOME/Library/Application Support/SuperCollider/downloaded-quarks/Dirt-Samples に保存されているはずである。

TidalCycles入門 (1): 基本チュートリアル資料など

ちょうど2ヶ月前の夏季休暇時にお試し導入したTidalCyclesであるが、最近になってようやく実習を始めてみた中で有益と感じた入門用の資料などを共有しようと思う。

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トラブル・シューティングについて

TidalCylclesのインストール時あるいはインストール後のトラブルについては、以下の公式ページを参照するとよい:

Troubleshooting a Tidal install - TidalCycles userbase

ほとんどのケースはこれを参照すれば一発で解決するかと思う。躓くとすれば、おそらく十中八九Haskell関連であろうと推測される。

私の場合はこうである。TidalCyclesのインストールや環境設定はややこしいとの悪評がつきまとっていたものの、私は案外すんなりと初回のインストールと発音まで到達できた。しかし、それ以来時間が経過してから再度立ち上げてみると、AtomエディターのTidalCycles拡張機能をブートしたタイミングで "Could not find module ‘Sound.Tidal.Context’" なるエラー・メッセージが出てしまい、一切音が鳴らなくなっていた。

なぜ初回インストール時には問題がなく、時間経過後の今回になって発覚したのかは不明のままであるが、要するにTidalCylcles用のHaskellライブラリが入っていなかったことは明白なので、上記ページの "Tidal library" のセクション指摘の通りにもう一度入れ直すことで晴れて解決した次第である。

補記

Haskellのパッケージ導入管理ツールとして、cabalとstackの2種類があることも混乱の一因かと思われる。現在では後者のstackを使う方法がモダンなやり方らしいが、TidalCyclesの起動方法などが標準と異なる(上記userbaseの公式資料にも記載がある)。

基本中の基本の入門資料

よく使われる基本機能を一通り体得する段階で通読しておくべき資料は、以下の1点で十分と思う(PDFのスライド資料):

yoppa.org

日本国内ではTidalCyclesの第一人者であると言ってもよい田所淳氏の貴重なチュートリアル資料である。断片的なブログ記事はネット上で割と多く見かけるのだが、ある程度まとまった日本語資料としてはたぶん唯一無二であろう。氏の下記著作も合わせて読むと入門者としては万全かもしれない(お高いので私はまだ購入していませんが)。

演奏するプログラミング、ライブコーディングの思想と実践 ―Show Us Your Screens

演奏するプログラミング、ライブコーディングの思想と実践 ―Show Us Your Screens

 

その他の入門資料

英語が苦にならないユーザは、とりあえず以下の公式チュートリアルに目を通すとよいだろう:

Tutorial - TidalCycles userbase

ただし、結構ボリュームがあるので、最初からがっつりこれに取り組もうとすると挫折してしまうリスクもあると思う。ある程度以上のレベルの創作を志す上で必読であることには変わりはないが、やはり一番最初の取っ掛かりは上記の田所氏資料を参照することを推奨したい。

また、中級以上のチュートリアルとしては、以下のYouTube講座が比較的有益かと思う(ホストは live coding 界隈では有名な演者だそう)。ただし、TidalCyclesのアップグレードに伴って一部のコード・シンタックスは現バージョンでは機能しないように見受けるので、その辺は適当に端折るとよい。

補記

TidalCyclesはバージョン1.0を機に大きなアップグレード改修が入っているようなので、概ね2018年以前のブログ等入門記事に掲載されているコードはそのままでは機能しないところも多々ある。

www.youtube.com

AWS Solutions Architect Associate を取得

音楽とは直接関係はないのだが、無理やりこじつけるならば盆休み期間中に試しに入門した algorave / live coding に多少は関係してくるかもしれない、という密かな期待も込めつつ、先月末に AWS Solutions Architect Associate (以下SAA)の認定試験に合格したので(スコア820/1000点)、せっかくだから軽く体験談を書いておこうかと思う。

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先月書いたように、今のところ live coding の環境設定はテクニカルに少々ややこしいことになっているので、クラウドに上げた環境をそのままお手軽に利用するとか多人数で共有したり、リモート接続で共同ライブ・セッションをしたり、などというクラウド活用の動きが今後活発化する可能性はあるだろう。

www.youtube.com

さて、SAAであるが、巷には受験体験記が山ほど溢れている中、私ごときが新たな知見を加える余地は小さいかもしれないが、ごく普通の初心者クラスの受験者が最小費用で実践した一つの典型アプローチとして参考にはなるかと思う。というのも、Qiitaなどで数多く披瀝されている受験体験記には、準備期間1ヶ月とか極端な場合には1週間といったどちらかと言えば例外的ケースが目立っており、一般的な未経験者・初心者にはあまり参考にならないと思ったからである。

