DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

Studio One 4.5 がアップグレード・リリース

つい先日の5月22日に、Studio One 4 が 4.5 へ無償アップグレードされた。バージョン4のメジャー・アップグレードからちょうど1年ぶりの中間アップデートとなり、いくつかの新機能についてはPrime版でも利用可能となっている。

70以上の新機能追加ということらしいので、とてもじゃないがすべてを追い切れないのだが、日本市場の代理店であるMI7の下記サイトに明快な解説動画付きで概要がまとめられているので、多くのユーザや愛好家はそちらを参照するだけで十分だろうと思う。

www.mi7.co.jp

今回は、トラックのグルーピング等 ProTools からの移行を意識した改善が多く見られるように感じる。MIDI関連ではクオンタイズの操作性やバリエーションが向上しているように見受けた。この辺の基本的なグルーピングやクオンタイズ機能改善はPrime版でも反映されている。 

なお、肝心のアップデート方法であるが、Studio One のアプリケーション内部からいつも通りにアップデート可能であるはずだが、どういうわけだかアップデーター上で "Download Failed!" のエラー・メッセージが表示されて先に進まない現象に遭遇するかもしれない(私もその一人であった)。

そのような場合は、My PreSonus のサイトにログインして "My プロダクト" のページに入り、対象製品より "Studio One Prime" を選択した上で、表示されているバージョンが4.5.0であることを確認後、v4.5.0 インストーラーのダウンロード・ボタンを押して、それを上書きインストールすればよい。

実用講座が充実しているUdemy

平成最後、と思ったら零時を過ぎてしまったので令和元年初日、の記事として新たなる学びの機会に着目し、久々にMOOC関連で一つ追記しておこうかと思う。

私自身は今まで Coursera と edX の2大MOOCをよく利用しており、興味を引く講座があればつまみ食い程度には今でも時折受講することがある。なお、有償の認定証 (certificate) に関しては個人的にその市場価値はまだまだ疑わしいと思っているので一度も購入した経験はないし、内外就職活動上大きくアピールする印象はないためあまりお勧めはしません。

daw-jones.hatenablog.com

この2者に加えて最近 Udemy を利用する機会があったのだが、これが期待していた以上に内容が充実していたので敢えてこの場でも推奨しておきたい。Coursera や edX はどちらかというとアカデミックなコースが中心で、ある程度のバックグラウンドがないと受講のハードルが高いものも多いのだが、有償サービスとはいえ Udemy は以下の点でオススメである:

  • IT関連を中心として日本人講師による日本語コースが充実している。これは Coursera や edX にはまったく見られない特徴である。英語が苦手な日本人ユーザにとっては願ってもない学習環境だと思う。
  • 受講価格がお手頃である。頻繁にセールと言う名のプロモーションを打っており、そのチャンスを利用すれば一講座2,000円未満で受講できる*1。分野によっては専門書買うより安い。
  • カルチャーセンター的な感じで実用・実践講座がかなり多い。バリエーションは edX 以上だと思う。IT系だとベンダー資格セミナー講座も数多く開講されている。
  • 音楽系のハウツー講座も豊富に用意されている(ただし残念ながら英語講座が中心)。DAWチュートリアル講座など何種類もあります。たとえば、Logic Pro X や Cubase のハウツー講座など。

www.udemy.com

実際のところ、実用ハウツーものはYouTubeに無料チュートリアルの類が山ほどアップされているので、まずはそこである程度渉猟してから、どうしても不足するようであれば Udemy にあたりをつける、というのが上手いアプローチの仕方かも知れない。

*1:アパレルで例えて言うならばGAPのセール価格みたいなもので、セール値引き後の価格がむしろ正価だと思っておいた方がよい。

MIDI検定2級の総評コメントでDomino使用上の注意喚起

もうかれこれ3週間ほど前に、平成最後となった本年2月期MIDI検定2級2次の試験結果がすでに公表されていたものの、当ブログで触れるタイミングがすっかり遅くなってしまった*1

実は試験実施時に書いた私の寸評記事でも引用させてもらったのだが、とある受験者のブログが今回試験の様子を結構赤裸々に伝えていてなかなか興味深かった。

daw-jones.hatenablog.com

それでこの方は結局無事合格を果たされ、その暁に受験体験レポートの体で書かれたいくつか記事がたまたま私の目に止まった。それがまたテクニカルに興味深い内容に触れていたので再びこの場で参照させていただくことにしたい。

the-art-of-rock-transcript.com

謎のテンポデータ混入

まず、この方の採点記録では原因不明の不要なテンポデータ混入でレギュレーション違反の減点があった旨を吐露されていたのだが、これは私が昨年1級受験時に食らった減点パターンとまったく同じである*2

