DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

MIDI検定実技の特殊性とその対応策など

MIDI検定試験は、近年の音楽制作の実情に沿った形でDAWを重視するべく学習課程や出題内容が4年前より大幅改訂されたにもかかわらず、その試験名が示す通り、依然としてMIDIデータの作成編集技術が大きなウエイトを占めていることには変わりない。そのため実技試験においても、楽曲全体を規定通りにすべてMIDIデータで起こす、というDAWを用いた実際の音楽制作ではほとんどありえないようなテクニックを要求される。ただし、MIDI検定と銘打っている以上はMIDIデータの打ち込みから脱却するわけにもいかず、移行にあたって協会も苦慮しているところではないかと思う。

DAWが登場して以来、現状は部品単位のクリップごとにMIDIデータを使ってシーケンスを制御するという使い方が大半で、一曲丸ごと全トラックにつきMIDI起こしというのは、カラオケメーカー以外ではおそらく稀であろう(と想像する)。

以上のような不平不満は残るものの、受験者としては現行の出題要求に合わせて対応せざるを得ないので、やれることと言えば、あとはいかに効率よく準備・対応するか、ということになる。それで前回も書いたように、まず2級ではデータの正確性のみが評価される実情を踏まえ、思い切ってDAW(私の環境では Tracktion 5)は切り捨て、MIDIシーケンサーDomino)と Audacity の組み合わせで乗り切ろう、という結論に達した。

daw-jones.hatenablog.com

 

ざっと検証してみた結果、MIDIデータの打ち込み編集は Domino でほぼ問題なく効率的に作業できると見込まれる。ただし、念のために以下のポイントは要注意:

  • 各ノートに関して、すべてのパラメータをイベントリスト内で数値編集できるわけではない。すなわち、gate time と velocity は数値編集できるが、tick 位置決め等残りはピアノロールでの編集となる(今後要検証)。
  • 必須指定であるGML2(GM2音源)オンのSysExメッセージ入力対応については、協会提供のテンプレ・ファイルを流用する方法が一番手っ取り早い。DominoでSysExメッセージ挿入は可能ではあるが(取説の「使い方」>「エクスクルーシブイベントを挿入するには」参照)、16進数入力がやや面倒。

また、前回記事の最後でちらっと触れたMML/MIDIコンパイラによるMIDIデータ作成の前処理については、結局のところ却下とした。理由は、上記の通り Domino で十分対応可能であるということ、およびデータ作成・編集の二度手間でかえって複雑かつ非効率になる、という2点である。

なお、Domino は Windows 用のソフトであるため、Mac 上で使用するには Wine の導入が不可欠となるが、次回はそれについて補足しておきたい。

[更新追記] 結局MMLは併用することにした。MIDI検定2級実技の練習曲はMMLを駆使してすでに打ち込み実習中。詳細は以下の記事を参照:

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