DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

MIDI検定1級演習 2011年課題曲 (9) ギターとストラミング

以下のギター音色関連記事の続きで、スチール・ギターのストラム奏法(和製英語ではストローク)について掘り下げる。MIDIでギター演奏をシミュレートする際、最大の課題の一つと言える。

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スコア上の記譜例

明らかにストラムすべきと見当がつく箇所は以下のような譜例である。

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多くの場合、4和音まではコードを押さえた通常の奏法となるが、5和音以上はストラムと考えるのが常識的な解釈だろうと思う。

実はスコアには明確にストラムの指定があるわけではない。しかし制作規定書のメモにストラムに関する指示が記載されていることからも類推が働く。

ストラムのMIDI表現

ストラムに対するMIDI表現の一般的な方法論に関しては、すでに以下の過去記事にてまとめてある。今回も基本的にはこのテクニックを踏襲する。

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各ノートの頭(ノートオンのタイミング)は上記記事の通りに、ダウンあるいはアップ・ストロークのパターンに応じて徐々にズラしていけばよいが、お尻(ノートオフのタイミング)は適当に揃えてしまっても聴いた感じでは特に違和感はない(下図参照)。本曲のストラム箇所はBPM=152と結構速いという事情に加え、アコギの音色は元来リリース・タイムが短いのでゲートタイムを微調整してもほとんど差異が感じられないからである。

また、ダウンとアップの混ぜ方はお好みでよいと思う。ギター演奏の経験がなくて迷う場合は、ダウンとアップを交互に適用しておけばまず間違いないのではないか。

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MIDI検定におけるSMF制作上の特異な注意点

制作規定書によれば、ストローク箇所についても1次審査用はクオンタイズされたデータで入力せよとの指示がある。したがって、上記手法を使ったMIDIデータの編集はあくまで2次審査用ということで、1次審査用には通常の和音として制作しなければならない。結局のところ、MIDIデータを2種類用意する必要に迫られる。

これ以外にも、トラックの統合やオクターブ調整の目的で1次審査用に特別なMIDIデータを用意する羽目になるが、これらの効率的な対処法については稿を改めてまとめようと思う。

実際に聴いてみての印象

正直言って音源音色次第ではあるものの、MIDIデータの編集効果は期待していた以上に割とリアルである。完成された楽曲中でのストラムのシミュレートに関しては私は今回が初体験だが、ちょっとした工夫で効果抜群なMIDIの表現力に驚く。

ギターの打ち込みシミュレートは非常に難度が高く、1級課題曲の作曲者である外山和彦先生も実際の制作現場では生演奏で対応することがほとんどである、というような裏話をされていたぐらいだが、高品質な音源と組み合わせれば上記のシンプルなストラム編集技法も案外使えそうである。

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