師走のバタバタで書きそびれてしまい、もう早くも1ヶ月前の出来事となったのでいささか旧聞に属する話題ではあるが、AWSが機械学習援用の自動編曲サービス分野に進出するという興味深い動きがあった。昨年12月にラスベガスで開催された2019年度 AWS re:Invent 恒例イベントでお披露目された DeepComposer がそれである。
まだ招待制previewバージョンの段階で完全には一般公開していないらしく、今すぐ誰でもお試ししてみるということができない状況だが、サービス概要は上記お披露目デモもしくは下記記事などで把握できる。
要するに、
- ユーザが適当な演奏データを AWS DeepComposer に食わせると、ジャンルごとに予め訓練されたモデルがAWSのクラウド上で計算処理して伴奏(ドラムやシンセなどのパート別伴奏)を付けてくれる。
- モデルは、ユーザ固有のモデルを走らせることもできる。AWS SageMaker で調教する仕組みのようだが詳細は不明。
- DeepComposer おあつらえのMIDIキーボード($99別売り予定)を使うことができる。
残念なことに、正直あっと驚くような仕掛けや新規性があるとも思えなかった。少なくともこの種の自動作曲をある程度リサーチしてきた人や中上級DAWユーザにとっては子供騙しのように映るかもしれない。自動作曲・編曲に関しては、やはり Google 発の Magenta プロジェクトに一日の長があると言わざるを得ないだろう。本ブログでもすでに何度か取り上げたり試したりしている。
謎なのはAWS謹製 DeepComposer 用MIDIキーボードの発売(予定)なのだが、キーボード本体にAI機能が搭載されているのであればともかくも、そうでなければ別に専用のMIDIキーボードを使わずともインプット用の優れて安価なMIDIキーボードはいくらでもある。繰り返すが、もし仮にわざわざAWSへ接続せずこのキーボード単体で(しかも$99で!!)自動作曲できるのであればスゴイとは思うけれど(実際はそうではないです)。
その辺のちょっと残念な気持ちは、下記の辛辣な批評記事で代弁されているので、英語が苦にならない人はご参考までに。