DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてDTMを楽しむ記録。MIDI検定試験にもチャレンジするなり。

2018年MIDI検定1級試験を振り返る (2) - MIDIデータ

以下記事の続きで、先日終了した本年度MIDI検定1級試験を振り返る。今回は、同検定の本丸とも言える譜面解釈やMIDIデータの打ち込みに焦点を絞る。

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前回指摘した通り、本年度課題曲は比較的音数が少なかったのと、それに加えて9割方レガートの音運びであるせいで、ほとんどのノートを音価100%のままゲートタイム無修正で済ませたという事情も手伝い、打ち込み作業自体は非常に楽であった。

譜面解釈の要注意箇所

今回の楽曲で譜面解釈の観点から肝になると思われた表現は、以下の2点に絞られると思う。

ハープのアルペジオ

アルペジオについては以前に下記記事で書いた通りである。なお、ギターの例ではあるが、公式ガイドブックのp.228にも同様の概説が掲載されている。

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1次審査上は、発音タイミングについては出だし最初の音のみ、ピッチについては全構成音でチェックされると思われる。ここは上例の通りに各構成音の下から(ルートに近い方から)発音タイミングを徐々にずらしていかないとアルペジオにならないので、横着して和音で入れるなどするとレギュレーション違反に引っかかるはずである。

トレモロ

トレモロは、単音のトレモロと2音間トレモロの2種類が出現する。単音トレモロは過年度課題曲演習で何度か取り上げた通りで、今回特筆すべき点はない。

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その一方で、2音間トレモロは(確証はないが)おそらく今回初登場ではないだろうか。解釈・展開方法については、以下の楽典.comの解説を参考にした。例えるならば、結果としてトリルに似た表現となる。

楽典:略記法

移調楽器

今回楽曲ではクラリネット(Bb)が移調楽器に該当する。実音であるMIDIノートは記譜より2半音下げて入れることになる。私は過年度課題曲演習で体験済みだったので今回慌てずに対応することができた*1。上述のアルペジオトレモロもそうだが、やはり過去作品で何度か演習しておけば本番で焦らずに済む。

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その他にはオクターブ調整が必要な楽器が2種類あった。すなわち、龍笛は1オクターブ上げて、コントラバスは1オクターブ下げて入力する。

コンティニュアス・データについて

本年度は抑揚表現が非常に大事な楽曲であったため、音量の変化をどう実現するかが一つの課題となる。いくつか方法はあるのだが、今回私は CC#11 Expression は使わずに Presence XT のパラメータである Gain のオートメーションと、トラック・ボリュームのオートメーションを組み合わせて編集してみた。

ここで Gain オートメーションを使う利点は以下の3点である:

  • CC#11と異なり、いちいちモジュレーション・マトリックスを定義する必要がない。
  • デフォルト値が真ん中の64になっており、音量上げ下げの相対位置を把握しやすい。CC#11だとデフォルトがゼロ値なので*2その辺の尺度解釈が難解になり、フェーダーの音圧レベルとの関係もわかりにくい。
  • カーブ・データは各MIDIイベントに紐付いたCC#7のデータとなるので*3、編集画面上でMIDIイベントごとコピペしやすい。すなわち、類似箇所に対して抑揚表現一体でイベントをコピーできる。これはCC#11と同じ。

ただし、1次審査用のSMFでは不要となるため*4、後で Domino などを使って手動削除する必要があった(その方が無難)。

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ピッチベンド

ピッチベンド・チェンジについては、私は今回はまったく不使用であった。譜面上にスクープなどの指示が一切なかったので、少なくとも1次審査上は不要であると判断した。逆に下手に入れると思わぬ減点を食らう懸念がある*5

2次審査対策としては、強いて言うなら龍笛(およびその他の管楽器)はピッチベンドで音程変化させるとよりリアルな感じになりそうなところもあるにはあったのだが、聴感上ほとんど区別がつかない可能性もあり、結局譜面通りに音符ノートで入れた。ここは時間的な制約も考慮して判断を下す。

セットアップ・データ

各トラックのボリュームとパンは制作レポートの参考例通りに入れた。どうせ審査には関係ないので考えるだけ時間の無駄だという判断である。

また2級実技では定義されるリバーブとコーラスについては特に要請がないため、私は一切指定なしでデフォルトに委ねた。これらをセットアップで入力した場合、制作レポートにいちいち定義値を記入する必要があるかもしれず、かえって面倒臭いことになる。

なお、今回は珍しくも特定トラック(Jingle Bell)のみセットアップ・データなしの指示があった。これは Drums と共にチャネル10の指定になっており、Drumsの方で両者共通のセットアップ・データを送信するからである。

ノート・データの見直し方法

全ノートの正誤チェックに関しては、私は GarageBand のスコア機能を援用した。これについては下記記事でも書いたことがある。

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この記事でも書いたように、ピアノロール上でのチェックはとても視認性が悪いので、作業非効率に加えて肝心なミスそれ自体の見落としリスクが高い。一方でスコア化した場合、単に見比べるだけで譜面との一致・不一致が一目瞭然となり、あっという間に検証できた。

*1:クラリネット(Bb)の移調は2016年課題曲でも出現した。

*2:Studio One ではそうなっているようである。他の音源やDAWだと異なる可能性がある。

*3:したがって、Studio One から GarageBand 等他のDAWにインポートしても捨てられずに残り、きちんと再生される。

*4:MIDI標準の流儀として、楽曲途中の抑揚表現はCC#7ではなくCC#11を使うことが通例となっているため。1次審査ではコントロール・チェンジは評価対象外だから放置しても問題はないが、一応念のために削除した。

*5:一般規定として、譜面指示があるところ以外はピッチベンドを使用してはならないというルールになっている。