DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

MacBook Air (M1, 2020) を買ってしまう

今月上旬に開催された今年のWWDCで、蓋を開けてみたら結局M1の次の新型 Apple Silion 搭載ハードウエアが発表されなかったため、ついに痺れを切らしてM1搭載 MacBook Air を先週末に購入した。大会前にはM2(?)搭載 MacBook Air らしきものが出るとの噂も目にしていたので、あともう一歩これを待った方がいいのか、と思案していたが結局肩透かしを喰らってしまった。

因みにデザイン一新の次期 MacBook Air モデルは今年後半かまたは来年デビューとのウワサですが、あくまで憶測に過ぎないので本当のところはわかりません。現行M1搭載 Air と Pro の中間に位置する Air の上級版が開発中という話。だけどもうこれ以上半年とか1年待ち切れないなと思い立ってM1を買う決断を下した次第。

www.macrumors.com

もっとも、結論から言うと買って大正解・大満足で、価格性能比抜群な上にとても軽快に動作するし、旧モデルの Air や Pro に比べると一回り筐体が小さくコンパクトになってデスクに収まりやすくなったのも気に入ってる。以前のMacBookAirとかProではない無印の)と同じような大きさですね。あとバッテリーの持ちがとてもいいです。

今さら実機レビューを私如きが書くつもりは全然ないが、本ブログの主要テーマに関連して何が言いたいかというと、これで有償プロ仕様のDAWは Logic Pro X 導入で決まり、ということ。今のところM1ネイティブで動作するメジャーDAWは Logic Pro X しかないからです。

sleepfreaks-dtm.com

来月あたりに早速導入してみて、追々体験記を書いていこうかと思っている。プラグインの動作検証などもやってみるつもりでいる。

本ブログで散々書いてきたように、個人的には Studio One が本命だったのだが、こちらの Apple Silicon ネイティブ版が出るのはまだまだ先のようで、それも Logic Pro X で充分満足してしまったならばもうこの先導入は検討しないかもしれない。

TR-808とMIDI開発秘話 @TBSラジオ アフター6ジャンクション

今週木曜日に菊本忠男氏のインタビューもとい歴史証言特集があったので、聞き逃している方はpodcastでチェックされることを激奨します。

www.tbsradio.jp

話の中心はTR-808MIDIの件は最後の10分程度しかありませんが、両者開発の歴史的経緯を知るには格好の入門番組になっていると思う。「入門」と書きつつ、結構テクニカル・タームが飛び交っていたため、ある程度MIDIとかDAWの基礎知識がないと聴きづらいかもしれない。

ネタ元は下記の近刊本らしく、話が重複するだろうから書き起こしみたいなことは控えておきます。

 TR-808を継承発展させた菊本氏の新たなプロジェクト RC-808 については下記サイトを参照。試作プラグインが無償でダウンロード使用可能となっている。

rc-808.com

個人的に刺さったトピックなど:

  • これは結構有名な話だが、TR-808発売当初はそのあまりにチープなサウンドのためか商業的には失敗。その後偶然にもヒップホップ業界で大々的に使われ出したことを契機として予想外のリバイバルを遂げる。人間万事塞翁が馬みたいな典型例で、研究開発事例でも似たような話がいっぱいあることを思い出しますね。
  • MIDIの発案は創業者梯郁太郎氏が率いたRoland社ではあったものの、業界盟主とも言えるヤマハの後押しが普及に多大な貢献をしたというのはちょっと知らなかった。ちょうど YAMAHA DX-7 がMIDIケーブルのインターフェース搭載で発売、大ヒットとなったタイミングも幸いしていた。米国 Sequential Circuits 社(名機Prophet-5のメーカー)が協力的だったことも世界的普及に寄与したようだが、私はてっきり Sequential Circuits がMIDIの発案元かとずっと勘違いしていた。
  • 昔の発売当初のTR-808はもはやビンテージ・マシン扱いで中古価格が高騰しているので、同じ筐体とシステムで復刻製造はできないものかと問われた菊本氏は、技術的には可能だが過去とまったく同じことをやっても面白くもなんともなく発展性がない、と技術者魂全開で切り捨てていた発言が印象的だった。これと文脈は異なるが同じような感想を抱くことはありますね。YMOなんかのカバーを当時の使用アナログ機材そのまんまで再現している動画をよく見かけるんだけど、昔と丸々同じことを今やってもあんまり有意義ではないな、という感想と似ている。

