DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

w-inds.が投げかけるJ-POPガラパゴス化への疑問

1ヶ月ほど前Yahoo!に掲載された音楽ユニットw-inds.のインタビュー記事が個人的に結構刺さったので備忘録がてら紹介しておきたい。

news.yahoo.co.jp

特に最後の方の以下の一節は、プロアマ問わず一応は念頭に置いておいた方がよいであろう情勢認識だと思う:

アジア、世界を見据えるw-inds.だからこそ、一歩引いた目線でJ-POPが見える。「J-POPの枠」とは、具体的にはどんなものだろうか。橘はこう解説する。

サウンド・メイキングですね。J-POPと海外の音楽では作り方が全く違うんです。海外では音数の少ない音楽が多い。J-POPは音数もコード進行も多すぎるんです。詰め込みすぎて、情報が多すぎるんです」。

アメリカを中心として、海外では楽曲の伴奏の音数も、使われるコードも減ってきている。どんどんシンプルになってきているという。それに対して、J-POPでは情報量が多い状態のまま。

「J-POPは何がメインディッシュかというと、基本的には歌詞だけなんですよね。でも、海外の楽曲を幅広く聴いていると、歌詞の場合もあれば、ヴォーカルの場合もあるし、ドラムのキックの場合もある。いろんなパターンがあるけれど、やっぱり音数は少なくて、アーティストとメインディッシュが目立つ作り方になっているんです」

J-POPの特異性というか異形性みたいな批評は以前から割とよく目にする指摘ではあり、複雑すぎるコード進行という観点では当ブログでも一度取り上げたことがある。

daw-jones.hatenablog.com

しかし結局のところコード進行に限らず、「(詰め込みすぎて)J-POPでは情報量が多い」という一言に集約されている感は大いにあり、非常に的確な指摘だと思う。これに対して海外楽曲ではアレンジ面でもトラックや音数はかなり少なめというのは私も常日頃感じていた傾向ではある*1

この辺りは良し悪しというよりも有り体に言えばカルチャー・ギャップなんだろうが、w-inds.の危機感によればその乖離は収束するどころかますます大きくなっている恐れがある。日本語の壁もあるような気がしないでもない。アニソンやアイドル・ブームの功罪。その底流にはカラオケ文化。考えれば色々と根深い。

因みにw-inds.TBSラジオの人気番組「アフター6ジャンクション」本年6月12日放送回にゲスト出演しており、宇多丸師匠が一押ししていた。不勉強ながらその時まで私は彼らの存在をまったく知らなかった。

www.tbsradio.jp

彼らは実は昨年に、日本の音楽家としては珍しくもステム・ファイル提供の上でかなり思い切ったリミックス・コンテストをやっていたのだが、無知な私は「これ誰?」的な愚痴でひとしきり腐していた。むろん今は反省している

www.w-inds.tv

daw-jones.hatenablog.com

*1:たとえば、Metapopでリミックス題材として上がってくる楽曲を聴いていてもミニマルなアレンジや展開を頻繁に感じる。