DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

2015年2月期練習曲No.4の演習

MIDI検定2級2次試験演習の続き。今日は、2015年2月期練習曲セットから、最後の練習曲No.4を取り上げて分析し、要点を整理する。

私が調べた限り、利用可能な過年度練習曲セットは2014年2月期以降の4年分なので、現時点でちょうど半分消化完了となり、残りは2016年と2017年の2セット計8曲である*1。少々飽きてきた頃でもあるので、GWあたりまで向こう1ヶ月は本演習を一旦休止し、DAW (Tracktion) による制作実習その他に集中したいと思う。

音部記号

ヴィオラパート譜は、ハ音記号(Cクレフ)ではなくト音記号(Gクレフ)である。したがって、他パート同様の対応でよい。今後は1級課題曲同様に、ひょっとしたらハ音記号による出題もあるかもしれないが*2

チェロについては、5小節目でヘ音記号(Fクレフ)からト音記号に変わっているのでここは若干要注意である。4小節目の末尾にもト音記号を追記して注意を促しているため、うっかり見逃す可能性は低いとは思う。

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ダブルシャープ(重嬰記号)

シンセパッドのパート譜に一箇所だけダブルシャープの臨時記号が付いている(下図参照)。本例の場合、C4がダブルシャープしてD4に、D4がシャープしてD#4になる。これは和音記譜上の都合であろう(D4の二重記載を避ける)。こういう使い方は初めてだったので一瞬戸惑う。

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なお、ダブルシャープの一般的な解釈と考え方については、たとえば下記記事を参考。

guitarex.web.fc2.com

ベロシティ

本曲もベロシティを徐々に変化させるところが方々にある。すなわち、ヴィオラ、チェロおよびストリングズの3パートである。加えて前2者にはレガートが多用されているので、ゲートタイムの入力も要注意となる。

なお、GM音源による実際の演奏を聴いても、それほどはっきりとしたベロシティのニュアンス相違は聴き取れなかった。正直言って、GM音源の弦楽器系の音色が酷いせいもあるだろう。

リズム・パートの複数チャネル設定

本曲では、パーカッションとドラムをそれぞれ10と11の別個のMIDIチャネルに割り振るよう指定されている。私にとってこのパターンは今回がお初である。要は、新たに11チャネルをリズム用のチャネルとして追加定義しなければならない。

トラック(チャネル)のプロパティ

Dominoでチャネルを追加した際、そのチャネルのプロパティ設定にてチャネル番号を11に指定し、かつチャネルの種類を「リズム」とする(下図参照)。

システム・セットアップ用のイベント・データについては、チャネル10よりコピーして編集すればよい*3

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プログラム・チェンジのプロパティ

音色の設定に関して、本チャネル11のプログラム・チェンジの音色マップは"55Map"を選択する必要がある(下図参照)。それ以外を指定した場合、ピアノロール上はGMパーカッション・マップに変わるが、音色はなぜかピアノ等の音しか出ない状態になるので注意する(Dominoのバグ?)。因みに、隣のチャネル10(MIDI本来のリズム系チャネル)は他の音色マップを選んでも特に支障はない。

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*1:私が受験予定である来年の2018年2月期2次試験用の練習曲セットは、本年12月末頃に公表されるはず。

*2:2014年以降今年度までの2級練習曲でハ音記号を目にしたことはない。

*3:チャネル1の1拍目で送信するSysExデータと競合しないよう、他チャネル同様に2拍目から送信開始するよう設定する。

コード進行ツールを作曲支援に使う

1週間ほど前にチャレンジしてみたリミックスの演習は、音響素材編集や楽曲アレンジ、ミックスダウンとマスタリングの面で相当勉強になり、DAWユーザとして一挙に経験値が上がった感触がある。もちろん、楽しいことこの上ないので、私のような初心者はMIDI打ち込みのみならず、早い段階で一度はリミックスもやってみることをお勧めしたい。

daw-jones.hatenablog.com

リミックスの限界 

欲を言えば、このままもう少しリミックスの演習・習作を続けたい気もあるのだが、実は大きな問題が2つある:

