DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

アルゴレイブの世界

先月末にWIREDの記事でアルゴレイブ (algorave) の話題が取り上げられ、はてブ界隈で若干バズっていたので、少し掘り下げて備忘録的に書き記しておきたい。

wired.jp

英文の元記事は2ヶ月前の3月末に公開されていたようだが、ご参考までに。

www.wired.com

早い話が自動作曲をフィーチャーしたライブ・コーディング前提のレイブ・パーティーのことなのだが、なにも今日昨日に始まったというわけではなく、2011年ないし2012頃から徐々に盛り上がり出したムーブメントのようである。実はその背景にある自動作曲奏法の研究自体も結構大昔から現代音楽の一角などで脈々と継承されてきた歴史があり、そのような巨人の肩に乗った成果であることは明らかだろう。近年ではAI/機械学習との結びつきも深い。

en.wikipedia.org

以下は、アルゴレイブ発案者の一人であるMclean博士のインタビュー映像で、一体どんなものなのか手短に概略を把握するにはうってつけである。

www.youtube.com

その他、YouTube上で "algorave" と検索すれば山のようにパフォーマンス映像がヒットするので、つらつら眺めていると生成される楽曲の特徴や会場の雰囲気などを味わうことができると思う。東京でもイベントをやっているようだ。

www.youtube.com

このアルゴレイブには、よく使われるデファクトのツール群があり、プログラミング言語としては TidalCycles が頻繁に使用される。パフォーマンス会場でスクリーンに映されるコードのほとんどは TidalCycles を Atom エディターで編集しているライブ映像である。

肝心の音源については SuperCollider を SuperDirt という wrapper (?) ソフトで起動させ、それを上述の TidalCycles から制御するという環境が一般的なようである。MacだとHomebrewを使ってインストールする方法が一番お手軽であろう。その辺の環境設定周りは以下の記事に詳しい。私も後日自分自身で試してみようと思う。

qiita.com

また上記WIRED記事には書かれていなかったが、この種のライブ・コーディング・パフォーマンスでは、自動生成されたMIDIデータの出力先と音源制御管理のDAWとして Ableton Live がよく援用されるようである。アルゴレイブ用に開発された各種プラグインAbleton Live 専用のものが多いように見受ける。Magentaプラグインはその代表例かと思う。

magenta.tensorflow.org

因みに、美術の世界でもこの種のコーディングをベースとするアルゴリズミックないわゆる generative art のシーンは当然に存在していて、MITが開発したProcessing言語+IDEが標準的な制作ツールとして普及している。

面白いことに、UdemyでProcessingの初級者講座が開講しているようだったので、私は早速enrollしてみることにした。感想などは後日レポートしてみたい。

www.udemy.com