DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

クラシック風楽曲の生楽器対応フリー音源

MIDI検定2級実技の場合はGM音源使用でもまったく問題なく、芸術評価がない分、少々音色のクオリティに不満が残ろうが特に対策を打つ必要はないと思われる。しかし、1級実技の2次審査ではそうも行かない可能性が高い。そうなると、例えば2014年の1級課題曲のような本格的なクラシック風楽曲にも対応するため、ストリングズ等管弦楽の生音源に近い音色は準備しておいた方が無難である*1

私は自主制作では生楽器音源を多用する予定はないので、費用対効果を第一義に考え、当面はとりあえず無償で入手できるフリーの音源プラグインを使い倒すことにしたい。それを念頭にMacでも使えるフリー音源を探し回ったところ、結局下記の2種類に落ち着いた*2

Sample Tank Custom Shop

言わずと知れたイタリアの著名サンプラー音源メーカー IK Multimedia 社の提供。基本音色セットは無償無制限に利用可能で、後から有償で個別の音源を追加することもできる。ユーザ登録とソフトウエアのアクティベーションは必要だが、導入に大きな手間はかからない。

私は特にオーケストラ・ストリングズ系の補強のためにあちこち探し回ったのだが、Mac対応のフリー版となると、まともな音源セットはこれしか見当たらなかった。なお、Windows対応版であれば数も種類も豊富で、ストリングズ専用のフリー音源などもある。

Sample Tank Custom Shop の機能概要や入手方法等については下記メーカーサイトの記事を参照されたい:

www.ikmultimedia.com

 

簡単な製品レビューとしては、DTMステーションの下記紹介記事も参考になるであろう(2年半前の記事でやや古いかも):

www.dtmstation.com

本音源のストリングズは、ピッチカートなどのアーティキュレーションにもある程度対応し、ADSRパラメータやエフェクト調整などによって音色加工も柔軟にできる。ストリングズ以外では、エレピの音色も非常に良く、あれこれエフェクトを掛けなくてもそのままで結構使えると思う。また、MIDIのコントロール・チェンジには一通り対応しているようである。

TracktionなどのDAWプラグインとして発音させる場合の注意点としては、MIDIクリップのMIDIチャネルと Sample Tank 側の楽器チャネルを一致させること。基本的には両方とも1チャンネル使用で問題ない(マルチ・ティンバーで発音させない限り)。

VSCOパブリック・ドメイン音源

場合によっては、上記 Sample Tank 音源だけでは楽器の種類が不足するので、必要に応じてお好みでVSCOライブラリから選ぶことにする。これはもともとサウンドフォント素材として公開されていたものだが、有志によってVSTi/AUプラグインに変換提供されているようである。

bcvsts.blogspot.jp

 

私はまだすべての楽器音色を試聴したわけではないが、いくつか試した限りでは、どうも楽器によって音質にバラツキがあるように感じられた。したがって、この中のすべての楽器音色が必ずしも実用に耐え得るわけではないことに注意する。

私自身の感想を言えば、本ライブラリのベスト音色はピアノだと思う。他メーカー製のピアノ音源は高音強調で硬い音色が多数を占める中、これは柔らかめの優しい音で非常にクオリティも高く、生演奏に近い。逆にフルートはクリップノイズらしきものが混入しており品質に難がある(Sample Tank のフルートを使えばよい)。またクラリネットやバイオリンはアタックが遅い・弱過ぎる等ちょっと使えそうにない印象*3

*1:1級課題曲は、作成担当者である外山和彦先生の音楽志向や来歴も手伝ってか、傾向としてジャズ、フュージョンやクラシカル風味な(やや時代遅れな)曲が中心なので、生楽器対策がどうしても必須となる。個人的にはあんまり好みのジャンルではないが止むを得ず。

*2:私がここで取り上げた音源2つは、偶然にもギター講座オンラインの2016年プラグイン紹介記事でもピックアップされていたので参考まで: 2016年に使い始めて来年以降もお世話になるであろうフリーVST、VSTi12個

*3:概してバイオリンのサンプリング音色はアタックの扱いが非常に難しい。シンセのストリングズ系音色と混ぜて調整するなどの加工テクが必要かもしれない。なお、Sample Tank のストリングズ音色はこのようなアタックにまつわる癖や障害はなく、使い勝手が良い。