  • ステム素材が利用可能でない場合は、楽曲によっては編集が結構難しい*1
  • 当然著作権に抵触するため、習作をSoundCloud等へ気軽にアップ公開することがままならない。

こうした意外なハードルの高さゆえにモチベーションが下がる。ということは、王道の(?)自作曲制作に突き進むしかあるまい*2

補助輪としてのコード進行

一口に作曲と言ってもやり方は様々であるが、天才もしくは音楽の専門トレーニングを受けた人でもない限り、何もない白紙の状態から構築するのは不可能に近い。結局、いつも似たようなフレーズしか思い浮かばなくて、自分で自分に辟易するのがオチである。

そこで、一つの足掛かりとしてコード進行を利用するアプローチはかなり有効であろうと思う。コード進行だけでどんどんDAW上に構成要素を載せていくことで楽曲の骨格を組み上げてしまおう、という目論見である。そこからメロディを想像・創造することは、無から有を産むよりは随分と楽であろう*3

コード進行ヘルパー的なアプリやウェブサービスは世に溢れている中、私が試用してみて気に入ったのは Genkhord である。これはWindowsアプリであるが、Domino同様にWineを介してMac上でも実行可能である(検証済み)。4和音対応で、Mac内臓のGM音源の音色を自由に選んで響きを確認することもできる。(矛盾するようだが)コード進行のお仕着せがましさがあまりなく、いろいろ試行錯誤を自由にできる点がよいと思う。

forest.watch.impress.co.jp

 

これとは逆に、試行錯誤は面倒臭いのでプロ作品のコード進行をまんまパクってしまうか参考にするならば*4、以下のウェブサービスがベストな感じである。これをお題にして曲を作っていくのも一法かもしれない。

chords-map.net

*1:イコライザーやフィルターで処理して無理やり分離することもある程度は可能だろうが、なかなか綺麗にはパート分解できない。Daft Punk じゃないが、サンプリングが関の山か。

*2:お気に入り曲の耳コピという演習・道楽もある。ただし、YouTubeにあれだけコピー演奏作品が堆積している様を見てしまうと、もう何を今さら、という満腹感一杯で、コピー習作は時間の無駄としか思えなくなった。

*3:リミックスをやってみて発見したことの一つは、何かしら下地があれば、自分でも意外なほどアイデアが次々と誘発されうる、ということである。これは詞でも何でもよくて、要はある種の制約条件が課せられれば、かえって創造力に火が点くということだろう。逆に真っ白な状態からそれなりのメロディなどを思いつくのは、少なくとも初心者には至難の技である。

*4:コード進行それ自体に著作権はない。

2015年2月期練習曲No.3の演習

MIDI検定2級2次試験演習の続き。今日は、2015年2月期練習曲セットから練習曲No.3を取り上げて分析し、要点を整理する。

この曲は、すでに手掛けた練習曲No.1やNo.2に比べれば易しいと感じられる。8ビートのロック調でリズムはどちらかといえば単調だし、調性もEマイナーで全然複雑ではないから、技量のあるユーザであればキーボード手弾きによるリアルタイム入力も簡単だろうと思う。

シンセ・リードとピッチベンド・コントロール

本パート最大の要所は、ギターのチョーキング(ベンディング)とハンマリング同様の奏法が方々に散らばっている点である。

下図は、ハンマリング表現を応用すべき例(2半音ピッチ上げ)の一つである。ハンマリングはすでにベース奏法として習得済みなので、この種の譜面を見ればすぐにピンと来るが、まったくの初見だとちょっと面食らうかもしれない。

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音数の多いシーケンス

ここはひたすら16分音符ノートの連続した打ち込みで、ノートミスの危険が一番高いパートであるとも言える。本番でこの種の課題曲が提示された場合は、間隔を置いて少なくとも2回見直した方がいいかもしれない。もっとも、音感の良いユーザであれば、仮にノートミスがある状態で再生確認した際にはなんらかの違和感を感じるはずである。

本パートは全体にレガートが掛かっているため、最後の1音を除き、ゲートタイムはすべて音価の100%のままとする。

あと注目すべきは、CC#10パンポットの変化表現を伴う点である(私にとっては今回が初出)。譜面ではパンのレンジが [0,127] であるのに対し、Dominoでは [-63, 63] なので要注意だが、実は本曲では単に右左にぐるぐるとオートパンする単純な表現なので、特に値の変換は意識せず、上限値と下限値を行き来すればいいだけである。

