DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

2017-01-01から1年間の記事一覧

MIDI検定1級演習 2011年課題曲 (2) 下準備

MIDI検定1級課題曲演習の続き。今回はMIDI打ち込み前の下準備について。使用DAW例は Studio One 3.5 Prime版(以下S3)とする。 daw-jones.hatenablog.com マーカーとアレンジャー・トラックの設定 2級実技と異なり、1級課題曲はそれなりに長い尺の完成品で…

ステップ・クリップ (Tracktion 6) によるドラム打ち込み

Tracktion 6 で強化されたステップ・クリップ機能を用いてドラム・パートのMIDI打ち込みを効率化する方法について備忘録的にまとめる。Tracktion独特なUIのせいもあって、ちょっとしたコツが要るため、今書き留めておかないと私自身忘れかねない。 これは下…

MIDI検定1級演習 2011年課題曲 (1) 概観

今月よりMIDI検定1級課題曲の演習に戻ることとしたい。昨年2016年度の課題曲演習以来久しぶりの再開となる。 daw-jones.hatenablog.com 演習題材 今回は2011年度(第2回)の課題曲を取り上げる。実は本曲の1ページ目のみサンプルとして公式ガイドブック p.24…

Magentaによるメロディ生成 (4) コード進行の活用

前回記事の続編、というかおまけ。前回は単純に出だしの単音だけ与えてメロディを生成させてみたが、今回はコード進行の制約を与えるモデルを試用してみる。 daw-jones.hatenablog.com 使用するモデル 今回は、Melody RNN ではなく、Improv RNN を用いる。 …

Amper Music の使用感

以前書き留めた下記記事の続きのようなものではあるが、ちょっと気になっていた自動作曲サービスの Amper Music を触ってみての雑感を軽く書いておきたい。 daw-jones.hatenablog.com なお、利用方法についてはすでに方々で紹介記事が書かれているので、この…

Magentaによるメロディ生成 (3) MIDIデータ生成

随分と間が空いてしまったが、前回の環境構築に引き続き、MIDIデータの生成を試してみる(かなりマニアックです)。 daw-jones.hatenablog.com プリセットの学習済みデータ 有難いことに、Magentaには数千曲のMIDIデータを使って学習したモデル一式が添付さ…

IEC国際標準規格となったMIDI

先日郵送されてきたMIDI検定2級1次試験案内のカバーレターには、MIDIが本年6月にIECの国際標準規格として認定された旨が書き添えられていた。メディアではまったく報じられなかったので、初めて知った次第。 webstore.iec.ch MIDI検定の案内ページでも概説さ…

MIDI検定2級1次試験の受験申し込み始まってます

昨年末に3級を受験した関係で、本日AMEIより平成29年度第19回MIDI検定2級1次試験の受験案内および受験料の払込取扱票(いわゆる郵便振込用紙)が郵送されてきた。この夏はMIDI検定1級の実技演習を休止していたせいでうっかり忘れていたが、出願期間はちょう…

Tracktion 6 新機能概要メモ

Tracktion 6(以下T6)が無償版になったので、早速前バージョン5よりアップグレードして主たる新機能をざっと確認してみたので備忘録として簡単にメモ書きしておく。 daw-jones.hatenablog.com T6無償公開前後からおそらくTracktionを検索キーワードにして本…

Tracktion 6 が無償版になった

昨日たまたま Tracktion の本家サイトをチェックしていたら、Tracktion 6 (以下T6)が無償提供され始めたことを発見して驚いた。以下の記事でもレポートされているが、まだ日本のメディアでは報じられていないようである。なお、既存登録ユーザは通知メール…

AI活用楽曲をプロがリリースの時代

先週の下記 The Verge の記事は、今偶然にも私自身が色々と自動作曲ツールを渉猟している最中でのニュースだったので、ついに来たかという感慨を深めた一件であった。 www.theverge.com 要は、AIによる楽曲生成ツールを使って曲の断片を作り、独自の工夫によ…

Magentaによるメロディ生成 (2) Magenta実行環境

前回の続き(かなりマニアックです)。 daw-jones.hatenablog.com 前回記事の最後で触れたように、Magentaの実行環境を構築する方法はいくつか存在するが、私は今回はDockerを使った導入方法を選んだ*1。というのも、これが最も単純明快で、かつ既存環境との…

Magentaによるメロディ生成 (1) 資料など

夏休みの自動作曲探求シリーズの終章として、AIベースの楽曲生成モデルをできる範囲で実際に試してみたいと思う。これまでは、アプリやWebサービスの形態でお手軽にすぐ使えるツールのみを少々漁ってきたが、ここから先はMIDIの基本や(若干の)Pythonプログ…

自動作詞作曲ツールのOrpheusプロジェクト

夏休みの自動作曲探求シリーズ第5弾。お手軽ツール編の最後を飾るのは、東大発祥の国産プロジェクトであるオルフェウス (Orpheus) である。 daw-jones.hatenablog.com オルフェウスはあくまで学術研究プロジェクトであるため、いつまで公開が継続するか未知…

AI作曲家のJukedeckに頼む

夏休みの自動作曲探求シリーズの第4弾。 daw-jones.hatenablog.com 今回は、真打登場というべきか、AIを駆使した最新技術による自動作曲サービスのJukedeckを試すとする。 www.jukedeck.com 使い方 まずユーザ登録が必須で、サイト訪問時に最初に表示される…

