DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

CPU過負荷対策のためのレンダリング (Tracktion)

以前書いた記事のフリーズ処理に関して訂正と補足をしておきたい。

daw-jones.hatenablog.com

フリーズあるいは書き出しの必要性

リミックスの場合はオーディオ素材が中心を占めるので、再生時のCPU負荷がそれほど上がらずに済んでいたが、MIDI打ち込み楽曲だとWAV書き出し時であっても処理が追いつかず、どうしてもノイズ混入が避けられないことが時々ある*1

したがって、編集が確定したMIDIトラックから適当と思われる数だけ順次オーディオに変換し、処理負荷を下げる必要がある。こういう場合大抵のDAWでは、フリーズと呼ばれる処理と書き出し処理という2種類の方策があるが、レンダリングしてWAVに吐き出すという意味では両者に本質的な差異はない。フリーズの方は一時ファイルに書き出しており、手軽に元のMIDIトラックへ戻せるという利点がある。

処理負荷が高いと思しき要素 

私のMacと Tracktion 5 (T5) の環境では、少なくとも以下の2つは特にCPUの負担を増やす傾向があるように見受ける:

  • 音源レイヤーなどのラック・フィルター
  • Sample Tank 3 の音源

これらに加えて、エフェクターは基本的にT5内臓のもの以外は結構重いものが多い。なので、センド・リターンまたはバス・トラックにまとめて一括処理をしてもよさそうなところは、可能な限りそうすることによって挿入するエフェクターの数を減らす方がいいだろう。曲によってはなかなかそれも難しい場合はあるが。

フリーズ・ポイントの活用

T5ではフリーズするにあたり、トラック丸ごとだけではなく、フリーズの処理タイミングを細かく調整できる。いわゆるフリーズ・ポイントという内臓プラグインを挿入することで、各トラック毎にどこまでフリーズするかを決められる(下例参照)。

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したがって、フリーズしたトラックであっても、フリーズ・ポイントをフェーダーの前に挿入した場合は、たとえばソロ再生で音質の確認もできるし、もちろんミュートもできる。

フリーズの限界と注意点 (T5)

それでも私が試した限りでは、T5ではまだ以下のような限界がある*2:

  • バス・トラックを構成する個別のトラックはフリーズできない。この場合はバス・トラック自体に対してフリーズを適用する。
  • インストゥルメントのリリース・タイムが長い、もしくはディレイ等エフェクト処理により長い残響があるトラックにフリーズを適用すると、演奏が途絶えたタイミングでブツ切れになる*3

トラックまたはMIDIクリップのレンダリング

上記フリーズ処理の限界を回避するには、トラックまたはMIDIクリップごとにレンダリングで書き出してしまう方がいい。あとで再編集・修正の可能性を考えると、元のMIDIトラックを置き換えずに別トラックへと書き出し、再生時にソースのMIDIトラックはミュートするとよい(下のトラック・プロパティ例を参照)。

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*1:根本的にはPC/Macの性能を上げる必要があることは重々承知しているが。

*2:バージョン6以上では改良されている可能性がある。また他のDAWではどうかは知らない。

*3:バグ臭いのだが、どうもMIDIクリップ単位でオーディオが切られているように見受ける。