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ベロシティ

エンディングの8分音符2音はすべてのパートにわたってアクセント記号が付いているので、1ノッチ上げる(16だけ追加)。またドラムについては、練習曲No.2同様に、同一ノートで異なるベロシティの指定があるので注意を要する。

ゲートタイム(デュレーション

すべてのパートについて、所々でスタッカートが付されている点は要注意である。セオリー通り、ゲートタイムは音価の50%入力とせねばならない。

もう少し嫌らしいのは、ピアノ高音部とベースの一部にテヌートがある点である(音価の100%とする)。これはうっかりすると見落としてしまいそうで、限りなく引っ掛け問題に近い。

2015年2月期練習曲No.2の演習

ご無沙汰していたMIDI検定2級2次試験演習の続き。今日は、2015年2月期練習曲セットから練習曲No.2を取り上げて分析し、要点を整理しておく。

入力を始める前に譜面全体のチェックを

あまりにも当たり前過ぎることではあるが、初心者として改めて肝に命じなければならない手順として、打ち込み前には必ず譜面全体を一通り閲覧チェックし、要注意点等書き出しておくことを強調したい。これをやるだけでミスは相当減ると思う。

私も以下の勘所を書くにあたっては、制作後のレビューまとめというよりも、実は入力前に洗い出した要注意点をベースにしている。これは他の練習曲でも同様である。

ピッチベンドとモジュレーション

ハーモニカのパートは、メロディそれ自体は音数も少なく易しい。しかし、細かしいピッチベンド・コントロールモジュレーション変化が山のように指定されている。ある意味、練習には打ってつけかもしれないが。

ピッチベンドのコントロール・データは、例によってコピペによる対応が効率的であろう。ただし、2箇所だけ下降モードになっているので、うっかりコピペには要注意である(これはある意味ひっかけ問題っぽい)。また、下降の場合は再度"0"値に戻すことも忘れないようにする。

このパートの場合、ピッチベンドの下降時は、上昇時よりもゆったりした速度で変化させる方が自然な演奏効果を出せる。

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レガート

ストリングズはほぼ全域にわたってレガートが指定されているので、タイとの混同に注意する。レガートのゲートタイムは音価の100%とし、レガートの終端のみ概ね90%とする。

エレピのバッキング

以前にも指摘の通り、コードを多用するバッキング・パートは、調性によってはMIDIキーボードを使ってステップ入力する方がMMLによる記述よりも簡単であろう。

本曲は調性がAマイナーまたはCメジャーなので、原則として白鍵しか使わず、キーボード入力は比較的容易である。逆にもっと複雑な調性の場合は、ノートミスのリスクが飛躍的に高まるため、調性解釈機能を備えたMMLで対応する方が無難と思われる。

ハンマリング

もうすっかり慣れたが、ベースではお馴染みのハンマリングが多用されている。本曲では、ベースのみベンドレンジが12半音の指定となっていることに注意する。2級実技の練習曲では、特定のパートのみベンドレンジが他と異なる設定を指定されることはよくある。

このパートのピッチベンド・コントロールは同パターンの繰り返しなので、コピペで対応すれば速く入力できる。

ベロシティの漸減加工

ギターの最後の2小節に、ベロシティの長い漸減過程がある。ここは律儀に一件ずつベロシティを打ち込んで行くよりも、GUI(右下のイベント・グラフ・ペイン)で下降直線を引いて一挙に変更してしまう方法がベストである。最後はppp(ピアノピアニッシモ)で終止するため、16を目標に下げる。

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蛇足ながら、いつものことだがギターの1オクターブ下げは忘れないように心掛ける。

ドラム譜入力の要注意点

同一ノートでベロシティが異なる表現があるので注意する。たとえば、ノートNo.46では64と80の2種類ある。同様にNo.47とNo.55も2種類ある。

このような引っ掛け出題がありうるということだから、入力に着手する前に、使用するノート番号とベロシティの一覧表を作るか、譜面にマークを入れるか等の手段により、同一ノートでベロシティの変化があるか否か、あるとしたらどの小節か、チェックできるようにした方がいい。

