DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

MIDI検定1級演習 2011年課題曲 (4) ドラムのフィルインその他補足

以下記事の続き。今回はドラムのフィルイン対応と繰り返し記号の解釈について補足する。

daw-jones.hatenablog.com

フィルインとソロのアドリブ対応

フィルインとソロについては制作者(受験者)の裁量に任されており、どのようなパターンで埋めても構わないとされる。また当然ながら1次審査の評価対象外となっている。

自由裁量といえども曲の雰囲気にそぐわないデタラメなパターンを加えるわけにはいかないため、匙加減が難しいところであるが、ここでは2種類に分けて対応することを考える。

2種類のフィルイン

一つは、1小節分丸ごとのフィルインまたはソロ演奏で、曲調(リハーサルマーク)の変わり目導入部分を担うものである。このように重要度が高く、目立つところ限定でドラム音源のプリセット・パターンを援用し、本物っぽさを狙う。本曲では3箇所限定である。

もう一つは、上記以外で1小節未満の小さいオカズを指す。これらすべてを逐一プリセット・パターンから選び出すのはかえって非効率であろうから、ここは自分で考えて基底パターンに一捻り加える対応をする。この辺は自分のお気に入り曲を参考にしつつ、スネアとタムの適当な連打などで構わないと思う。

プリセット・パターンの援用例

ここでは私が幾度か使用経験のある MT Power Drum Kit 2 を例にとる。と言っても、説明を要しないほど簡単で、気に入ったパターンを選んでDAW(本例では Tracktion 6)の該当トラックにドラッグ&ドロップするだけでMIDIデータが書き出される(下図参照)。

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私が使用中の Studio One 3.5 Prime版(以下S3)ではプラグインをサポートしていない関係上、併用している Tracktion 6 で一旦書き出さざるを得ないが、特定のMIDIイベントだけをさらにSMFに出力し、S3に戻すことも可能である。

本ドラム音源の注意点として、基本的にはGM配列に準拠しているものの、タム類は制作規定書の仕様を満たさないため*1MIDIデータをS3に戻した際には必要に応じて修正を加えることである。

繰り返し記号とシーミレの相違

本曲のドラム譜では、繰り返しパターンの指図に関して2種類の記法が出現する。すなわち、ドットと斜線を組み合わせた厳密な繰り返し指図と、シーミレ(simile)による指図の2つである。これらの一般的な解釈法については下記記事を参考。

unisession.com

ここでやや曖昧で問題になるのが後者のシーミレで、ドラム・パーカッションの場合は、前小節パターン(2小節構成等を含む)を同様に繰り返すという指示であり、本来の解釈では厳密に同一性を保つ必要はないようである。本曲の場合、シーミレはボサノヴァ調部分の一箇所のみであることを考慮すると、元パターンをちょっと崩して多少変形しても音楽表現としては許容範囲だと思われる。

しかし、MIDI検定1級1次審査におけるMIDIデータのチェックでどのような評価を受けるか明記されていないため、1次審査用SMFでは厳密な繰り返し記号と同じ解釈をした方が無難だろう。

なお、S3で編集する際の繰り返しコピーは単純な複写ではなく、複製共有(Shift+Dキー押下)の方がよい。同一パターンの複数小節に渡る打ち込みミスの修正を一回で対処できるからである(以下の過去記事参照)。

daw-jones.hatenablog.com

 

*1:制作規定書ではノートナンバー47、45、43および41を使うことになっている。一方 MT Power Drum Kit 2 では、50/48がハイタム、47/45がロータム、43/41がフロアタムに割り当てられている。したがって、規定書のノートナンバー指定ではハイタムをカバーできないことになる。