DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

MIDI検定1級課題曲セットの中身概観 (2)

前回の続き。今回は制作規定書のうち、提出物1(1次審査用MIDIデータ)に関する規定項目についてチェックする。

daw-jones.hatenablog.com

システム・セットアップデータについて

冒頭1小節目のセットアップ・データについては、いくつか細かい指示があるものの、ここは率直に言って2級2次試験用の協会提供テンプレを流用するのが一番簡単かつ確実であると思う。

2級と勝手が違う点は以下の通り:

  • 各パートの音色(プログラム・チェンジ)およびチャネルについては、作業レポート(次回概観予定)の「1次審査用MIDIデータの情報」欄に指定されている通りに設定する。
  • チャネルごとのボリューム(CC#7)およびパンポット(CC#10)は任意でよい(指定なし)。
  • 2級では必ず指定されているリバーブ(CC#91)とコーラス(CC#93)についての規定はない。よってこれらも任意でよいと解釈できる(設定なし・デフォルトでも問題ないはず)。
  • 逆に2級にはない特異な規定が1点あり、1小節目のセットアップ小節は BPM=120 に設定する必要がある*1。ということは、2小節目冒頭にテンポチェンジを挿入し、楽曲本来のテンポを再設定する必要がある(2016年課題曲の場合はBPM=76)。

採点対象について

MIDIデータの審査基準については、概ね以下の過去記事で考察した通りとなっている:

daw-jones.hatenablog.com

 

繰り返しになるが、1次審査ではあくまでノートのタイミングとピッチしか採点されない。したがって、ゲートタイムやベロシティ、コントロール・チェンジについては任意に調整できる。その際、ノート含めて同一データの重複は減点対象となるので要注意である。

ピッチベンド・チェンジ使用時は、ノートオンより1ティック以上前に入れ、ゼロ戻しはノートオフより1ティック以上後に入れる旨の注記があるが、これは2級実技経験者ならば常識の範囲であろう。

トレモロ等は記譜上のピッチと最初の発音タイミングのみが評価される。したがって、MIDIデータで表現するか、音源側で対応するかはある程度自由選択の余地があると思われる。

その他特殊な表現等に関して

その他、以下3点につき注記あり。

装飾音符

主音より前のタイミングで何らかのノートが入っていればそれでOKということのようで、基本は採点対象外。逆に言うと、装飾音符に相当するノートが欠落していると減点される。

常識的には、主音の直前に32分音符等ごく短いノートを入れておけば間違いないとは思う。音符の長さは実際に耳で聴いて調整するべきであろう。

移調楽器

2016年課題曲はクラシック調の楽曲であるため、クラリネットやホルン、ピッコロ、グロッケンといった移調楽器の譜面解釈法(記譜上の音程と実際に発音する音程との関係)について一応丁寧に解説されている。

ここはクラシック畑の人かブラスバンド経験者でないとなかなか難しい領域だが、わからない場合はネットで検索すれば大抵なんらかの基礎知識は確認できる。

リタルダンド

テンポチェンジについては任意で調整可能。ただし、テンポチェンジがまったく入っていないと減点されるとのこと。これは上記装飾音符と同様の扱いとなる。

換言すると、テンポチェンジのデータがMIDIデータとして書き出されていない場合は減点するということなので、DAWで設定したテンポチェンジがMIDIデータに反映されるかどうか念のために確認しておく必要がある。

私の場合、Studio One で設定したテンポチェンジのデータがMIDIデータとして吐き出されるかどうか、やや懸念される。最悪は Domino 側で調整・設定すればよいが、これは後日検証しておきたい。

*1:おそらく冒頭無音部分の長さ調整目的か。