まったくの初心者だった私の場合、単純に延べ期間で言えば5ヶ月程度の時間を要した。圧縮すれば実質的には2ヶ月ぐらいだろうと思うが、やはり仕事をしながらということになると普段の平日はなかなかまとまった学習時間を確保できず、ずるずると3ヶ月以上の期間は見込まざるを得ないのではないかと思う。

Udemyの講座活用が最短距離コース

学習期間の短縮には、Amazonその他業者主催のトレーニング・コースを受講するというのも一つの手である。しかし、それなりの高額出費を覚悟する必要があるため、なかなか個人ではおいそれと手を出せないし、そもそも費用対効果の面でどうしても疑問符が付く。その代替手段として非常に安価かつ有益であったのがUdemyの各種講座であったことは特筆しておきたい。

私が受講したのは以下の3講座で、あとは下記に挙げる日本語教則本を除けば他は何も利用せずに済んだ。

これだけでOK! AWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイト試験突破講座(初心者向け21時間完全コース)

これは結構定評のある試験対策講座で、日本語では唯一ではないかと思う。初心者にはありがたいハンズオン*1が充実しており、最初の取っ掛かりとしてはベストな講座と思う。

ただし、振り返ってみれば「これだけでOK」というわけには行かなかったので、他講座との併用を推奨する。付随サービスの紹介が不十分であったり、要点が整理し切れていない側面も否めず、どれか一つで良いから別の講座で補強する必要があると感じた。

付録のクイズや模擬試験問題はやや重箱の隅を突き過ぎた設問が多く、高得点を取れずともそれほど気にする必要はないと思う。

Ultimate AWS Certified Solutions Architect Associate 2019

個人的にはベスト講座であった。英語が苦にならない受験者には是非オススメしたい。上記「これだけ」講座ではよく理解できなかった要点などが本講座で明快になったところも多々あった。

スライド資料の要点整理が非常に簡潔かつ明瞭に綺麗にまとまっている。違いが紛らわしい各種AWSサービスの比較なども丁寧に網羅されており、痒いところに手が届く講座と言える。当然ながらハンズオン実習やデモも非常に充実している。

振り返れば、本講座最後の付録の模擬試験で合格基準に達すれば、本番でもおそらく大丈夫であろうという感触がある。

AWS Certified Solutions Architect Associate Practice Exam

合計6回分の模擬試験問題集。模試問題だけを集めた講座は実は山ほどあるのだが、これは比較的解説や資料リンクが充実している方だと思う。

ただ、振り返ってみればこれは特に受講の必要はなかった。というのも、ボリュームが多くて取り組む時間の捻出に苦労したことと、また問題のレベルがどちらかと言えば過剰に重箱の隅を突くもので本番よりも難度が高過ぎる印象を受けたからである。

おまけの教則本

定評のある日本語教則本は何冊か出回っているが、私が使ったのは以下のいわゆる「黒本」というやつである。

徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト ? アソシエイト教科書

徹底攻略 AWS認定 ソリューションアーキテクト ? アソシエイト教科書

 

言わずもがなだが、読者のレベルや相性があるので、教則本は書店で手に取ってみて吟味選定することを勧めたい(私はそうしなかったので反省)。なので、上記黒本が万人にとってベストだというつもりは毛頭ない。

黒本に関して個人的な意見を書くとすれば、

  • 私がそうだったのだが、入門者がいきなり黒本を読んでもおそらくチンプンカンプンでほとんど頭に入ってこないと思われる。上記Udemyの講座と並行で復習に用いるのがベストであろう。
  • 章立ては、EC2やVPCといった各サービスごとではなく、AWS Well-architected Framework の5本柱に沿った構成となっていて、重複が多い。ここは読者の好みが分かれるところだと思う。
  • Kindle本ではなく紙の書籍を推奨する。私は自宅外での通読に配慮して電子書籍にしたのだが、用語検索・参照がままならずにとても苦労した*2。今後の事典用途なども考えると、紙の書籍の方がよかった。

これも振り返ってみればの話だが、結局のところ黒本はあまり必要ではなかったというのが正直な結論である。もちろん他の教則本だとまた違った感想になるかもしれない。

*1:本講座に限らないが、無料枠を使ったハンズオンであってもRDSなど高額サービスが絡んでくるものは、業務上どうしても必要である立場などを除き、逐一実践しなくてもよい。思わぬ請求が発生することを防ぐに越したことはないため。

*2:この種の日本語書籍にありがちだが、印刷イメージをそのまま電子書籍化した代物なので、検索用途ではまったく使い物にならない。