TidalCycles入門 (1): 基本チュートリアル資料など
ちょうど2ヶ月前の夏季休暇時にお試し導入したTidalCyclesであるが、最近になってようやく実習を始めてみた中で有益と感じた入門用の資料などを共有しようと思う。
トラブル・シューティングについて
TidalCylclesのインストール時あるいはインストール後のトラブルについては、以下の公式ページを参照するとよい:
Troubleshooting a Tidal install - TidalCycles userbase
ほとんどのケースはこれを参照すれば一発で解決するかと思う。躓くとすれば、おそらく十中八九Haskell関連であろうと推測される。
私の場合はこうである。TidalCyclesのインストールや環境設定はややこしいとの悪評がつきまとっていたものの、私は案外すんなりと初回のインストールと発音まで到達できた。しかし、それ以来時間が経過してから再度立ち上げてみると、AtomエディターのTidalCycles拡張機能をブートしたタイミングで "Could not find module ‘Sound.Tidal.Context’" なるエラー・メッセージが出てしまい、一切音が鳴らなくなっていた。
なぜ初回インストール時には問題がなく、時間経過後の今回になって発覚したのかは不明のままであるが、要するにTidalCylcles用のHaskellライブラリが入っていなかったことは明白なので、上記ページの "Tidal library" のセクション指摘の通りにもう一度入れ直すことで晴れて解決した次第である。
補記
Haskellのパッケージ導入管理ツールとして、cabalとstackの2種類があることも混乱の一因かと思われる。現在では後者のstackを使う方法がモダンなやり方らしいが、TidalCyclesの起動方法などが標準と異なる(上記userbaseの公式資料にも記載がある)。
基本中の基本の入門資料
よく使われる基本機能を一通り体得する段階で通読しておくべき資料は、以下の1点で十分と思う(PDFのスライド資料):
日本国内ではTidalCyclesの第一人者であると言ってもよい田所淳氏の貴重なチュートリアル資料である。断片的なブログ記事はネット上で割と多く見かけるのだが、ある程度まとまった日本語資料としてはたぶん唯一無二であろう。氏の下記著作も合わせて読むと入門者としては万全かもしれない(お高いので私はまだ購入していませんが)。
演奏するプログラミング、ライブコーディングの思想と実践 ―Show Us Your Screens
- 作者: 田所淳
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- 発売日: 2018/12/21
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その他の入門資料
英語が苦にならないユーザは、とりあえず以下の公式チュートリアルに目を通すとよいだろう:
Tutorial - TidalCycles userbase
ただし、結構ボリュームがあるので、最初からがっつりこれに取り組もうとすると挫折してしまうリスクもあると思う。ある程度以上のレベルの創作を志す上で必読であることには変わりはないが、やはり一番最初の取っ掛かりは上記の田所氏資料を参照することを推奨したい。
また、中級以上のチュートリアルとしては、以下のYouTube講座が比較的有益かと思う(ホストは live coding 界隈では有名な演者だそう)。ただし、TidalCyclesのアップグレードに伴って一部のコード・シンタックスは現バージョンでは機能しないように見受けるので、その辺は適当に端折るとよい。
補記
TidalCyclesはバージョン1.0を機に大きなアップグレード改修が入っているようなので、概ね2018年以前のブログ等入門記事に掲載されているコードはそのままでは機能しないところも多々ある。