DAW悪戦苦闘記

DAWやMIDIを通じてちまちまとDTMを楽しむ記録+MIDI検定1級到達記

Studio One 5.4 Artist版をインストール

早速 Studio One 5.4 のArtist版をM1タイプの MacBook Air に入れてみたが、導入にあたって気づいた点などをいくつか記録しておきたい。今後初めて購入されるユーザの参考になれば幸いである。

購入決済の手続き

英語が苦にならないのであればPreSonusの本家サイトから直接購入しても特に問題はないと思うが、日本国内、というか日本人ユーザであれば通常は代理店MI7のサイトから購入決済する方が無難だろうと思う。

www.mi7.co.jp

今現在MI7の取扱製品の購入決済はすべて Music EcoSystems のサイトを通じて処理する形式になっており、少々面倒だがまず Music EcoSystems のログイン登録をやる必要がある。

無事に Music EcoSystems のサイトに入ってショッピングカートに Studio One のお目当てのエディションを加えるとそのまま決済に進む。なお実際の決済処理はさらにGMOの決済プラットフォームにリダイレクトされて実行することになるので注意。あとカード決済の場合は取引時パスワードが必須であることにも注意する*1

晴れて決済が完了すると、Music EcoSystems よりメールでプロダクトキーが送られてくるので、これは絶対に紛失しないように気をつける。

製品登録とインストーラーのダウンロード

次に、上で購入した製品をユーザ登録しなければならない。ここでは My PreSonus への会員登録が必須となる。すでに無償のPrime版で Studio One を使っていたユーザは会員登録済みのはずなので改めて登録し直す必要はない。

My PreSonus に入って今回購入したアプリケーション等を製品登録する際に、決済後のメールで案内されたプロダクトキーを入力し、自分が本製品の正式なユーザであることを登録する。無事に登録されたら、該当製品のダウンロード・リンクが製品ページ上に表示される。

ダウンロード・リンクの表示域からは、Studio One の本体インストラーと、バンドル対象の音源やソフトシンセ等10個の追加ファイルを落とせるようになっているが、とりあえず本体のインストーラーのみ落として実行すればよいです。

参考までに、各ファイルサイズは今現在以下の通り:

  • 本体インストーラー = 278MB
  • 音源等バンドル品10個の合計サイズ = 6.8GB

全部合わせると7.1GBにもなるので、バンドル品は分けて後日別々に落とすなどの工夫をしてもよいだろう。

本体インストール

上で落とした本体インストーラーを実行時、My PreSonus のユーザー名とパスワード、プロダクトキーの入力を求められ、ユーザとインストール製品の紐付けを認証する。これを通過すれば無事にインストール完了である。

その後、付属バンドル品のダウンロード・インストールを確認実行するウインドゥが開き、自動で落とすようになっているので、My PreSonus のサイトからわざわざダウンロードしておかなくてもよい。しかしもし事前に My PreSonus から落としてある場合は、Studio One 本体からのダウンロード実行はキャンセルし、落としたファイルを Studio One のスタート画面上に drag & drop してやれば一瞬で本体に組み込まれる。

*1:取引時パスワードを失念した場合はカード決済ではなくコンビニ決済を選択せざるを得ない。

macOS版 Studio One 5.4 がM1ネイティブで登場

先日ついに Studio One がAppleシリコンM1のネイティブ対応版としてアップグレード発売となった。今までM1ネイティブの主要DAWとしては、Apple提供の Logic Pro X しか選択肢がなかったため、ユーザにとっては飛び上がらんばかりの朗報、大きな進歩だと思う。同時に、各社ひしめき合うDAW市場で Logic Pro X や Cubase を追撃する気満々のPreSonusの本気度が窺える。

www.snrec.jp

個人的にはとても絶妙なタイミングでの登場で、Logic Pro X を正に入れようかというギリギリのところでセーフだったことに驚いてる。無償Prime版で使い慣れた Studio One のM1ネイティブ版がなかなかリリースされない状況だったので、M1の MacBook Air にはとりあえず Logic Pro X を導入するしかないな、と消去法的に決断する寸前だったからだ。

種々検討した結果、結局今回は Studio One 5.4 のArtist版を入れてみることにした。決断の根拠を列挙すると以下の通りだが、現時点で初心者がAppleシリコン版MacにどのDAWを導入すればよいか決める際の参考にもなろうかと思う。

