各パート毎の音符MIDIデータをマスター編集ファイルの該当チャネルへコピーした後は、ゲートタイムやピッチベンドといった表現系のデータを編集加工または追加していく。この作業は各パート毎に順繰りに完成させていく方が漏れなく着実に仕上げられると思う*1。
ゲートタイムの編集
MMLから記述作成したMIDIデータでは、各ノートのゲートタイム(デュレーション)は音符の長さ100%の状態となっている。一部のノートについては楽譜表記にしたがってこれらを適当な値に変更する必要がある*2。
これは編集対象が非常に多いので、一括変更機能を使って効率良く編集を進める。すなわち、
- 該当箇所を範囲選択する。
- イベントリスト上で右クリックし、コンテキストメニューより「一括変更」を選択する。
- 一括変更パネルの Gate 項目に、たとえば"80%"と入力する。すると、ゲートタイムがすべて音符長ステップ値の80%の計算値に変更される。この機能は結構強力で、いちいち自分でゲートタイムの値を電卓計算する必要がない。
- 最後に OK を押してパネルを閉じて終了。
ピッチベンド等コントロール・チェンジの追加
楽曲のパートによっては、ピッチベンドやエクスプレッション、モジュレーションといったコントロール・チェンジ(CC)によるニュアンスの追加を譜面で細かく指定しているので、これを忠実に再現する必要がある。
これらについては、Domino右下ペインのCC用GUIで自由自在に追加編集できる。初心者でも直感的に操作可能なので、既にMIDI検定3級で学習した各CCの意味を理解していれば、特に難しいことはないと思う。操作詳細については、Dominoの取説(ヘルプ)か、または各種チュートリアルに譲る。
またエクスプレッション(音量変化)などの経時変化の付け方については、線形以外にも楽曲に応じていくつか基本テクニックがあると思うが、長くなるので詳細はまた後日補足することにしたい。
SMFの書き出し
全パートの追加編集が完了したら、楽曲全体を何度か再生してみる。違和感がなければ一応完成ということで、成果物の一つである標準MIDIファイル(SMF)への書き出しをする。
ここで注意すべきは、必ずトラック分離形式のフォーマット1で書き出すことである。具体的には、メニューの ファイル > SMF書き出し を選択した際、保存パネルにおいて書き出しフォーマットは下図の通りに"format 1"を選択する(デフォールトではこちらに指定されているので触らなければよい)。
念のために、書き出したSMFを再度Domino(あるいは他のDAW)で読み込んでみて問題ないかどうか再生チェックをしてみてもよい。あるいは、Pythonなどを使ってSMFの中身を直接覗いて確認する手もある*3。
残るはWAV書き出し
ここまででSMF書き出しまで完了したので、あとはもう一つの成果物であるWAVファイルの書き出しを残すのみである。これについては次回。
*1:あっちのパートをやってまたこっちのパートをやってみて、という感じだとどこまで完了したのか進捗が不明確になるおそれがある。
*2:MIDI検定3級で学習済みであるが、公式ガイドブック記載の慣例・規定に従う。目安としては、通常は音符ステップ長の80%、スタッカートは50%、レガート一連の音符の最後のノートは90%。
*3:python-midiパッケージが使える。通例ここまでやる必要はないが。