DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

MIDI検定1級の得点と評価シート

このところMIDI検定ネタが続いてしまったが、かなりニッチなテーマゆえ*1、1級到達により本記事でそろそろ一区切りということにしようかと思う。

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また、MIDI検定の受験アプローチについては下記記事でほぼ書き尽くしたと考えられるので、それを参考にしてもらえればいいかと思う。本記事は2級2次実技までを射程に入れた概説だが、1級はほとんどその延長線上で対応できると想定して差し支えない。1級で追加対策すべき課題としては、上級レベルの読譜と生楽器音源の充実となるが、いずれも過年度課題曲実習を何回か重ねれば対応は可能である。

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さて本題。つい先日に協会よりMIDI検定1級試験の得点および寸評等評価シートが送付されてきたので、この概要につき紹介を兼ねていくつか注記や感想などを書いておきたい。

最終判定

ざっくり言えば、1次審査と2次審査の合計得点が100点満点中85点以上で合格、というかなり厳しい合否判定である。より正確には1次審査の足切りがあるが、詳細については下記受験案内または公式ガイドブックを参照されたい。

MIDI検定試験1級案内

それで今回の私の得点だが、総合87点(1次87点+2次0点)ということでギリギリのセーフという冷や汗ものの結果であった。2次審査の総合評価は結局B評価*2で、つまり加点なしという嬉しくもない評価に終わる。

痛感するのは、1級はやはり1次審査次第だということである。なので、希望的観測は完全に捨てて2次審査は加点なしの前提で、なおかつ1次審査で満点を目指す、特にノートミスを絶対にやらないという覚悟と方針で臨めば合格の確率は上がる。今回私もノートミスは一切冒さなかったのでなんとか及第点に達することができた。

1次審査

評価シートのフォーマット自体は下記2級2次のものとほぼ同様であるが、第1採点および第2採点両者の寸評コメントが付記され、採点者名と採点時使用DAWも明らかにされる。私の場合はお二方ともに Cubase 9 であった。

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今回の私の3点減点の原因は、39小節目に間違ったテンポ・データが入っていたことによるレギュレーション違反であった。

しかし不思議なことに、私が制作に使用した Studio One と Domino で再チェックしてもそのようなイレギュラーなテンポ入力はまったく確認できなかったので、Cubaseでないと見えないようなデータが混入したとしか考えられなかった。怪しいのは Studio One だが、もうこればっかりはどうしようもない。

また、最初に不要なメタイベントが入っているとの指摘があったのだが、これは使用ソフト特有の事情ということで見逃してもらっている。Studio One はメーカー特有のメタイベント・データを書き出していることは以前から承知していたので驚きはしなかったが、これはむしろ2級2次で問題となる可能性がある。

2級でもそうだったが、MIDI検定では再生上特に問題ないメタデータやセットアップ・データであっても、不要なものはすべて削除しておかないとレギュレーション違反で減点を食らう(可能性がある)理不尽な規定があるので、今後受験される方は要注意である。

あとMIDI検定受験で使用するDAWとして Studio One は使わない方がいいかもしれないというアドバイスも一応しておきたい。不要データ出力もさることながら、そもそも Studio One はMIDIイベントリスト機能がないので*3、Domino等との併用を迫られるが、このような制作環境は少なくとも初心者向きではない。予算に余裕があるのであれば Cubase を選択することが一番無難であろうと思う。

2次審査

これはあくまで主観評価なので、評者によって互いに矛盾するコメントをもらったりする可能性がある(実際にそうだった)。したがって、絶対評価ではなく「人によってはそういう捉え方もあるかも」程度に受け止めておけばよいと思った。

参考までに、辛めのコメントを中心としていくつか抜粋・紹介しておく。ついでながら私の言い訳もとい愚痴も付記する。

  • 弦楽器系のレガートさが足りずにぎこちない: これは主として音源の制約に起因する。Studio One 付属音源の Presence XT サンプリング音色の限界だと思われる。もたつくアタックの遅延は該当トラックの発音タイミングを数msズラすなどの対策を講じてもよかったかもしれないが時間的余裕なし。
  • 全体に平坦でトレモロのスピード変化などが欲しい: トレモロは非常に難しく、MIDI打ち込みだけでは機械的に聞こえるということは十分認識していたがこれも時間切れということ。スピート変化などは途中で細かくタイミング等を調整せねばならないが本番でそんな余裕はなし。本来は音源対応(アーティキュレーション機能)に委ねられる部分であろう。しかし別の評者は「抑揚表現含めてミキシングも上手にまとまっている」とのコメントあり。
  • 二胡ならではの表現がなく、下手に何かするよりも無難に逃げた感あり: ここは確信犯的な結果ですね。1次審査の比重を考慮すると無難にならざるを得ないところがある。冒険してノートミスとかレギュレーション違反で減点されたらたまったものではないから。
  • 打楽器はもう少しオリエンタルな感じが欲しい: これも音源の制約で致し方ない。GarageBand付属の Chinese Kit は個人的には悪くなかったのだが。
  • 銅鑼は重たく的確な選択ではない: 普通にシンバルにしておけばよかったのだろうか。一方で別の評者は「銅鑼は効果的」との指摘があり、この辺はスコアに明確な指示を記載すべきではないかと思う。

生楽器シミュレートとか結局サンプリング音源次第じゃないのか、という身も蓋もない結論が透けて見えると思うが、1次審査突破優先を考えると、安い音源でもいいからとりあえず破綻のない仕上げにしておけば総合点で合格できると思われる。2次審査は総合でA評価もらえれば御の字であろう。

*1:本ブログのアクセス・ログを見ても、MIDI検定関連の検索による訪問者数は非常に少ない(というかほとんど皆無)。

*2:内訳は、A評価が2人、B評価が3人。

*3:ただし自主制作でMIDIイベントリストなど通常はまったく使わないと思うからMIDI検定以外での使用上は全然問題ないのである。