Studio One と Tracktion の使い分けについて
前回記事の補足で、Studio One 3 Prime(以下S3)と Tracktion 5(以下T5)の使い分けについて再考する。実際のところ、S3の方をミックスダウン編集に使った方が効率的ではないか、という件について。
追記
再検証の結果、音質の問題は無視できないので、結局のところ最終工程でT5を使ってミックスダウンする、という作業手順に落ち着いた。下記記事参照。
ミキサー・コンソールがないのは辛い
S3と違ってT5はプラグインを自由に追加挿入できるのが最大の利点の一つだが、一方でミキサー・コンソール・ビューを備えていないため、率直に言ってミキシングとマスター編集の作業がとてもやり辛く効率が悪い*1。少なくとも作業効率という観点ではS3の方が一日の長があるように思うため、むしろS3をメインの編集統合用ツールとして使った方がいい、というのが試行錯誤の末の結論である。
Studio One (Prime) は素晴らしいが致命的な問題もある
S3の音質の良さは評判通りで、マスターに特別なエフェクトを咬まさないままであっても、WAVファイルにレンダリングした音質はほぼS3上で聴く状態を高いクオリティで保つ。また、書き出し時にクリップした際は警告を出してくれるため、T5のように手探りで何度も書き出し試聴チェックをしなくて済む*2。
これだけ書くと、それならS3のみを活用すれば十分ではないかと思えるが、プラグインを挿入できない制約上どうしても克服できない欠点として以下2点ある:
T5のトラック別レンダリング処理を積極活用
上記S3の欠点を補う方法は実は簡単で、別音色で発音させるかまたは追加のエフェクト処理が必要なトラックのみMIDIデータをT5にインポートし、WAVに書き出したファイルを再度S3にオーディオ素材として読み込んで(編集画面にドラッグして)ミックスすればよい。
T5でトラック別書き出しをする場合は、左下のメニューパネルから Export > Render to a file を選び、下図の通りにレンダリング用設定パネルにて、"Only Render Selected Tracks"(または無条件に全トラックを書き出す場合は"Render Each Track to a Separate File")にティックを入れて"Render"ボタン押下で実行する。
MIDI検定1級のワークフローとの関連
当初考えていたMIDI検定1級対策のワークフローでは、S3での編集結果を全トラックにつきステム出力し、T5でミックスダウンをやろうかと思っていたのだが、課題曲サンプル*4で試作実験などをやってみたところ、トラック数がそれなりに多いとT5での編集が非常にストレスフルで、想定以上に時間を費やしてしまう。
したがって上述の通り、S3で統合編集とミックスダウンをやることは大前提として、一部のトラックのみT5で追加のエフェクト処理を適用してS3に戻す、という役割分担が最善であるように思う。楽曲によっては、T5の追加処理が一切不要であるケースもありうるわけで、作業効率は大幅に改善する*5。
なお、MIDI検定1級の作業ワークフローについては、後日稿を改めてまとめたいと思う。