あと基本事項の再確認として、タイ記号で繋がった先のノートは入力しないでよい。これは以前書いた下記記事の通りである。

daw-jones.hatenablog.com

ミックスダウンとマスタリングの注意点 (Tracktion)

前回記事と若干重なるところもあるが、最終工程であるミックスダウンとマスター編集・WAV書き出しに関し、やってみて得られた知見を改めて整理しておきたい。勘所は他DAWとも大方共通すると思う。

daw-jones.hatenablog.com

トラックの整理とバス共通化

ドラムキット全体、あるいは低域を担うキックとベース、といった似たような役割・音色のトラックは、ルーティングによって共通のバス・トラックへ出力し、まとめてエフェクト処理をやってしまう方が効率的・効果的である場合がある。特にEQとコンプによるまとめ上げではよく使われるテクニックであろう。また、CPUの処理負担を減らす狙いもある。

T5では、下図例の通り、トラック全体を選択時の下段プロパティ・パネルに "Track Destination" という属性項目があるので、ここをリルート先の出力用トラックに変えてしまえさえすれば、ルーティングは簡単に実現できる。下例では、Main Kick トラックを、バス・トラックとしてあらかじめ用意した Bus (Kick & Bass) トラックへルーティングする設定である。

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なお、T5におけるフォルダーはバス(ルーティング)とは似て非なるものなので要注意である。フォルダーは、複数の類似トラックをオーガナイズする目的の単なる整理箱であり、フォルダーに対してはエフェクト処理は適用できない(ボリュームとパンのみ適用可)。

理想的には、バス化は制作途上で徐々に整理整頓していく方がいいと思う。9分9厘出来上がった後で全体を見直してから再構成するのは大変な労力を費やす上に、当初思い描いていた音色・音質と全然違った結果になるリスクもあるからだ。

コンプの掛け具合などに技量を要するこの辺のスキルについてはドラム・リズム系が一番の肝だろうが、低域を中心としてもっとも音量バランスの調整が難しいパートでもある。

各トラックの音量

各トラックごとの音量は抑え気味が望ましい。当然ながら0dBギリギリは非常によろしくない。実際にソロで発音させ、トラックごとの音量がすべて0dBを超過しないよう(ピーク)レベル・メーターで確認を怠らないようにする*1

音量・音圧アップありきでパッツンパッツンに上げてしまうと、たとえ全体のマスター・ボリュームが正規化されていたとしても、結果として部分的な音割れもしくはクリッピング必至なので細心の注意が必要である。

意識して控えめな音量調整を心がけることの重要性については、我が意を得たりな以下の記事も参考になった。

getthatprosound.com

マスター・ボリューム

トラック毎音量と同様、マスター・ボリュームもついつい上げ過ぎになるおそれがあり、レンダリング・WAV書き出し後に後悔するというパターンに陥ることが多い。

マスターの音量は耳だけを頼りにするのではなく、T5付属の正規化自動解析機能で参考レベルを決定する方が手っ取り早いし間違いがない。

具体的には、マスター・フェーダーのプロパティ・パネルから "Find Normalised Level" をクリックし、プルダウン・メニュー一番上の "Based on the max level of the whole edit" を選択実行すれば、書き出し時に音割れしないボリュームを自動的に設定してくれる。慎重を期すのであれば、自動設定ボリュームよりさらに1dB程度下げてもよい。何度か書き出してみて、音割れの問題がないようであれば、逆にもう少し上げてしまってもよいと思う*2

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このようにマスター・ボリューム調整をあらかじめやっておけば、書き出し時の正規化処理は不要となる。逆に再度正規化してしまうと不必要に音量増となり、かえって音質が劣化するようである。

追記 (2018-03-28)

マスター(および各トラック)にリミッターもしくはマキシマイザーを挿して音圧を一定レベル以下に抑えるやり方がもっと簡単かつ確実である。

フリーズ処理は必要か

2mix前の楽曲再生時に、CPUメーターが要注意のイエロー領域に振り切るようであっても、レンダリング時に低負荷であれば特には問題なく、ノイズ混入もないようである*3

