掲題の件、昨日DTM界隈で大きな話題になっていたので一応備忘録として書き留めておく。
私の世代だとCakewalkと言えば否が応でもRolandを想起する。確か大昔の90年代後期にミュージ郎パックを買った際、Cakewalk Express (?) と Singer Song Writer (以下SSW) 簡易版がおまけでバンドルされていたように思う(この辺の記憶は曖昧)。なぜ2種類の似たようなソフトが入っているのか、当時はまったく理解も区別もできずに戸惑ってしまい、案の定まったく使いこなせず埃を被ったままお陀仏となった苦い記憶が蘇る。
その後、Cakewalkをメインに据えたRolandから切り捨てられた格好のSSWがABILITYに姿を変えて今日まで生き残った現状は皮肉と言えば皮肉である。親元だったRolandが経営難で元気がない状態を思えばなおさらのことだ。
上述のミュージ郎効果もあってか、SONARはとりわけ日本人ユーザが多いと聞く。MIDI検定の公式ガイドブックにおいても、MIDIデータの扱いに関してSONARに一節割かれているほどである(p.218)。もっとも、旧レコンポーザー張りの打ち込み文化を継承したABILITYの方がMIDI検定との親和性が高い。
SONARの製品生命終了とともに同ユーザによる他DAWへの移行が取り沙汰されるが(他メーカにとっては絶好の草刈場だろう)、軽快で使い勝手が良く、プロ版でも価格が割と手頃な Studio One に乗り換え人気が集中するかもしれない。現在国内ではCubaseユーザが最大多数と推測されるが*1、栄枯盛衰の激しい業界ゆえ、将来的には Studio One がシェア逆転する可能性すらあるのではないか。
追記 (2018-04-07)
その後、シンガポールのBandLab社に買収されてまさかの復活となった模様である。Studio One や Tracktion/Waveform 同様に、無償版で間口を広げておいて後から有償プロ版へ誘導するというビジネスモデルのようである。Windowsユーザは Studio One Prime版と並ぶ選択肢ができて朗報ではなかろうか。
*1:「DTMステーション」のネットアンケート調査による(厳密な市場調査ではないのであくまで参考値)。ちなみにSONARユーザ数も上位にあることが窺える。