  • 決め手はなんと言っても価格の安さ(¥10,600)で、プラグイン対応の有償DAWでここまで安いものは他にないと思う。基本的な機能面ではProfessional版と比較して遜色ないため、コスパは群を抜いている。初期にお試しで導入するメジャーなDAWとしては最も相応しいエディションではないか。
  • Artist版は長らくプラグイン非対応で全然魅力がなかったのだが、昨年夏以来VST/AUプラグインをサポートするようになって利用価値が増した。補強したいエフェクトやソフトシンセは別途プラグインで拡張すればよく、小さく生んで大きく育てる式で過剰投資に陥らずに済む。
  • 逆にProfessional版は私のようなアマチュアのカジュアル・ユーザには too much だと思う。値段(正規価格は¥42,800)も張るのだが、何よりあまり使いそうにない(使いこなせない?)機能が多くて勿体無い気がした。抱き合わせになってるMelodyneも個人的には今は要らない。
  • Pro版にはあるがArtist版でサポートされていない機能で個人的に残念だったのは、コードトラック/ハーモニー編集と Note FX ぐらい(必須とまでは言えないがあると便利)。FXとか音源、ソフトシンセ類は有償・無償のサードパーティー製含めてプラグインで補強すればよいので多少バンドルされてなくても困らない。
  • 正直 Logic Pro X と天秤に掛けて最後まで迷った。が、Logic Pro X もある意味では Studio One のPro版同様色々過剰にてんこ盛りのところがあり、あまり使わない機能や楽器、音源その他のループ素材で無駄になることを危惧した。ただ、これだけの機能や音源で¥24,000は破格なので、面倒を省いてとりあえず全部込みで揃えておきたい向きにはオススメです。
  • もし仮にArtist版で物足りなくなったら、Pro版へアップグレードせずに Logic Pro X を追加で入れてしまう、たぶん。Pro版との差額よりも Logic Pro X の方が安い上に、すでに述べたようにPro版は自分にとっては機能的に過剰だからだ。

というわけで、Artist版のインストール/使用体験についてはまた追々書いていきたいと思う。

名器Prophet-5とYMO裏話 (YouTube)

昨年に復刻改訂版として再発売されファンを狂喜させた、アナログシンセの名器である Prophet-5 だが、日本の音楽史上ではYMOとの深い関係を想起する人も少なくないと思う。

www.shimamura.co.jp

そんな方には、以下の動画が大変興味深かったのでご参考までに。Rev1からRev4まで実機を並べて陳列した絵面はちょっと圧巻。今も変わらぬ憧れの楽器ですよね。

www.youtube.com

80年代当時で170万円したから素人の若者がそう簡単に買える代物ではなく、涎を垂らしてただ見てるだけしかなかったわけだが、後年中古品が出回るようになって50万円以下の値段でやっと手が届く範囲となり、ファンが大人買いしてYMO完コピ演奏をYouTubeとかに上げてる動画はよく目にしますね。上記動画主の小林氏もそんなお一人だろうか。

ちょっと驚いたのは、最新のRev4に至るまで生産台数が累計7千台程度だということらしく、流石にこれでは量産型の日本製シンセにビジネスで負けてしまったのも無理からぬと思ったこと。ほとんど受注生産品に近いですね。それでもRev4は日本市場での販売価格が概ね50万円前後なので、部品デジタル化の恩恵か、昔に比べればとても安くなっている。

あと知らなかったのは、YMOにProphet-5を持ち込んだのは実は松武氏自身だったということ。てっきり目ざといメンバーが好き勝手に買い付けて使ってたのかと思い込んでたのだが、初期海外ツアーの実演機も松武氏所有物を持ち込むか現地レンタルと聞いて意外に感じた。

今や50万円程度なら私ごときでも難なく買える値段ではあるが、絶対に買わないですね(笑)。ノスタルジーマーケティングの餌食になるのが嫌だという意地悪い考え方もあるが、経験上ハードはすぐに陳腐化してガラクタになるのが目に見えてるので、自宅で楽しむ分にはソフトシンセでもう十分過ぎるぐらい十分だというのが個人的見解。ハードは基本的にプロ実演家向けだと思ってて、そこに数十万突っ込むぐらいならプラグインにでも追加投資した方がまだマシだと思ってしまう。もちろんこれはあくまで私個人の価値観に過ぎないが。

夏が来れば思い出す... MIDI検定1級の季節到来

Logic Pro X を買う、買うと言いつつ、積読になってる本やら未再生podcastやら未鑑賞映画どもを消化することを優先すべきと、そのお楽しみは来月に先延ばしとばかりにぐずぐずしていたらいつの間にか7月も半ばで今年のMIDI検定1級出願期間がとっくに始まっていた。もうそんな季節ですか...