AI作曲支援プラグイン

最近目に止まった下記記事はなかなか興味深し。

www.dtmstation.com

これはソニーCSLが研究開発中のプラグインで、実はまだ一般市場にはリリースされていない作曲支援ツールだそう。ソニー・ミュージック内部で実験的に使用されているようだが、アウトプットの自動生成プロセスはサーバを介する仕組みになっているので、このままではさすがにまだまだ一般公開は無理でしょうね*1。さりとてサーバを介さないとなると膨大な学習済みデータベース等をどうやってローカルに頒布するか、という点が大きなハードルにはなってくる。

学習用データセットが単純なメロディーやコードといったMIDIデータ単体ではなく、コード進行やオケも含めたある種のスタイルひと塊りをパレットとして食わせている点はユニークだ。逆に生成結果はMIDIデータなので、この辺は一般的なアウトプット形態ではある。そうそう、MIDIはこうしたAI自動作曲分野で主要なインプットかつアウトプットのフォーマットとして当たり前に使われるようになってきているので、MIDI検定の宣伝ではないが、一応MIDIを系統立ててきちんと勉強しておいたのは正解だったと思う。

このツールの利用シーンは、楽曲一作品の完成形を自動生成するというよりも、むしろメロディやコード進行、リズムパターンの断片スニペットをヒントや新規アイデア出しの形でユーザに提供するといった趣旨のようである。これはアプローチとしては正しい方向だろうなとは思いますね。楽曲の素材だけでもいくつかあらかじめ土台が用意されている方が全体の制作は格段に進めやすくなりますからね。

*1:MIDIデータ生成・ダウンロードだけならウエブサービスで提供することも可能でしょう。

アトロクはPodcast配信再開してた、1年前に!

新文化情報のアップデートのために個人的に愛聴しているTBSラジオの人気番組「アフター6ジャンクション」がpodcast配信を再開したと知り狂喜。といっても再開自体は1年前のことで、自分が今の今まで全然気づかずにいただけのこと。

www.tbsradio.jp

宇多丸師匠がメイン司会の同番組は今春から4年目に突入、前身の「ウィークエンド・シャッフル」時代を含めれば14年の歴史を誇るが、長らくpodcast配信を継続していたのに2年ぐらい前だったか唐突に廃止されて代わりにradikoもどきのラジオクラウドによる配信に一本化されてしまった。

このラジオクラウドなんだが、再生ごとに挿入される広告や番宣がとてもウザったらしくて私はもう我慢の限界に来ていた。無料で利用させてもらってるのだから当然の対価といえばそれまでだが、かてて加えてこのアプリがバッテリーをとてつもなく消費する(バックグラウンドで何をやっているのか番組再生してなくてもみるみるうちにバッテリーを消耗する)と判明してすっかり幻滅し、代替手段を検討していたところ、当のTBSラジオが同番組のpodcast配信を再開していたと知って驚くと同時に胸を撫で下ろす。ちなみに現在podcast配信対象となっている番組は他に「荻上チキ Session」など数は限られているが、podcast配信はなくとも番組公式ブログ内で一定期間再生できるものもある(「たまむすび」など)。

podcastの配信プラットフォームとしては、Spotify筆頭にiTunesGoogle Podcasts が使える。ラジオクラウドに辟易しているリスナーの方々はpodcast配信に乗り換えることを是非ともオススメしたい。

シンセ入門チュートリアル動画

言わずもがなではあるが、YouTube上には玉石混交とはいえシンセによる音作りのためのチュートリアルが山のようにアップされており、特に英語圏の教材動画の充実ぶりには目を見張るものがある。一昔前と異なり、各種スクールのお高い講座や教材を買い込まなくとも手軽に入門できる環境に恵まれている状況である、英語が苦にならなければ...。