しかし以前書いたように私の環境*3では指摘されたようなテンポデータはまったく確認できなかった。念のためにSMF自体をPythonのMIDOパッケージを使って直接覗き、メタデータを検証してみても全然確認できない、という不可思議というか納得行かない減点だったことは覚えている。

採点者が使用したCubaseのバグじゃないのかと訝しんだりもしたのだが、しかしこの受験者自身Cubaseを使用していたそうなので一層謎である。同様の謎めいた減点を食らう受験者が今後も後を絶たず、採点上問題になる可能性があるかもしれない。

daw-jones.hatenablog.com

Dominoとプログラム・チェンジ

この方は上記引用ブログで協会発表の全体講評をそのままアップされていたので拝見させてもらったが、特に私の目を引いたのはDominoの挙動に関する注意喚起コメントである。

要するに、Dominoでプログラム・チェンジを変更設定してその後にSMF書き出しをすると、Domino独自のCC#00 + CC#32設定値が追加挿入されてしまうという問題がある。試験の規定ではGM2音源使用を前提として、CC#00="121"(またはドラムチャネルの場合は"120")+ CC#32="0" にする必要があるが、Domino仕様のイベント値が追加で挿入されるところが問題視されている。

具体的には、協会提供のSMFテンプレをDominoに読み込んで以下のように音色変更したとする。

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それを再びSMFとして書き出すと、CC#00="0" + CC#32="4" という組み合わせで不要なイベント・データが書き足されてしまうのである。

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これに気づいてこれらを手動削除してしまえば特に問題はないのだが、忘れてそのまま放置するとレギュレーション違反で減点されることになろう。

紛らわしいことにDominoはSMFを直接編集しているわけではなく、一旦Domino独自のファイル・フォーマットで全データを格納して編集する。編集を終えたらそれを別途SMFとして書き出すわけだが、その書き出したSMF自体を再度Dominoに読み込んで不要データが入っていないかどうかを再確認する必要がある。ここはちょっとした盲点と言えば盲点である。

*1:私自身は昨年の受験で合格済みである。今はあくまでMIDI検定ウォッチャーとして時折興味本位で取り上げているに過ぎないのだが。

*2:結果的には昨年に一応1級合格まで到達はした。

*3:Studio One と Domino の組み合わせ。

iOS版シンセの Synth One はオススメ

昨日 Apple App Store の Today 紹介ページでフィーチャーされていたため、私を含めて初めて気づいた人も少なくなかったのではないかと想定されるが、オープンソースの無償iOS版シンセ Synth One *1がとても素晴らしく、思わず紹介したくなった次第である。

音楽を愛する人たちへ:App Store ストーリー

audiokitpro.com

基本的にはiPad用のアプリであるが、iPhoneに入れても一応問題なく動作はする。多彩な音色とエフェクト、アルペジエーター表現の豊富さにしばし圧倒されること請け合いである。中途半端な有償アプリはちょっと太刀打ちできないのではなかろうか。

これをMacやPC上のDAWと連携する場合は、DTM用のキーボードとオーディオ・インターフェースに繋いでオーディオ録音する方法が一番手っ取り早いであろうが、もしもiOS内で完結使用する場合は、いわゆる Inter-App Audio 接続で本 Synth One と iOS版のDAWアプリなどを連携させることになる。

www.dtmstation.com

代表的なところでは、iOSGarageBandで演奏録音する手がある。操作手順の詳細については下記チュートリアルなどを参考にされたい。

www.youtube.com

support.apple.com

なお、iPhone上の Synth One ではアプリ切り替え用のアイコンがどうも表示されないようなので、演奏録音後に GarageBand へ容易に戻る手立てがないところが難点である。

*1:名称が酷似するものの国産の無償プラグインシンセで名高い Synth1とは別物である。

Google Doodle で自動作曲

本日春分の日Google Doodle は、バッハ生誕334周年を記念した自動作曲ツールになっていて、機械学習を応用した作曲技法に関心がある私にはちょっとしたサプライズだった。

www.google.com

www.itmedia.co.jp

機械学習系の裏の仕組みは Magenta プロジェクトからの流用で、さらにその裏方はかの Tensorflow が担う構造になっている。が、難しいことは考えずにあれこれ試してみると面白い。しかし同時に、対位法をベースにしたコラールというジャンルである以上は、生成されたサンプルのどれを聴いてもほとんど同じでワンパターンにしか聴こえないな、という残念さもちょっぴり感じるところである。

magenta.tensorflow.org

気が利いていると思ったのは、生成サンプルをMIDIファイル (SMF) に落とせるところである。たまたま気に入ったフレーズが生成されたら、これをDAWに取り込んでアレンジしてみてもよいと思う。