MIDI検定試験1級案内

実施時期については例年通り概ねお盆のタイミングを含む期間で特に変わったところはないが、制作物の提出形態がついに、というかやっと今頃になってオンライン・クラウド対応になったことは特筆すべきと思う。

注)受験案内には「提出用の CD-R を2枚ご用意ください。」とありますが、納品はネットワーク経由での納品に変更となります。必要なデータをサーバー(dropboxを予定)にアップロードしていただく形となります。 詳細については受験者に配布される制作課題規定書等に記載の予定です。

Dropboxの利用は大いに結構だが、もっと早くからオンライン対応すべきだったのではないかと少々呆れる。

私が受験・合格した2018年には、確か2枚のCD-R(1枚はMIDIファイル保存用、もう1枚はオーディオ用だったな、確か)に焼き付けて郵送提出したことを今でも覚えてる。その対応のために、CD-Rの5枚セットとか郵送用のクッション付封筒もわざわざ無駄に買い揃えねばならず、なんとも時代遅れで大いに辟易したものだ。しかし今後はクラウドに即アップで出せるので、期限ギリギリまで制作時間を確保できるのは受験者にとって朗報ではなかろうか。

コロナ禍の混乱もあってか受験者数はおそらく昨年は最低を更新したと思われるが、その後状況が劇的に好転しているわけでもなく、また前提資格である2級の実施形態がイレギュラーな状態を脱していないので、今年もそのまま低調を維持する可能性はある。

個人的な意見としては、兎にも角にも2級の正常化が早く待たれるところだと思う。というのも、MIDI検定はある意味で2級が一番学習内容が充実しており、2級まで到達すればMIDIの基礎知識は十分体得できる講座になっているからだ。裏返せば、MIDIのスキル習得だけを考えれば1級は特に必要性を感じられない。

MacBook Air (M1, 2020) を買ってしまう

今月上旬に開催された今年のWWDCで、蓋を開けてみたら結局M1の次の新型 Apple Silion 搭載ハードウエアが発表されなかったため、ついに痺れを切らしてM1搭載 MacBook Air を先週末に購入した。大会前にはM2(?)搭載 MacBook Air らしきものが出るとの噂も目にしていたので、あともう一歩これを待った方がいいのか、と思案していたが結局肩透かしを喰らってしまった。

因みにデザイン一新の次期 MacBook Air モデルは今年後半かまたは来年デビューとのウワサですが、あくまで憶測に過ぎないので本当のところはわかりません。現行M1搭載 Air と Pro の中間に位置する Air の上級版が開発中という話。だけどもうこれ以上半年とか1年待ち切れないなと思い立ってM1を買う決断を下した次第。

www.macrumors.com

もっとも、結論から言うと買って大正解・大満足で、価格性能比抜群な上にとても軽快に動作するし、旧モデルの Air や Pro に比べると一回り筐体が小さくコンパクトになってデスクに収まりやすくなったのも気に入ってる。以前のMacBookAirとかProではない無印の)と同じような大きさですね。あとバッテリーの持ちがとてもいいです。

今さら実機レビューを私如きが書くつもりは全然ないが、本ブログの主要テーマに関連して何が言いたいかというと、これで有償プロ仕様のDAWは Logic Pro X 導入で決まり、ということ。今のところM1ネイティブで動作するメジャーDAWは Logic Pro X しかないからです。

sleepfreaks-dtm.com

来月あたりに早速導入してみて、追々体験記を書いていこうかと思っている。プラグインの動作検証などもやってみるつもりでいる。

本ブログで散々書いてきたように、個人的には Studio One が本命だったのだが、こちらの Apple Silicon ネイティブ版が出るのはまだまだ先のようで、それも Logic Pro X で充分満足してしまったならばもうこの先導入は検討しないかもしれない。