MIDIとMIDI検定に想いを馳せる盆休み

昨日掲載の「DTMステーション」の以下記事は、しみじみしながらも興味深く読んだ。 www.dtmstation.com 過去にも書いたことだが、DAW隆盛の現在でもMIDIは依然として楽曲制作の上で中核を成す技術であることに変わりはない。DAWの登場でMIDIは過去の遺物と化…

とりあえず命拾いのSoundCloud

昨日来TechCrunchなどでちらほらと報じられていたように、SoundCloudがVCや投資ファンドから追加資本を得て当面はなんとか食いつなげる道筋をつけたようである。 jp.techcrunch.com マネタイズのための仕組み化と販促が最大の経営課題だろうが、40%解雇とい…

バッハ気分に浸るツール

夏休みの自動作曲探求シリーズの第3弾。 daw-jones.hatenablog.com 今回は、アルゴリズム作曲ツールの変わり種である Abundant Music を試してみる。これは一言で言えば、バロック音楽生成機である。 最初にサンプルを聞いた方が雰囲気が伝わると思うので、…

本年度のMIDI検定1級試験がスタート

本日より11日間の締め切り日程で、第9回MIDI検定1級の実技試験がスタートした。私は来年受験予定のため今年は傍観者を決め込むしかないが、今回受験される方は猛暑に負けずに是非頑張ってください。 毎年盆休み連休に当てて実施してくれるが、休暇を取ったと…

WolframTonesの不思議な世界

夏休みの自動作曲探求シリーズの続き。 daw-jones.hatenablog.com 自動作曲とかアルゴリズム作曲と呼ばれる分野では、近年はニューラルネットをベースにした機械学習モデルが主役に躍り出た感があるが、それ以外の手法を使ったモデルも結構昔から多数存在し…

Chordana Composer よりMIDIデータ生成

前回記事を受けて、Chordana Composer のMIDI書き出し機能を試してみたので概要や特徴などをまとめておきたい。 daw-jones.hatenablog.com なお、MIDI書き出しを含めたアプリ全体の機能概要については、2年前の記事だが下記「DTMステーション」のレビューも…

自動作曲の探求 - ざっくりと3方策

MIDI検定の受験対策ばかりでは同じようなネタの繰り返しで飽きてしまうので、夏休みの自由課題研究というわけではないが少し趣向を変え、8月末あたりまで当面は自動作曲ツールについていろいろと集中的に探求しようと思う。 興味の動機 私のような素人かつDT…

MIDI検定1級課題曲をDominoで再生

MIDI検定1級課題曲の制作では、Studio One で作成した楽曲データのSMFにセットアップ・データを付け足し、Dominoで微修正を加えて完成形のSMFを書き出す*1。2016年課題曲を例にすれば、最終的には以下のようなMIDIチャネル構成とイベントリスト(一部)が出…

PythonでSMFを操作する (7) 不要メッセージの削除とファイル保存

前回からの続きだが、PythonによるSMFの編集加工シリーズは一旦これで終了とする。ここまでの一連の操作を経た修正後のSMFをDominoに読み込み、再生してみた結果については稿を改める。 daw-jones.hatenablog.com 不要メッセージの削除 前回まで放置したまま…

PythonでSMFを操作する (6) 移調

前回の続き(注: かなりマニアックです)。操作要領はほとんど同じである。 daw-jones.hatenablog.com ノート番号と移調 MIDIでは音程をすべて半音単位のノート番号で管理しているので、移調・転調については各メッセージのノート番号を一斉に同一インターバ…

PythonでSMFを操作する (5) MIDIチャネル変更

前回の続き(注: かなりマニアックです)。今回は既存メッセージのMIDIチャネルを変更するが、要領は前回のデルタタイム修正とほぼ同じである。 daw-jones.hatenablog.com Studio One で書き出したSMFの大きな問題 Studio One (Prime版)で Presence XT を使…

PythonでSMFを操作する (4) デルタタイム修正

前回記事の続き(注: かなりマニアックです)。今回は、前回未解決であった最初のノートオン・メッセージのデルタタイム、すなわち発音タイミングをシフトして修正する。 daw-jones.hatenablog.com データ挿入に伴うズレ 途中挿入したセットアップ・データの…

DominoでSMF保存した場合の注意点

今になって気づいたのだが、Domino上で各トラックの音色を選択設定した後にSMF保存すると、Domino独自の余計なバンクセレクトMSB/LSBメッセージが挿入されてしまう。 MIDI検定実技では、2級と1級を問わず、レギュレーション違反で減点対象になる可能性がある…

PythonでSMFを操作する (3) セットアップデータ挿入

前回の続き(注: かなりマニアックです)。前準備は済んでいるものとする。 daw-jones.hatenablog.com セットアップデータの生成 セットアップ用のデータは、コントロール・チェンジとプログラム・チェンジを組み合わせた一連のメッセージ・リストとして定義…

PythonでSMFを操作する (2) SysEx挿入

前回記事の続き(注: かなりマニアックです)。今回はトラック1の1小節目冒頭に所定のSysExメッセージを挿入してみる。 daw-jones.hatenablog.com 下準備 midoパッケージのインポートと、Studio One から書き出したサンプルのSMFファイルをmid変数に読み込む…