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第20回MIDI検定2級2次試験(H30)が終了

2019年2月期のMIDI検定2級2次(実技)試験が先週末2月16日から18日にかけて実施され、予定通り終了した模様である。

本番では練習曲No.4に類似したテイストの和風な楽曲であったようで、もし他の練習曲に盛り込まれていた転調や変拍子が入っていなかったとすると結構易しかったのではなかろうか。

daw-jones.hatenablog.com

私はちょうど1年前の前回受験して合格した口だが、その時も一部練習曲にスィング調が初登場し、本番でも出題されるのではないかと身構えたものだが、結局出されなかった経緯を思い出す。練習曲で難しいテーマが取り上げられたとしても本番課題曲ではスルーされる可能性がままあるということである。昨年度受験の体験記は下記ブログ記事などを参考にしてもらえると幸いである。

daw-jones.hatenablog.com

今回の受験体験記については、他のブロガーが書かれた下記記事などが非常に興味深いところだが、コントロール・チェンジの入力に鉛筆描画ツールを用いれば簡単に済むものを課題提出後に気づいた、といったような初心者の悩みどころが赤裸々に綴られている。この辺はやはり過去の練習曲を可能な限り数多く実践演習しておかないと、制作方法にまつわる課題の洗い出しや最適アプローチの習得になかなか結びつかないのではないかと思う。

the-art-of-rock-transcript.com

なお、この方の場合、Finaleで譜面入力したものをCubaseに読み込み、さらに Logic Pro X でベロシティ等追記という一風変わった、なおかつお大尽な感じの複数ツールの組み合わせアプローチを採っているので個人的にはちょっと驚いた。もちろん、どういうアプローチを採ろうが各個人の自由だが、この場合 Logic Pro X は特に必要ない気がしないでもない。

また上記記事中で Expression (CC#11) を使ったデクレッションドおよびクレッシェンドのオン/オフ・タイミングに頭を悩まされている様子が描かれていて、読みながら私の昨年受験期の記憶が蘇ってきていたのだが、127に戻すオフのタイミングは少々早くても次の音符の発音タイミング前であれば全然問題ないはずで、たぶんこの方のデータ入力タイミングでは減点されないのではないかと思う。

 

アジカンも気づいた低域問題

私は特にアジカン (Asian Kung-fu Generation) のファンというわけではないけれど、1週間ほど前にバズっていた下記記事は今現在の足元の音楽シーンを如実に反映しているという意味では非常に興味深い、というかちょっと感慨深い印象すら抱かせた。

realsound.jp

J-POPは長らくガラパゴスなどと揶揄されて、ここ数年来特に海外動向に敏感なレコーディング・エンジニアやDJから低域処理の甘さを散々批判されていたように記憶するが、ようやくアジカンのようなメジャー級のミュージシャン自身がこれに気づき始めている状況はちょっと大げさかもしれないが隔世の感がなくもない。

daw-jones.hatenablog.com

上記のインタビュー記事では、そのような高域偏重が日本特有の制作環境に一部起因することや、ヒップホップ全盛時代にリスナー対応を迫られた結果としての低域重視とロック・ジャンル*1の音作りの変容、ストリーミング・サービス隆盛に伴うリスナーやジャンルのボーダーレス化、といった市場変化の背景等々が浮き彫りになっており、プロアマ問わずに音楽クリエーターの方々は必読であろうと思う。

このようなストリーミング消費の時代における、市場競争のボーダーレス化、フラット化に関しては、下記鼎談記事にも詳しい。

gendai.ismedia.jp

同記事中で、

特に今の10代とか20代のアーティストの話を聴いていると、音楽の聴き方が全然違う。J-POPもK-POPもグローバルなポップ・ミュージックも隔たりなくフラットに受容して育ってきている。

という指摘は旧来型J-POP関係者には結構耳が痛い話ではないかと思う。だが星野源などを筆頭に地殻変動が現れているところへ、どちらかと言えば古株の部類に入るアジカンまでもが巻き込まれている(?)状況というのは今の時代を現していてなかなか面白い、と同時にガチでボーダーレス競争に晒されるミュージシャンの世知辛さもちょっぴり感じる次第である。

*1:ヒップホップ全盛で海外ではこのジャンル自体が陳腐化している様相があるとも聞く。逆に日本で80年代に流行った山下達郎竹内まりや角松敏生といったいわゆるシティ・ポップ和製英語)がグローバルに再発見されているとかいう逆パターンもあったりで、こういう国境を超えたダイナミックな動きは一昔前まではまったく考えられなかったように思う。