以下記事の続き。今回は練習曲No.3を取り上げる。
練習曲No.3
本曲はやや音数多めのように見えるが、No.1同様に割と標準的なレベルの練習曲だと思う。バッキングのピアノの和音で臨時記号が多く入っている点以外は、他パートでノート入力のミスを誘発する箇所は少ないはずである。
蛇足ながら、本曲は Madonna の90年ヒット曲である "Vogue" を彷彿とさせる印象を受ける。ジャンル的な定型スタイルがあるだろうからパクリとまでは言わぬが。
以下、他の練習曲にはない特徴的なところに絞って指摘しておく。
スタッカート
スタッカートは他の練習曲でも必出だが、本曲ではドラムを除く全パートで頻繁にスタッカートが打たれているため、ゲートタイムの編集*1で見落とさないよう、より一層注意を払う必要がある。嫌らしいことに、見た目が非常に紛らわしい付点音符もそこかしこに散在している。
省略記号
これは初出ではなく、また譜面慣れしている人には常識であろうが、一応念のために再確認する。 下例ではスラッシュ2本なので直前の2小節を繰り返すことになる。詳細は下記サイトなどを参照。
臨時記号の応用
ピアノ・パートの臨時記号で一点だけ紛らわしいのが9小節目後半のコードに入っているE#3である。調性が Bb maj で本来E3の音はフラットになるが、ここは素直にE3に対してシャープとなり、Eb3に対するシャープという解釈ではない。結局 E#3 = F3 というノートになる。ただし、耳には非常に違和感の残るテンション・ノートではある。
ついでに愚痴ると、本曲のピアノのコードは不協和音が激しいので、一聴しただけではピッチが合っているのかどうか不安になるところが大いにあって受験者泣かせの曲と言えなくもない。ちなみにこのピアノのバッキングも上述の "Vogue" にクリソツである。
ドラムに32分音符
2級練習曲で32分音符は滅多にお目にかからないが、本曲では2小節だけ出現する。ここでは特に装飾音符の扱いではないためテクニカルにはなんら難しくない。強いて言えば16分音符との見落とし間違いに注意といったところか。なお、下例含めてスネアは16分音符で裏拍に入っているところが散見されるのでタイミング間違いに留意。
コントロール・チェンジ
コントロール・チェンジは CC#1 Modulation と CC#74 Brightness が出てくる。このうち後者のCC#74は新顔であるが、これの入力方法は定番の CC#11 Expression とほぼ同じである(最後は"0"ではなく"127"に戻す)。おそらく本番課題曲でも出題される可能性が高い。
なお、Studio One などにおけるCC#74の対処方法については別途稿を改めて書き記すことにしたい。
ドラムの音色
ドラムの音色に関しては、どの練習曲もほぼ例外なくプログラム・チェンジ(PC)で音色 "1" (Standard) が指定されるが、本曲は珍しくも別音色である "26" (Analog) が指定されている。このようなドラム音色の変更はGM2対応音源に限って有効である。ちなみにDominoでも再生対応は可能である。
本曲の指定音色はずばりTR-808(またはTR-909)そのものであり、Studio One 付属音源の Presence XT では "Gritty 909" を選択すればほぼ問題ないと思う。ただし、この音色ではノート#57 "Crash Cymbal 2" の音量が極端に小さくて聞こえない不具合があるため、ノート#57のみ類似音色の "Construction" で別トラックにて重ねて再生させるなどする*2。