CPUの負担を減らす一般的な方策として、一部(またはすべて)のトラックをフリーズ(仮書き出し)する手段も考えられる。しかし、フリーズ用にレンダリングした際、何かしらのノイズ(クリップ・ノイズや直前レンダリング処理の残響らしき音など)が混入する場合があり、音質に注意が必要*4。こうした厄介な副作用もありうるため、私自身はあまり積極的には使いたくなく、少なくとも最終書き出し時には解除した方が無難だと思う*5。 

レンダリング品質の設定

ネット上へのアップロード公開も含め、最終的にMP3化するのであれば、WAV出力時は 48kHz/24bit がベター。音質(特に高音領域)のクリアさが全然違うように思う。言うまでもなく、圧縮による音質劣化は免れようがないので、圧縮前の元ファイルの質が粗いようだと輪をかけて音質が悪くなる。

試験的に 48kHz/24bit 作成したWAVファイルを SoundCloud に上げてブラウザーで再生したみたが、少なくとも音割れやクリッピングなどの目立った劣化はなく、特に問題なく試聴できた。下記コメントの通り、ストリーミング再生時は Opus コーデックで圧縮変換されるので、それ相応の劣化を見込み、元ファイルは 48kHz/24bit 以上の品質で作成した方がノイズ混入などのリスクが小さいように思う。

About the Audio Quality of Your Uploads - SoundCloud Help Community

おまけ

今回のリミックス・コンテストの習作を SoundCloud に上げてみたので、一例としてご参考まで。マスター音量をもうちょっと大きくしてもよかったかなと反省。その他、あの音はもう少し後ろに引っ込めたい等いろいろ改善すべき粗はあるものの、キリがないのでこの辺で妥協。

soundcloud.com

追記 (2018-03-28)

本作はDAW(当時はT5のみ)を触り出してから3ヶ月未満の間もない頃だったので、音圧レベルとかEQ処理などがまだまだ甘い素人臭さ全開で、今聴き直すとちょっと恥ずかしいですね。特に低域が埋没気味なところは残念な仕上がりである。しかし楽曲構成・アレンジは悪くないと思う、と自画自賛

*1:T5では、各トラックのフェーダーのプロパティ・パネルをいちいち開かないとレベル・メーターを確認できない。このようにミキシング・コンソール・ビューがないのは Tracktion の最大の泣き所で、製品レビューでもしばしば批判を受けていた。

*2:正規化ボリュームは意外に小さいレベルなので、物足りないと感じる場合はもう少し上げる余地は残っている。調整具合は楽曲にもよりけりで、耳で確認して試行錯誤で決めるしかないように思う。

*3:私の環境では、レンダリング・WAV出力時にCPU負荷率は常に10%未満を維持していた。一方、楽曲再生時は40%を超過することもままある。

*4:T5ではフリーズしたトラックだけを個別に再生することができないので、ノイズ混入した際の発生源の特定が非常に困難となる。したがって、いっそのこと該当トラックのオーディオ化書き出しで対応する方がいい。

*5:フリーズの主たる使用例として、ボーカル等外部録音時にCPU過負荷によるクリップノイズ混入を回避する目的がある。

オーディオ素材の加工とリミックス (Tracktion)

前回記事の蛇足。お試しの軽い気持ちでいろいろ制作作業をやってるうちにドハマリで、初心者なりに気づいた注意点や T5 (Tracktion 5) の限界などをメモしておきたい。

daw-jones.hatenablog.com

下準備について

素材吟味の重要性

今回は8種類のステムが用意されているが、当然ながらすべてを使用する必要はまったくなく、自分が料理したいと思う材料・ステムを厳選する。これはもう料理人の好みとセンスが頼りである。ほとんどこの段階で出来不出来が決まってしまうような気もする。

SleepFreaksの関連企画チュートリアルで指摘の通り、よほどの理由がない限り、ドラムとベースは独自制作の方がいいと思う。さもなくばリミックスをやる意味がなくなる。ただしいずれにせよ、率直に言って今回原曲のリズムとベースが非常に弱々しくて使い物にならないとは感じたが(あくまでそれだけを抜き出してしまえば、という意味で)。

