DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

MacへのDomino導入について

率直に言って、楽曲全体におよぶMIDIデータをモダンなDAWですべて「打ち込む」のは非常に骨が折れると思われる。加えて、データ作成後における全体の整合性や入力ミスのチェックが困難を極める。現状、DAWの類で効率的なMIDI打ち込みに対応可能なソフトは、かつて一斉を風靡したレコンポーザの様式を引き継ぐ国産DAWSinger Song Writer 一択のようだ。

www.dtmstation.com

MIDI検定実技試験のために効率良く楽曲MIDIデータを作成するためには、上記SSWか、フリーのMIDIシーケンサーである Domino を導入するか、選択肢は二つである。もちろん、費用対効果を考えれば、後者の Domino を必然的に選ぶことになる。

DominoをMacに導入する

事前準備: Wine導入

残念ながら Domino は Windows ソフトなので、そのままでは Mac 上で動かすことはできない。そこで、Windows アプリを Mac で走らせるための擬似的な仕掛けとして Wine を入れる必要がある(エミュレーターでもなく仮想環境でもないので何と表現すればよいのかわからないが)。

www.winehq.org

Wineの導入にあたっては、以下の3つの方法がある:

  1. 上記WineHQサイトよりMac用のバイナリ・インストーラーを直接ダウンロードし、Macアプリとしてインストールする。
  2. Homebrewを介してパッケージとして導入する。
  3. PalyOnMacをインストールする(裏方でWineが動く)。

一番お手軽なのは上記1の方法であろう。Wineのアップデート処理が比較的楽なのは2の方法である。しかしどうしてもコマンドライン・インターフェースに抵抗があるユーザは3の方法でもよい。私の環境では、1の方法でWineを入れている。

www.playonmac.com

 インストール後は、ホームディレクトリの下に、Wine管理下のWindowsリソースおよびディレクトリ構造が作成されている($HOME/.wine/drive_c/Program Filesなど)。なお、.wine は隠しフォルダーなので、デフォルトのままではファインダーに表示されない。したがって、ターミナルからコマンドでアクセスするか、隠しファイルを表示するよう設定変更する。

Dominoのインストール

下記 Domino サイトのトップページより最新版v1.43をダウンロードし、解凍後はホームディレクトリの下などユーザ領域の適当な場所へ、フォルダー Domino143 を中身丸ごとそのまま移動するだけでよい(インストーラーの起動は不要)。

私の環境では、一応Windowsアプリであるから、$HOME/.wine/drive_c/Program Files の下に保存し、ショートカット(ソフトリンク)を $HOME/Documents 下の作業フォルダーへ置くことによりファインダーから容易にアクセスできるようにしてある。

takabosoft.com

Dominoの起動

ターミナルから wine コマンドに対し、Dominoの実行ファイル(EXEファイル)をパス付きで指定する。すなわち、私の環境では以下のコマンドを実行する:

wine "$HOME/.wine/drive_c/Program Files/Domino143/Domino.exe"

これを毎回タイプするのは面倒なので、1行シェルスクリプト化してdomino.shを作成すると、dominoコマンド一発で起動できる。あるいは、.profileファイル中にエイリアス (alias) を定義してもよい(こちらの方が簡単でスマートか)。

Dominoの初期設定

とりあえずは以下の設定変更を忘れないうちにやっておく。残りは必要に応じて調整すればよいだろう。メニューバーより、ファイル > 環境設定 を選択し、環境設定パネルを開く。

全般(1)
  • 時間の表し方: Measure: Beat: Tick
  • ノート同士が交わった場合: タイとみなす 追記訂正: 必須設定ではない(MIDI検定ではノートを重ねることはないのでデフォルト設定でもよい)。
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MIDI-IN
  • MIDI-INデバイス1(A): MIDIキーボードなどの入力デバイスMac/PCに接続している場合は、それを指定する。必須ではない。
  • チャネル: 上記入力デバイスの出力チャネルに合わせる。
MIDI-OUT

ポートAにつき出力デバイスを指定する。これをやっておかないと音が鳴らない。なお、MIDI検定実技試験用の楽曲データ作成上は各チャネルとも複数ポートを使用する必要はないので、とりあえずポートAだけの設定で十分である(MIDIチャネルとポートとの関係については公式ガイドブックの §3-1-4「MIDIデータ再生の仕組み」p.70 を参照)。

  • MIDI OUT デバイス: Core Audio MIDI Synth 0(Macの内臓GM音源)。もしMac/PCに接続したハードウエアのGM音源機器を使うのであればそれを指定する。
  • 音源(音源定義ファイル): Yamahaなどの特定のGM音源を保有していない場合は、"GM Level 1" もしくは "Roland SC-8850" としておけばよい。

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デフォールトGate/Velocity

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WAVファイル出力をどうするか

以上より最低限のMIDI打ち込み環境は整えられた。ベースとなるSMFの出力まではこれで十分である。しかし、DominoはWAVファイル出力には一切対応していない。これの対処方法を次回に述べることとする。