AIと自動作曲
2週間ほど前の記事(前編と後編)になるが、国産自動作曲プロジェクトとして割と名が知られている Orpheus に参画していた研究者の方のインタビューが色々と示唆に富んでおり、興味深く拝読した。
実は私自身、Orpheusに関しては昨年夏にお試しでちょっと触ってみたことがあり、正直言って数ある自動作曲ツールの中では初心者には結構ハードルが高い印象が強かった。日本語作詞から入るアプローチも非常に独特である。
後編記事の最後の方で、「自動作曲で難しいのは、曲ができるかどうかではなく、使われ方の探求なんです。どんな文脈で自動作曲が使われるかが分かっていない状態...」という指摘は、現状では確かになるほどなと思うところがある。
研究ベースではある程度盛り上がっているものの、スタートアップ含めて製品化はまだまだ緒に就いたばかりの感があるので、今後メジャーな市販DAWにでも搭載されてくると、ユーザーからのフィードバックが蓄積され、当初想定もされなかった方向へ大きく進化する余地はあるだろう。
1曲まるごとの長尺だとまともな生成がまだ難しいだろうから、応用分野としてたとえば、ループ素材の一変種に任意自動作曲素材みたいなものが入ってくるだけでも制作上のクリエイティビティの幅は広がると思う。あるいは、GarageBand / Logic Pro X にすでに組み込まれている Drummer のような自動生成機能がパーカッション以外の楽器にも拡張された暁には、これはもう立派な自動作曲アプリケーションの誕生である。
そうこうしているうちに、Magenta が Ableton Live 用のプラグインとかスタンドアローンのアプリを出しているらしいと知って驚愕。最近あまり動向チェックしていなかったけど着実に歩みを続けているようで、最先端の研究を覗き見るためにも公式ブログなどをちょっと真面目にフォローしておいた方がよいかもしれない。Magenta Studio についてはまた後日レポートしたいと思う。