DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

イベントリスト問題の解説 (4)

MIDI検定2級1次試験のイベントリスト問題を考察するシリーズ最終回。今回は旧制度問題のまとめと総評解説など。これで現状利用可能なイベントリスト問題はすべて攻略済みとなり、残すは知識問題のみであるが、夏以降に着手しても本番には十分間に合う。

旧制度問題の特徴など

第8回以降第13回まで6回分を解いてみての感想などを述べる。第5回以前は解答が公表されていない上にあまりにも古い形式なので無視してよい。なお、第6回は出題形式が現状の正誤問題と異なるため、また第7回は譜面が不鮮明なため割愛した。

出題形式は新制度とほぼ変わらないが、旧制度問題は新制度に比べると問題数が多い分各問の難易度は総じて低い。ひねりのない易しい問題を繰り返してもあまり力がつかないので、原則として旧制度問題までわざわざやる必要はない、というのが率直な結論である*1。その分の時間を2次試験の実技演習に回した方が断然効果的であろう。

興味深い点としては、旧制度ではドラム譜も出題されていたことである。しかし、ゲートタイムが問われないので出題妙味に欠けるという理由かどうかはわからないが、ドラム譜問題は新制度では一切出題されなくなった(今までのところ)。これが今後復活するか否かは若干気にはなる。

注目すべき引っ掛け問題

上述の通り、旧制度問題はドラム譜を除いて特筆すべき点はほとんどないため、解説(1)〜(3)でやったような各問個別の解説の繰り返しは控える。

ただし、以下の2問だけは新制度問題に見られないような引っ掛けがあったので、注意喚起の意味で例外的に取り上げておきたい。奇しくも両問ともに第8回のイベントリスト問題である。

惑わせ気味なゲートタイム

ブラスの下図譜面で、和音を構成する丸で囲ったノートのゲートタイムが一方と揃っていないため、これが誤りかと思いきや、後ろに堂々たるピッチミス(下線部)が潜んでいるという罠。早とちりをすると後者のピッチミスに気づかない恐れがある。

和音構成音D4のゲートタイムは"00:216"となっており、上の音D5の"00:240"と揃っていないのは違和感あるが*2、しかしこれは完全に間違ってるとまでは言えない値である。一方、第7小節の2拍目240ティック先に入る和音にはナチュラルが付いており、F5/F4の組み合わせになるはずが、下の音はF#4なので紛うことなきピッチミスである。したがって、本問では後者のピッチミスを指摘する必要がある。

f:id:daw_jones:20170509121020p:plain

f:id:daw_jones:20170509121308p:plain

マニアックなドラム譜問題

結論から書くと、GMパーカッション・マップのノート番号を覚えていないと解けない問題である。

本問では、下図ドラム譜の #46 Open Hi-hat (=A#1) であるべきノートが別のG#1(=#44 Pedal Hi-hat)となっているミスを突くのだが、他のノートミスがないことを何度も確認してからでないと気づきにくい*3。その上、少なくとも、#42 Closed Hi-hat (=F#1) と #46 との相対位置は知らないと解けないと思われる*4

記憶力頼みの難問だが、幸い新制度ではドラム譜問題は出ないようなので、ここまでエグい出題は今のところは考えにくい。

f:id:daw_jones:20170509124404p:plain

f:id:daw_jones:20170509124421p:plain

*1:旧制度過去問は主催者協会サイトからもリンクは外されており、重要性や優先度が低いことは言うまでもない。

*2:これは誤植の可能性も高い。実はこの第8回以外にも誤植と思しきイベントリストの不整合は1、2件発見している。新制度の過去問では見たことはない。

*3:その気づきにしても、ある程度の実技経験を積んでドラム譜に慣れておかないとピンと来ないはずである。

*4:どちらかというと3級の学習成果を問われる。GMパーカッション・マップは3級である程度暗記させられるため。しかし実務上はノート番号の記憶などまったく不要である。