DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

2016年2月期練習曲No.4の演習

MIDI検定2級2次試験演習の続き。今日は、2016年2月期練習曲セットから、練習曲No.4を取り上げて分析し、要点を整理する。これにて2016年2月期の練習曲はすべて終了となる。

パーカッションの音色選択

本曲も練習曲No.3同様に、Studio One 3 Prime 内臓音源の Presence XT で再生する場合はパーカッション音色の選択に若干注意を要する。すなわち、コンガとコラベスに対応しているキットを選ばなければならない。パーカッションだからといって "Percussive Kit 1" がいいかと使ってみたら全然ダメだった。オーソドックスな "Classic Kit" や "Standard Kit" などは問題なしである。

弦楽器特有の表現など

レガート

同セットの練習曲No.3はスタッカート多用曲だったが、逆に本曲はレガートが主体となっている。したがって、ゲートタイムはレガートの最後に来る音を音価の90%程度にするよう注意を払う。

一方でレガート上の他のノートは音価の100%そのままとして加工する必要がないため、最後のノートをうっかり編集し忘れるリスクが大きい。

ピッチベンド・コントロール

主旋律のバイオリンに、3小節目冒頭と10小節目の2箇所だけピッチベンド・コントロールによる表現が出現する。このうち後者は、ハンマリング・オンにも類似した記譜法で書かれているため、紛らわしく見落とす可能性がある(下図参照)。

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ここはノートのデータとしてはBb4の付点4分音符で入力しておき、8分音符の長さの範囲でピッチベンドを上限まで上げるという解釈になる*1

データ上はこれで全然問題ないが、模範演奏も含めて実際に聴いてみると、ベンドの上昇過程をどう調整してもスムーズに聞こえず違和感が残る。もっと上手く表現するにはポルタメントなどの別のテクニックが必要かもしれない。

ベロシティやコントロール・チェンジ

その他にも弦楽器に特徴的な表現が盛り沢山で、ベロシティの漸増過程、および#1モジュレーションと#11エクスプレッションを対象としたコントロール・チェンジ (CC) も多用されている。表現解釈上特別に変わったところはないが、CCは両方同時に適用している音符が数カ所あり、見落としに注意する必要がある(下例参照)。

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6連符

ストリングズ・アンサンブルの冒頭では6連符が再び登場している。その解釈と入力方法は練習曲No.2に同じである。おそらく本番課題曲でも出題された可能性が高い。

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ダブル・シャープ

エレピに1箇所ダブル・シャープがあるが、丁寧にも説明書きが添えてあるので、まず間違えることはないだろう(下図参照)。

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ここはややトリッキーで、F3をダブル・シャープしてG3とする。ここでダブル・シャープを使う意味は正直よくわからない*2。他の小節の和音表記スタイルに合わせているのだろうか。

ダブル・シャープは以前の練習曲にも1度お目見えしている(下記2015年2月期練習曲No.4)。両年とも練習曲で予習をさせておいて、本番課題曲では説明なしで登場している可能性がある。

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弦楽器の音色について

GM音源の弦楽器音色は聴くに耐えないほど酷くチープで、特にバイオリンは本曲のような高い音程で鳴らすとまるでソプラノ・サックス(?)のようにも聞こえる。ややもすればコミカルな印象すら与えかねない。

模範演奏でも同様の音色を使っているため、これのせいで2級実技で減点されることはないだろうが、少なくとも1級実技では非常に印象が悪くなることが懸念される。

こだわって念を入れるのであれば、2級実技であっても本番課題曲で弦楽器が登場する場合、WAVファイル出力ではDominoによるGM音源再生ではなく Studio One を使った方がいいと思う。Presence XT の弦楽器音源は数段音質が良いからである。

*1:ベンドレンジはデフォルトの2半音であり、なおかつB4にはフラットの臨時記号が付くため、Bb4からC5までちょうど2半音を上げるという具合になる。

*2:調性はAmでそもそもFに調号は付かない上にGはスケール構成音だからそのままGと書いてもよさそうなものだが。