そんな一つの例として以下の動画を紹介しておきたい。Jamiroquai キーボーディスト Matt Johnson 氏の入門動画は簡潔でとてもわかりやすかったです。

www.youtube.com

シンセでは非常に一般的な減算方式アナログシンセの入門としてふさわしい教材になるかと思う。動画で使われているのは Prophet 6 であるが、基本構造は他の減算方式アナログシンセもほぼ同じである。

先日取り上げた Synth One のチュートリアル本と合わせて学習すると理解が深まるのではなかろうか。OSCを2器搭載という点では Synth One と Prophet 6 は同じ構造であるからある意味で操作の互換性がある。

daw-jones.hatenablog.com

2021年MIDI検定2級2次試験の合格者発表

去る2月下旬に実施されたMIDI検定2級2次試験の合格者が一昨日公表となったが、受験者総数は24名、合格者数は15名となりどちらも過去最低の人数だった。

MIDI検定2級2次試験結果報告

コロナ禍で1次試験の一般公募受験が取り止めとなり、教育機関限定のクローズドな実施形態であったせいで致し方ない面はあるが、これを機会にたとえばMOOCに衣替えするなどして受講者・受験者を増やす工夫をした方がよいのではないかという感想も抱く。あるいは以前コメントしたように、いっそのこと2級1次の筆記試験は廃止して、1級同様に制作物提出(それも今どきCD焼き付け送付じゃなくてクラウドに上げるのが常識でしょう)の実技試験のみとすればよい。

まぁいずれにせよそろそろ一部カリキュラムや試験実施形態は刷新を検討すべき時期に来ていると思いますね、受験者を今以上に増やしてテコ入れするのであれば。

フーリエ変換の基礎講座などについて

DAWユーザで創作上フーリエ変換を日常操作する必要がある人はまずいないと思うが、デジタル信号処理の技術が裏方でどのように下支えしているのか、基礎教養として知っておいても損はないと思い、ちょっと齧ってみた次第である。なお、高校レベルの複素数とベクトルおよびオイラーの公式に関する知識は前提として持っておいた方がよい。

フーリエ変換は工学専攻の学生には必須の習得課題であるため、レベルやアプローチの差はあれど教科書の類は数多く出版されているし、ネット上にも山のような資料が公開されている中、自分に合った教材を見つけて学習できる環境はすでに整っている。しかし選択肢が多い分、逆に自分のニーズにマッチする教材の発見がなかなか容易でないという問題がある。

そこでとりあえずはいつも通りにUdemyの講座を漁ってみたところ、私が受講した以下の講座は要点が比較的簡潔にまとまっていて明快であった。例えばローパスフィルター等周波数フィルターの仕組みなど具体的な計算実験例を交えて視覚的に教わるので大変分かり易くてオススメ。ただ、私もそうだが理科系分野の人以外はおそらく2、3周して復習しないと腑に落ちないトピックスも少なくないかと思う。

www.udemy.com

Udemy講座を受講する以前、私は最初にまずCourseraの下記コースに挑もうとしたのだが、時間的な制約も厳しく走破断念に至った経緯がある。人によってはこちらの方がニーズに合っているかもしれない。

www.coursera.org

フーリエ変換の考え方自体はとてもシンプルで、原系列に対して各周波数毎のsin/cos(実際には複素正弦波で一括り)を掛け合わせて内積を取ることで相関係数(=各周波数の影響の大きさ)を出しているようなもんですが、実際計算するにあたっては規格化とか面倒な処理も入ってくるため、便利なライブラリを使うことになろう。要は時系列データを周波数ドメイン写像変換してある種の操作を扱い易くするのがその趣旨である。

実際の離散フーリエ変換にあたっては、いわゆるエイリアシングの問題を回避するために、ナイキストのサンプリング定理に基づいて十分な数の標本を確保する必要があるという注意点も指摘される。因みにこのサンプリング定理はMIDI検定の3級/2級筆記試験でも触れられている(ほんの触りですが)。