原曲をどの程度参照するか

オリジナルは一度さらっと聴き流す程度にしておき、むしろ各ステムの方を聴き込んで吟味選択する方が重要だと思った。オリジナルを聴き込んでしまうと先入観が立って大胆なリミックスができなくなるからである。

素材の加工と下ごしらえ

使うと決めたステムは、繰り返し編集に使いやすいようループ素材として再加工する必要がある。ステムのオーディオ・クリップをスプリットしたり、リバースやタイムストレッチ加工といったオーディオ素材の初歩的な処理である。おそらくここはT5のみならず他のDAWもほぼ同じはずである。

T5で唯一の問題は、小節単位などに基づくオーディオ・クリップの自動切断処理ができないことである。つまり、凝ったカットアップ加工は事実上諦めざるを得ない*1。また、付属のサンプラーは非常に原始的な代物なので、他メーカーのプラグインを用意すべきだろう。

楽曲のテンポ決定

オーディオ素材の性質にもよるだろうが、T5の自動判別処理はあまり精度良くない印象。結局手探りで調整する羽目に。後ほど上記SleepFreaksのチュートリアル・ビデオで確認したところ、そのものずばりBPM=128と出ていた。小数点以下まで細かいテンポ設定がなされていた場合はちょっとお手上げかもしれない。Cubaseとか他のDAWではどうかは知らないが。

ミックスやマスター編集など(後日追記)

ミックスとマスター関連はあまりにも奥が深くて一度には書き切れないので、とりあえずT5でのレンダリング・書き出しについて一言だけ補記。

T5での2ミックス後の出力音質は結構良い方だと思う。言うまでもないことだが、WAVのままで聴いて済ますのではなく、mp3化したものをiTunesなりに取り込んで音質を確認する必要がある*2

T5からレンダリング出力(エキスポート)する場合、ピーク値0dBで音割れ防止の正規化はできる。もしもiTunes等ネット配信対応で最大値を規定通り-1dBに設定する場合は、別途Audacityを使った正規化が必要かと思う。

なお、このミックスやマスター関連のテクニックについては、現役エンジニアによる下記記事(長文)が非常に参考になった。本記事でも、やはりというべきか、低音処理の重要性が強調されている*3。あとはただただ勉強せねばならぬことが山ほどあるということです。

onibabako.amebaownd.com

 

最後に素人全開の愚痴。制作作業にあたっては、MIDIキーボードと21インチ以上の大画面ディスプレイが必須であることを今更ながらに痛感している。MacBookでは正直つらいことこの上ない。今年はiMacの27インチサイズでも買った方がいいのかもしれない。

 

*1:手動で切断処理はやろうと思えばできるが非常に手間がかかるし、労力に見合った効果が得られるかどうか不確実なため試行錯誤が困難である。Cubaseのハサミツールは羨ましい。

*2:iTunesだと、自分のお気に入り音楽ライブラリに入っている他のプロ楽曲との音圧等聴き比べが容易にできる。

*3:基本的にはクラブ・ミュージック前提の原則論。他ジャンルには必ずしも当てはまらない場合があるので、あまり絶対視しない方がいいと思う。ただ、日本の音楽家・エンジニアは欧米勢に比べて低域処理がかなり甘いという欠点は方々で指摘されている印象がある。

Re:animation リミックス・コンテスト

今ちょうど Re:animation のリミックス・コンテストが作品募集中で、私のようなDAW初心者はビギナー部門で練習がてらに応募してみるのもいいかもしれない。特にオーディオ素材の加工編集スキル習得にちょうどよい機会であろうと思う。MIDIばっかりでは面白さ半分だし、締め切り(3月27日)に間に合うかどうかはわからないが私もチャレンジしてみようと思う。

remixcontest.peatix.com

 

なお、連動企画で SleepFreaks のリミックス講座も始まったので、こちらも参考まで。ただし、DAWによっては、たとえば私の Tracktion 5 では簡単に対応できないテクもあろうかと思う。この辺りは後日稿を改めて書き記す。

sleepfreaks-dtm.com

 

リミックス用のいわゆるステム素材は、下記サイトより購入できるようだが、ある種のツールを使うとストリーミングから落とそうと思えば落とせる。

reanimationrecords.bandcamp.com