TR-808とMIDI開発秘話 @TBSラジオ アフター6ジャンクション

今週木曜日に菊本忠男氏のインタビューもとい歴史証言特集があったので、聞き逃している方はpodcastでチェックされることを激奨します。

www.tbsradio.jp

話の中心はTR-808MIDIの件は最後の10分程度しかありませんが、両者開発の歴史的経緯を知るには格好の入門番組になっていると思う。「入門」と書きつつ、結構テクニカル・タームが飛び交っていたため、ある程度MIDIとかDAWの基礎知識がないと聴きづらいかもしれない。

ネタ元は下記の近刊本らしく、話が重複するだろうから書き起こしみたいなことは控えておきます。

 TR-808を継承発展させた菊本氏の新たなプロジェクト RC-808 については下記サイトを参照。試作プラグインが無償でダウンロード使用可能となっている。

rc-808.com

個人的に刺さったトピックなど:

  • これは結構有名な話だが、TR-808発売当初はそのあまりにチープなサウンドのためか商業的には失敗。その後偶然にもヒップホップ業界で大々的に使われ出したことを契機として予想外のリバイバルを遂げる。人間万事塞翁が馬みたいな典型例で、研究開発事例でも似たような話がいっぱいあることを思い出しますね。
  • MIDIの発案は創業者梯郁太郎氏が率いたRoland社ではあったものの、業界盟主とも言えるヤマハの後押しが普及に多大な貢献をしたというのはちょっと知らなかった。ちょうど YAMAHA DX-7 がMIDIケーブルのインターフェース搭載で発売、大ヒットとなったタイミングも幸いしていた。米国 Sequential Circuits 社(名機Prophet-5のメーカー)が協力的だったことも世界的普及に寄与したようだが、私はてっきり Sequential Circuits がMIDIの発案元かとずっと勘違いしていた。
  • 昔の発売当初のTR-808はもはやビンテージ・マシン扱いで中古価格が高騰しているので、同じ筐体とシステムで復刻製造はできないものかと問われた菊本氏は、技術的には可能だが過去とまったく同じことをやっても面白くもなんともなく発展性がない、と技術者魂全開で切り捨てていた発言が印象的だった。これと文脈は異なるが同じような感想を抱くことはありますね。YMOなんかのカバーを当時の使用アナログ機材そのまんまで再現している動画をよく見かけるんだけど、昔と丸々同じことを今やってもあんまり有意義ではないな、という感想と似ている。

AI作曲支援プラグイン

最近目に止まった下記記事はなかなか興味深し。

www.dtmstation.com

これはソニーCSLが研究開発中のプラグインで、実はまだ一般市場にはリリースされていない作曲支援ツールだそう。ソニー・ミュージック内部で実験的に使用されているようだが、アウトプットの自動生成プロセスはサーバを介する仕組みになっているので、このままではさすがにまだまだ一般公開は無理でしょうね*1。さりとてサーバを介さないとなると膨大な学習済みデータベース等をどうやってローカルに頒布するか、という点が大きなハードルにはなってくる。

学習用データセットが単純なメロディーやコードといったMIDIデータ単体ではなく、コード進行やオケも含めたある種のスタイルひと塊りをパレットとして食わせている点はユニークだ。逆に生成結果はMIDIデータなので、この辺は一般的なアウトプット形態ではある。そうそう、MIDIはこうしたAI自動作曲分野で主要なインプットかつアウトプットのフォーマットとして当たり前に使われるようになってきているので、MIDI検定の宣伝ではないが、一応MIDIを系統立ててきちんと勉強しておいたのは正解だったと思う。

このツールの利用シーンは、楽曲一作品の完成形を自動生成するというよりも、むしろメロディやコード進行、リズムパターンの断片スニペットをヒントや新規アイデア出しの形でユーザに提供するといった趣旨のようである。これはアプローチとしては正しい方向だろうなとは思いますね。楽曲の素材だけでもいくつかあらかじめ土台が用意されている方が全体の制作は格段に進めやすくなりますからね。

*1:MIDIデータ生成・ダウンロードだけならウエブサービスで提供することも可能でしょう。